【厨二病アクトレス】★



 厨二病ちゅうにびょう……正確には中二病。『中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動』をカッコイイと思い込み、痛々しい行動をする人を揶揄やゆしたネットスラングだ。




 く…これっ…までっ……か…バタ


 爆ぜろリアル弾けろシナプス!


 エンドレスシャイニングレイン!


 この眼は闇がよく見える……




 まあ、上記の台詞を恥ずかしげもなく言えたなら、病状は、かなり進んでいる。眼帯をしてみたり、手首に包帯を巻いてみたり、カラコンを入れてみたり……まるでアニメのキャラクターに生まれ変わったように、自分自身を飾ったりする奴も居る。だが、厨二病は、ほとんどの人がいずれ治る。一過性のやまいだ。思春期のニキビみたいなもの。けれど、その病が治らずに成長してしまう奴らもいる。







 俺は厨二病が大嫌いだ。








「目覚めよ……なんじ、重厚なる時の針を止め、その身に太陽からの恩恵おんけいを刻め!!!」



 母親が、俺を起こしに来た。


「母さん!普通に起こしてよ!」

 俺はピピピッと鳴っている目覚まし時計を、勢いよく右手で叩いて止めた。俺の母親、神宮寺しんぐうじ夢羽ゆめはは、起き上がった俺を見て、満面の笑みで言った。


「だって、柊斗しゅうと、普通に起こしても起きないじゃない」

「だからって、それ、止めろよ!」

「それ?って?」

「厨二病臭いセリフだよ!カッコ悪いよ!」

「何言ってんのよ!カッコイイわよ!」

「んなわけねーだろ!」

「あんた、ホントに私と刹那せつなの子供なの?頭おかしいんじゃないの?」

「くっそ……話が通じねえ!!!」

 朝から血圧が急上昇して、俺は二段ベッドの2階から降りて、着替える事にした。1階には、いつもなら、まだ寝ているはずの妹の憂羽ういはが居ない。


「あれ?母さん、憂羽は?」

「ういちゃんなら、ケルベロスと旅に出たわ」

「飼い犬と散歩に行ったって言え!!!」

「ケルベロスの魔力が暴走気味だから、最近、魔力を消費させてるのよ」

「太り気味だからダイエットさせてるって言え!!!」

「さあ!いざ、円卓へ!」

「朝食が出来てるから、リビングに来いって言え!!!」

 俺は、はあ〜と溜息をいて、母さんに部屋を出ていくように言った。パジャマを脱いで、制服に着替える。部屋にある姿見すがたみで、寝癖がついた髪を確認して、歯磨きしながら直さないとな、と思いながら、リビングに向かった。


「あ!お兄ちゃん、おはよー」

「憂羽、おはよ」

 憂羽は、既に食卓に着いていて、昨日の残りのカレーにスプーンを差し込んでいるところだった。飼い犬のチャウチャウ……ケルベロスが嬉しそうに、憂羽の足元で尻尾を振っている。


「おー!ケルベロス!おはよ!」

 俺はケルベロスに挨拶して、ワシャワシャとモフモフの毛並をでくりまわした。ケルベロスは、不機嫌そうに、ウーっとうなった。


「なんだよ、ケルベロス。お前、本当に俺にだけ懐かないな」

「お兄ちゃんの事、家族と思ってないんじゃない?」

「なんでだよ」







「だってお兄ちゃん……











 カッコ悪いし」







「カッコ悪くねーよ!お前らの方がカッコ悪いわ!」

 妹の憂羽は、カラコンで左右の目を色違いにしている。所謂いわゆる、オッドアイだ。髪もインナーカラーに赤と緑を入れていて、完璧な厨二病患者。つい、この間まで、俺の事を『お兄様』と呼んでいたが、泣きながら土下座して、それだけは止めてもらった。今でも少し、不服そうではある。


