第4話:その頃彩乃は

去年同じクラスだった誉が担任の先生に帰りの挨拶を指名されている姿を見て相変わらずだな、などと考えているといつの間にかそれも終わっていたらしく明日香が振り返ってきて


「ねえ、よーくん……彩乃ちゃんの隣の席に座ってた一之瀬君知らない?」


「え? ……あれ、いつの間にかいなくなってる」


「先に行っちゃったかぁ。別に同じクラスなんだから誘ってくれればいいのに」


そういえば机の横に赤と黒のラケットバックが立て掛けてあったような。


「もしかして一之瀬君もテニス部なの?」


「うん。だから一緒に部活に行きながらお昼でも食べようかなとか思ってたんだけど……」


「じゃあ今から一緒にお昼食べに行かない? どうせ私は部活とかやってないからあとは家に帰るだけだったから暇なんだ」


他の友達はみんな何かしらの部活だったりバイトだったりをやっているので今日みたいな日にどこか寄り道、ということをあまりやったことがない私は無意識に仲のいい友達を誘う感じでそう言うと快くOKしてくれた。

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