第86話:その頃彩乃は (下-上)

よくよく考えればひーくんが他の女のところに行ってしまう確率など地球滅亡の予言が当たる可能性よりもはるかに低いことは自明の理というものなのだが、それでも不安になってしまうのが女心というものらしく何度目かの息継ぎをしたことにより少し冷静になった私は


(女という生き物が面倒くさいことは認めるけど、元を辿ればあり得ないスピードでいい男へと成長し続けてるひーくんのせいなんですけど! 私のためだけに頑張ってくれてることはちゃんと分かってるし凄く嬉しいけど、あんまりにもいい男すぎて他の女がちょっかいを出してこないか心配なんですけど‼)


(でもそんなあなたが大好き! 最初は何回かお弁当の味見をしてからの予定だったけど、もうこのまま私のことも味見してぇ)


という『彼は自分だけの男であるということを他の女に分からせるためが4割。彼を求める気持ちが6割』の状態で引き続き大人のキスをしていると先ほどまでされるがままだったひーくんがいきなり私の腰に手を回して自分の方へと抱き寄せたと同時にエプロンの上から胸を揉みだした。


「んっ、んんんんっ⁉」


(………いきなりだったからビックリしちゃったけど、ちゃんと私のことを気遣ってくれているのか全然痛くない)


(よくこういうことに慣れてない男の人は今までに感じたことがないほどの興奮状態に加えて力加減が分からなかったり○Vの知識が正解だと思ってるせいであれだって聞いてたんだけど……もしかしてまだ余裕がある、というか私で興奮してくれてない?)

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