第5話:その頃彩乃は

私は一人で夜ご飯を食べた後、パパの仕事の都合で一緒に県外で暮らしているママと久しぶりに電話していると


『そういえば今日から学校だったはずだけど、新しいクラスはどうだった?』


「うんとねぇ、前の席の女の子とはすぐに仲良くなれただけじゃなく一緒にお昼ご飯も食べに行ったよ。それでその子が私の隣の席の男子のことを『よーくん』って呼んでたから『もしかして好きなの?』って聞いたらあれは部活でみんなが『よう』とか『よー』って呼んでるからただそう呼んでるだけって話からお互いの恋バナに発展したりして今日一日楽しかったよ」


まあ女が男子のことをあだ名で呼んでる=好きなんて現実じゃあり得ないって分かってはいるけど、やっぱりちょっと期待しちゃうんだよねぇ。


『ふ~ん。ちなみに隣の男の子はどうだったの? 彩乃がそんなことを聞いたってことは結構イケメンなの?』


「うーん、確かにお世辞抜きで結構カッコ良かったし、休み時間はずっと本を読んでて真面目そうな雰囲気もあったけど……なんか暗いというか何にでも無気力そうというか。仲良くなれなさそうとかじゃなく、あっちが仲良くしてくれなさそうな感じ?」


『でも今日できたお友達とその子は仲がいいんでしょ? 案外仲良くなるのには時間が掛かるかもしれないけど、付き合いだすのは早いかもしれないわよ。ふふ』

 

「んー、なんとか友達まではいったとしても付き合うは……今のところはないかな」


確かに私は誰かのお世話をするのが結構好きだし将来的には好きな人にそれを一杯してあげて、私がいなきゃ生きていけない体に! みたいな感じにしたいと思ってたりもするけど、何に対してもやる気のない人っていうのは一切惹かれないんだよね。

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