「柊斗、家族の事を『お前ら』なんて言うものじゃないぞ」

「あんたが一番、重症なんだよ!!!」

 父親……神宮寺しんぐうじ刹那せつなが、キッチンから俺の分のカレーを運びながら、出てきた。


「さあ、異国から召喚した香辛料から生み出され、そこに禁断の果実を入れた禁忌の食物だぞ」

「リンゴが隠し味のカレーって言えよ!!!」

 大人気ビジュアル系ロックバンドのボーカルをしている父親は、朝から黒ずくめで、パンキッシュなで立ち。もうアラフォーにもなるのに、若々しいのは、やはり人気商売をしてるからだろうか。言動や、出で立ちこそ問題ありありだが、紳士的な立ち振る舞いが評判で、主婦層からの人気も高い。


「さあ、餓狼がろうごとむさぼるが良い!私の自信作だぞ!はーっはっはっは!」

「お前はマッドサイエンティストか!!!」

 朝から、ずっとツッコミ続けて、声が枯れてきた。俺は、素早くカレーを口に詰め込んで、飲み込んだ。そして、洗面台へ向かう。


 歯磨きをしながら、髪型を整える。センター分け。出来るだけ、普通の人物だと思われたい。特に三上みかみ先輩にだけは……


「お兄ちゃん〜!そろそろ私と白亜はくあの城へ向かいましょう!」

「学校!!!学校って言え!!!」

 憂羽から急かされて、俺は手早く身支度を整えた。


「いってきまーす」

「母上、私……行って参ります……決してこの身が滅びようとも……」

 寸劇が始まりそうだったので、憂羽を置いて、先に家を出た。


 高校までは、バスと徒歩で合わせて30分くらい。バス停に向かっていると、ショートカットの大きな瞳をした美少女が、俺と同じバス停へ向かって、歩いているのが見えた。


「三上先輩〜!」

「あ!神宮寺くん!おはよう!」

 大きな声で挨拶して、手を振った。三上先輩も、笑顔で手を振り返してくれた。


 三上みかみれん。俺の好きな人。演劇部所属。高校三年生。入学式で行われた部活紹介の時間、彼女が出演した数分だけの演劇を見て、俺は恋に落ちた。彼女に憧れて、直ぐに演劇部に入った。将来は演劇女優志望。今年、舞台や演劇学を学べる短大への、推薦入試を受けるようだ。


「三上先輩、今日の部活は出るんですか?」

「勿論よ。公演3日前だよ?どうして?」

「推薦入学の為の小論文って、もう終わったのかな?と思って」

「あー……実はまだ先生と相談してるところ。文章を書くのって難しいね。脚本作ってる香澄かすみの凄さが、身に染みて分かったわ。やっぱり私は、どこまで行っても演じる事しか出来ないんだなー」

永田ながた先輩の脚本、いつも感動してます。よくあんなストーリーが思いつきますよね」

「いつか文壇ぶんだんに、その名をとどろかせる女かも知れないわね」

 永田香澄。演劇部副部長にして、脚本担当。ウチの高校の演劇部は、割と有名で、その理由の一つが、彼女の書く脚本のクオリティの高さにある。元々は文芸部に所属していたが、将来、脚本家になりたいという本人の希望で、演劇部所属となった。


