第35話:犯人

ピーンポーンパーンポーン♪


『私校長から全クラス担任および副担任にお知らせいたします。現在帰りの会の最中だと思いますが至急自分が担当しているクラスの生徒が全員いることを確認し、担任の先生が代表して私の学校用メールに報告をお願いします。また担任の先生は教卓の前に、副担任の先生は一番後ろの真ん中に立っていただき生徒が不審な動きや教室内から一歩たりとも出ないよう細心の注意をしてください。繰り返します………』


「えっ、なになになに?」


「不審者じゃね?」


「誘拐かなんかの脅迫状がきたとか?」


そんな当たり前の反応が色んなところで出始めている中、明らかに様子のおかしい二人組のうちの一人が立ち上がり


「先生、ちょっとトイレに行ってきていいですか?」


「悪いけど少しの間我慢してくれ」


「先生、俺漏れちゃうって!」


「A男の気持ちも分かるけどまだ何があったか分からない以上、せめて次の指示があるまでは」


ピーンポーンパーンポーン♪


『先生方の迅速な対応のおかげで全クラスの確認が終了しましたので次のお知らせへと進ませていただこうかと思いますので、引き続き生徒が教室から出ないよう注意のほどをお願いします』


「だっそうだ。悪いんだがもう少し我慢してくれ」


『詳しいことは伏せさていただきますが、本日とある生徒が持ち込んだN○ntendo S○itchが無くなったという情報が入りました』


「(これって○○が先生にちくった感じか?)」


「(いや、あの反応的にそれはないだろ)」


「(アイツにあそこまでリアルな反応ができるとも思えないし、ちくったやつは別にいるんじゃね?)」


「(でもあの感じだと○○の友達がってわけでもなさそうだよな)」


「(というか先生達もこの件を知らなかったってことは、たまたま校長があの時の様子を廊下から見てたとかじゃね?)」


『そこで今から教育指導の先生をはじめ手の空いている先生方に協力していただき各学年の1組から順番に生徒の荷物検査を行いたいと思います。また、N○ntendo S○itchが出てきた際は例外なく本体に登録されているユーザーネームを確認し、メモをよろしくお願いします』


「(普通校長がここまで頭回るか?)」


「(いやまあー、あの人自体は知らなかったとしても子持ちの先生がアイディアを出した可能性もあるし)」


「(というかやり方がえげつないな。これじゃあ完全に公開処刑じゃんか)」


コンコン。


「普通科2年2組の荷物検査をしにきました」






「………なんでA男のなのに○○と同じ名前が登録されているんだ?」


「いや、それはたまたま同じ名前の好きなキャラが」


「じゃあ今から本人に確認してもらうから、ちょっと待ってろ」






『先生方、生徒の皆さんご協力ありがとうございました。……念のために言っておきますが今回の件は盗まれた側が悪いのではなく、盗んだ方が100%悪いこと。今後どのような結果になろうともこれは変わらないことを絶対に忘れないでください』


「(なるほどねー。だからこんな見せしめみたいなことをやったのか)」


「(ウチの校長おっかねー)」






「(チッ、あのクソ爺。ワザとやりやがったな)」

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