第16話
「おや、森っ子の様子が変だぞ?」
余一の言った通りだった。空中を漂っていたフクロウが、急に上下に細かくぶれだした。その後一気に急上昇してまた落ちる動作を三度繰り返した。
老人たちは不規則で激しい動きに付いていけなくなり、めまいを覚えた。
「なんか、この森っ子は落ち着きがないね」
「んだなあ、虫みてえだ」
そんな台詞が次々に聞こえてくるものだから、小夜は気が気ではない。
(雰囲気、最高に良かったのに、ふたりとも何してくれるのよ!)
少女はこちらからは見通せない藪の向こうの二人を睨みつけた。乗り込んでいって叱りつけたい衝動と、それができない悔しさに歯噛みした。
この場は自分の力で潜り抜けるしかない! 心に決めた小夜は、森っ子と老人たちの間に割って入り、大げさに手を振った。
「はい! みなさん注目です。あの子は『先に進んでほしい』って言ってるんじゃないですか? ほら、その証拠に、ああやって動いて、あっちを示してるんです、きっと。だから、先を急ぎましょう。さあ、早く!」
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