「お兄ちゃん〜!待ってよ!」

 三上先輩と仲良く会話していると、背後から憂羽の声が聞こえた。振り向くと、走って俺の方へと向かってくる姿が見えた。


「はあ、はあ、はあ。やっと追いついた!なんで先に行くの!?ちょっとくらい待ってくれてもいいじゃない!」

「いや……俺は時刻通り出たよ。お前と母さんが、玄関で寸劇繰り広げてたからだろ」

「寸劇じゃない!運命的な母娘おやこの離別よ!」

「……なんだ、それ」

 俺は頭を抱えて、三上先輩の方を見た。憂羽はともかく、俺まで厨二病扱いされたら、どうしよう。


「憂羽ちゃん、おはよう。今日も素敵な髪型ね」

「わー!三上先輩、ありがとうございます!」

 憂羽は、毎日、コロコロと髪型を変える。昔から、美容師になるのが夢で、小さい頃から髪で遊ぶのが好きだった。今日はツインテール。


 3人で、他愛もない会話をしながら、バス停へ向かった。バスに乗って、20分。歩いて10分で、学校に着いた。


「じゃあ、先輩、放課後に!」

「うん!今日もビシバシ鍛えてあげるよ」

「お手柔らかに、お願いしますよ?」

「もう時間もないし、気合い入れないとね」

「確かに!」

 俺はうなずいて、三上先輩に言った。


 三上先輩が自分の教室に向かうのを見ながら、早く放課後にならないかな?と思った。


「じゃあ、お兄ちゃん、憂羽は戦闘訓練に行ってくるね。ご武運を」

「お前の中で、授業は戦争か何かか!?」

「命を燃やして頑張るわ」

「あぁ……分かった分かった!早く行け」

 俺ははえを追い払うかのように手を振って、憂羽と別れた。


 昼休み後の授業は、とても眠い。授業は退屈だけれど、俺は進学希望だったので、眠気をこらえて、必死で先生が黒板に書く数式を板書ばんしょしていた。窓際の席なので、ポカポカとした秋の陽気が窓から差し込んできて、眠気との戦いに負けそうだ。昨日、夜更かしした所為せいで、欠伸あくびが止まらず、換気の為に俺は窓を開けた。


 たまたま、三上先輩のクラスが体育の授業をしていた。グラウンドのすみで、三上先輩がストレッチをしているのが見えた。種目は短距離走の様だ。


 ストレッチが終わって、三上先輩が走る番になった。先輩は、体を動かすのが大好きだ。ニコニコしながら、クラウチングスタートの体制を取った。先輩は、そんじょそこらの陸上部部員より、足が速い。


 2人ペアで走るようだ。隣に居るのは、確か陸上部部員だったような……。俺は心の中で、三上先輩を応援しながら、結果を待った。


 スタートの合図で、2人が猛スピードでグラウンドの外周を走り始めた。


 競っているが、ギリギリ三上先輩が勝ちそう。そう思っていた、ゴール直前、三上先輩が転倒した。俺は思わず立ち上がって、窓から身を乗り出した。


「おい!神宮寺!授業中だぞ!何をしている!」

 数学教師の怒鳴り声を無視して、俺は教室を飛び出した。グラウンドに出て、三上先輩の元へ駆け寄る。


「先輩!大丈夫ですか!?」

「あ……神宮寺くん……ちょっとマズイかも」

 三上先輩は、泣きそうになっていた。同じクラスの友人に肩を貸して貰いながら、先輩は保健室に向かった。その後ろを追い掛けて、俺も保健室に入った。






「……折れてはなさそうだけど、1週間は安静にしないといけないと思う。取り敢えず、車で病院まで送るわ。レントゲン撮って貰いましょう。お家の人に、連絡出来る?」

 保険医の先生が、三上先輩の足を見て、うーん、と首をかしげながら言った。


「あの……3日後に、本番があるんです。演劇部の」

「……無理だと思うわ。その演劇って言うのは、動きの少ないものなの?」

 激しいアクションを盛り込んだ演劇だ。先輩は、首を横に振って、そのまま下を向いた。


「兎に角、病院へ向かいましょう。君たち、授業中でしょ?戻りなさい」

 保健医の先生は、俺と先輩の友人に、強めの口調で言った。俺は、どうする事も出来ずに、教室へ戻った。数学教師は、俺が教室に入るなり、この後、職員室へ来い!と怒鳴った。俺は、正直、そんなことは、もうどうでも良くて、ただただ三上先輩が心配だった。






 放課後になった。


 部室では、三上先輩が怪我をしたニュースで持ち切りだった。本番は、どうするの?と動揺だらけの部室の雰囲気に、俺も困惑していた。副部長の永田先輩が、パン!と手を叩いて、皆の目を集めた。


