第5話 もしかしなくても男だよ!?
桜が芽吹く季節ボクは卒業式の為に中学校にきていた。
今日でこの学校ととお別れだと思うと感慨深い。
「いやー久しぶりに来たけど変わらないねぇ。」
「そりゃ自由登校になって2ヶ月しか経ってないからね。」
「そうだけどもう何年も来てないみたいな感じにならない?」
「うーんどうだろ?ボクとしてはそんなでもないかな。千夏は?」
「私は那月と同じかなぁ。結局ずっとゴロゴロしてたからむしろもう卒業式かーってなってる。」
ボクといえば卯月と千夏と並んで登校していた。そうして3人で歩いているともう1人の幼馴染みの後ろ姿が見えた。
「おーい拓馬ー。」
「ん?あぁ那月たちか。久しぶりだな。」
「拓馬さんおはよー。」
「拓馬くんおはよう。」
「おー卯月も千夏もおはような。こうしてお前ら3人見ると帰ってきたなーって思うわ。」
「そう言えば拓馬は今回どこ行ってたの?」
「群馬の温泉にでも行こうかと思ってたんだけどな、親に仕事の手伝い頼まれたからそっちにかかりきりだった。」
確か拓馬の家って洋菓子店だったなぁ。
「なんかいきなり300程バレンタインチョコの発注あってそれに駆り出されてんだよ。」
「ん?」
「そう言えば納品先がPearl Boxだったが那月達はなんか知らないか?」
その言葉でボクはビクッとした。それはボクが「なっちゃん」としてバレンタインイベントをした時のことだろう。まさか拓馬の家に発注していたなんて。
「それはね那月がっ、んんんんー!」
千夏が言いそうになったので咄嗟に口を手で塞ぐ。さすがに拓馬に知られるのは恥ずかしい。
「那月いきなりどうしたんだよ。」
「ううん、千夏の口に桜の花びらが入りそうだったから抑えただけだよ。」
「んんんー」
「さすがに苦しそうだから離してやれよ。」
そう言って拓馬は気にしないのかそのまま歩き出したがその後の言葉でボクは固まった。
「そう言えば那月がモデルになったなんて驚いたぜ。」
「は?」
ドウイウコト??
「雑誌にまさか那月が載っていてびっくりしたぜ。ツキナって名前だったけど笑い方が那月だったからすぐ分かったぜ。」
「待って、拓馬。ボクはモデルにもなってないしツキナなんて知らないよ?」
なっちゃんにはなったがツキナなんて知らない。ただ雑誌というのは撮影した時の写真だろう。
「あぁ、それ那月には内緒にしてたんだよ。」
「そうなのか?」
「だって知ったら那月は恥ずかしがって下手したら引きこもるでしょ。」
卯月も千夏ちゃんも知っていたらしいけどボクは何一つ知らない。それに千夏ちゃんからの評価が辛辣だが確かにボクなら引きこもってしまうだろう、恥ずかしいし。
「なんだよ。モデルになったならお祝いだって俺の親なんて卒業式の後祝うから呼んでこいって言われてんだけど。」
「そうなの?私もお母さんから那月と卯月呼んでみんなでお祝いしましょって言われたんだけど。」
「ねぇ、俺は?」
「拓馬はほら・・・基本旅行でいないし・・・」
そう言って千夏は顔を背けるが明らかに拓馬の存在を忘れていたのだろう。実際夏休みとか千夏は忘れている雰囲気あるし。
実際ボクも卯月も拓馬は卒業式来ないと思っていたし。
「さすがの俺でも卒業式くらいは行くよ。とりあえず親には紗夜さんと合同にしないか聞くから千夏も紗夜さんに頼む。」
「分かったわ。」
2人して連絡すると二つ返事でOKしたらしく卒業式のあとはみんなで愛香姉のとこでパーティーすることになった。
さすがに人数が多いため愛香姉の所がいいだろうと言うことで聞いてみたところ是非にということで愛香姉のとこになった。
そうしてみんなと学校に向かい在校生が受付をしている所に向かい造花のブローチを付けてもらい教室に向かうがみんなの視線を感じる。
「なんかボク見られてない?」
「そうか?俺は分からんが。」
「たぶん雑誌見た子達だと思うよ。」
「卯月の言う通りよ。今私の友達からツキナは那月なのか聞いてって連絡きたし。」
そう言って千夏がスマホの画面を見せてくる。そこにはグループチャットにツキナって那月君に似ているけど本人?と書かれており他にも数人が私も同じことを聞いている人がいた。
「近くでみれば那月だって思われるでしょ。化粧である程度変えたとしても雰囲気というか髪型だって那月がよくしている髪型だったじゃない。」
言われてみれば確かにいつもシュシュで束ねている。
「それに2年の時から那月が実は女かも知れないって噂になっているわよ?」
「ボクは男だよ!?」
「だって那月胸がないだけで見た目女の子じゃない。パッド入りブラすれば完全に女よ。ねぇ卯月、拓真?」
「そうだねぇ、那月は家事全般できるしいいお嫁さんになるね!」
「まぁ正直俺も那月が女の子だったら惚れたかもしれないな。」
「そんな・・・」
確かに短髪が嫌いだから髪を伸ばしているけどまさかみんなそう思っていたなんて。
噂に愕然となっているボクをみんなは置いて行き教室に向かうのであった。
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