「うだうだ言っても仕方ないでしょ!本番までに脚本書き直してみるわ!書きながら、指示出すから、アクション少なめになるけど、練習して!」

 永田先輩の指示に、皆は頷いて、早速練習に入った。しかし、中々、永田先輩からの指示は出ない。それもそうだろう。いきなり主役が怪我で出れなくなったのだ。ストーリー自体を大幅に変更しないといけない。しかも、そのストーリー変更は、ギリギリ部員たちが許容できる範囲内でないといけない。





 突然、部室の扉が開いて、三上先輩が松葉杖を突きながら、入ってきた。


「練!大丈夫?」

「香澄……皆、本当に、ごめん!」

 三上先輩は、大泣きしながら、頭を下げた。


「本番前に、体育の授業なんて……欠席でも、見学でも出来たのに。私の落ち度です。皆に迷惑を掛けて、ごめんなさい!」

 いつも厳しく、そして優しく部員達に接してくれている三上先輩を責める部員は居なかった。


「練。今から脚本を書き直してみる。出来るだけ……というか、貴方は動きのないようにストーリーを書き直すから、劇には出てくれる?」

「勿論よ……そのつもりで戻ってきたの!」

 先輩は泣き止んで、いつもの凛とした表情になった。


 しかし、その日、永田先輩はストーリーを思いつく事が出来ずに、部活動は終わった。





 俺は三上先輩の近所に住んでいるので、三上先輩を家まで送っていきます!と名乗りを上げて、強引に先輩と帰る事にした。帰り道、先輩は無言で、俺は何とか先輩の沈んだ気持ちを持ち上げようとしたけれど、先輩の表情は変わらず、俺は諦めて、2人して無言で帰路に着いた。バスを降りたところで、先輩は、また泣き出した。


「悔しい……悔しいよ、神宮寺くん!私の所為せいで、数ヶ月も頑張ってきた、皆の努力が水の泡だよ。私は皆に、どうつぐなえばいいんだろう!」

 そんな先輩の慟哭どうこくを聞いて、俺は決心した。








 こうなったら、仕方ない。









「先輩。提案があります。勿論、先輩と副部長、そして部員の皆が、納得してくれたら……ですけど」

「どうしたの?」











「ウチの母親の力を使います」












 三上先輩を連れて、帰宅した。家に入るなり、俺は母さんに頭を下げて、大きな声で言った。











「母さん!脚本をお願いします!」

「突然の嘆願たんがんに、母は動揺している。その胸の中は、まるで雷神の……」

「そういうの、いいから!話聞いて!」










「神宮寺夢羽……って、あの有名なドラマとかの脚本書いてる、神宮寺夢羽さん!?私、ドラマ、欠かさず見てる!え!?確か、旦那さんは神宮寺刹那だよね?え!?私、ライブのDVD持ってるよ!」

「皆には内緒にしておいて下さいね」

 俺の母親は、有名脚本家だ。今でも現役で、月9の作品も何作か書いている。


「うーん……三上さん?って言ったっけ?送って貰った脚本、読みました。かなり変えないといけなくなっちゃうけど、原作の人に許可は貰ってるの?」

「はい……香澄も、どうしようもないので、神宮寺先生のお力をお借りしたいと言ってます」

「分かりました。今日中には仕上げるので、皆に伝えてください。授業サボってでも、セリフや動き、頭に叩き込むように言ってね」

「!?」

 三上先輩は、一瞬驚いて、その後、何度も頭を下げた。







「じゃあ……母が、原稿があがったら、メールで送るとの事です」

「神宮寺くん……本当に、本当に、ありがとう!」

「お礼は、母に言ってくださいよ」

 三上先輩を家の前まで送って、俺は言った。


「永田先輩が書き直した事にしてください、との事です。自分の名前は出したくないようです。夜にでも、メールが来ると思います」

「うん……何度も言うけど、本当に、ありがとう!」

「では!」

 俺は先輩が家に入って行くのを見届けて、帰路に着いた。







「母さん、ありがとう。本当に助かったよ」

「ふはははは!我が息子の頼みなら、邪龍さえも滅ぼそう!」

「いや……そういうのは、いいから。ちゃんと感謝させてくれ」

「……柊斗、あの子の事、好きでしょ?」

 突然の母さんの言葉に、俺は動揺したけれど、真剣な目をして、返答した。


「うん。大好きなんだ。だから、良い脚本、よろしくお願いします」

「任せて!」

 母さんは、喋りながら、ノートパソコンのキーボードを高速で叩いた。





 その日の夜、脚本が仕上がった。母さんは、直ぐに、三上先輩と永田先輩にメールを送ったようだ。2人からも、直ぐに返信があった。その後、香澄先輩から、部員全員に脚本が送られてきた。


 部員達からも、徹夜でセリフを叩き込みます!と力強い返信があった。俺も、その日の夜、必死でセリフを暗記した。


通し稽古までは出来ずに、中盤までを念入りに練習することになった。動きやセリフが、終盤は少ないからだ。夜遅くまで、皆が必死になって稽古をした。









 本番当日になった。


 俺達は、何とかセリフや動きを頭に入れて、舞台に臨んだ。何度か危うい場面はあったけれど、全員で協力して、劇は終わった。観客からはスタンディングオベーション。幕を閉じて、俺達は抱き合って喜んだ。


 打ち上げは、大型ドラッグストアで、大量にお菓子とジュースを買い込んで、部室で行われた。皆が笑顔で、今日の舞台は最高だったな!と笑っていた。


「神宮寺くん、ちょっといい?」

「なんですか?」

「ちょっと来て」

 三上先輩に呼ばれて、俺は部室を出た。三上先輩は、慣れない松葉杖を突きながら、校庭に俺を連れ出した。


「三上先輩?何かあったんですか?」

「皆の前では言わないでおこうと思って。あなた、セリフ飛ばしたでしょう?」

「え?俺、飛ばしましたか?」

「ここよ、ここ!」

 制服の内ポケットから、無理矢理にねじじ込んだであろう、ボロボロの脚本が出てきた。2日で、こんなボロボロになるまで、読み込んだのか。


「え?何処ですか?」

「こ、ここ……」

 三上先輩は、何故か顔を真っ赤にしながら、脚本の終盤のページを開いて、指さした。


「えーと……『貴方が月なら、太陽になりたい。貴方が人魚なら、海になりたい。空よりも高く、海よりも深く、炎をよりも熱く、想ってます。貴方の傍で、ずっと笑っていたいんです。愛してます。先輩。』って、なんじゃこりゃああああああ!!!!!!」

 俺の心からの叫びを聞いて、先輩は不思議そうに俺を見た。


「え?どういうこと?」

「こんなセリフ、なかったですよ!」

「え?」

「あーーーーー!!!母さんだ!!!アイツ、やりやがったな!!!」

「???」

「俺を含めて、恐らく、三上先輩以外の脚本には、このセリフは書かれていないんですよ!あの厨二病患者、無理矢理俺に告白させる気だな!」




「え?」

「あ……」



 最早、告白するまでもなく、俺は自分の気持ちを口にしてしまっていた。


「あ……えーと、こんな形で、気持ちを伝える気はなかったんですけど……」

「うん」

「舞台で三上先輩を一目見た時から、好きでした。俺と付き合ってください!」

 このタイミングを逃せば、一生、後悔する。その確信から、俺は厨二病とは程遠い、ベタな告白をした。






「うーん。もっとロマンチックなセリフなら、考えてもいいよ。神宮寺夢羽先生が書いてくれたみたいな」

「えー!?厨二病みたいなセリフの方が良いんですか?」

「うふふ。第二幕に期待してるよ、神宮寺くん。私、待ってるから」


 俺は厨二病が少し好きになった。

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