第5話 古代の神

 放課後、いつもの帰り道を明人はひとりで歩いていた。

 町はまだ明るいが、寒さは厳しかった。吐いた息が白く染まった。


 世田高を出て烏山川緑道からすやまがわりょくどうを西側へ歩き、茶沢通りと呼ばれる区道を渡ってからしばし、太り気味のブル・テリアがいる民家を右に曲がると、つきあたりに若林神社がある。

 その脇の坂道を登ってすこし奥に進めば、そこが明人の実家だ。


 明人が到着したとき、家の電気はついていなかった。

 中も静まりかえっていた。


 父母ともにまだ職場なのだろう。

 兄弟でもいれば、もう家に暖かい灯りがついていて、すこしは賑やかだったのかもしれない。

 だが明人は一人っ子だ。

 家の鍵をあずかれる年になってからは、誰もいない家に帰る日が、ずっと続いている。


 最初は寂しかったが、今ではもう慣れた。


 玄関のカギを開けて、扉を引いた。暗い中に入って、


「ただいま」


 と声をかけた。


 答えが返ってこないことはもちろんわかっている。幼い時分、母が迎えてくれていたころの名残だ。扉は勝手に閉まるため放っておいた。


(『おかえり』って早池峰さんに迎えてもらえたらな)


 と、交際がかなり進んだ後のもてなしを、昨日夢で話せただけのクラスメートに期待してしまった。


 だがいずれそういう果報に恵まれる男もあらわれるのだろう。それが自分になるとは想像しづらいのが、わびしかった。


 なんだか疲れた気がして、重たく膨れたカバンを投げるように床に降ろした。


 続けてダッフルコートを脱ぎ、腕にかけた。


 そのとき。


 視界のはしの暗がりで、なにかの影シルエットが動いた。


「……?」


 大きさは柴犬くらい。だが家でペットは飼っていない。そんなサイズの動物が中にいるはずはないのだ。


(目の錯覚か?)


 とも思ったが、やはりなにかいる。


 明人は急いで廊下の明かりを点けた。


「え?」


 そこに、思いもよらぬものを見た。


 見た目は、ネコをモチーフにしたぬいぐるみ。二つの足で直立して、中東あたりで使われていそうな白い服をまとっている。

 エジプトのネコの女神を思いださせるが、精悍さが感じられるので男だろう。ちょうど階段から降りて来たところだったのか、壁に手をついていた。

 謎の存在、としか形容しようのない、本当に謎の存在だ。


 しかもその視線が明らかに明人を向いていて、ばっちり目があった。


 明人もひどく面食らったが、むこうも負けず劣らず驚いたらしく、目を丸くしていた。


「……おかえり?」


 あろうことか、頭に直接響く感じの妙に良い声で迎えてくれた。

 黙っていると不審だから、とりあえず何か言ってみたのだろうか。言ってみられても不審なわけだが。


 かちゃん、と遅まきながら玄関の扉が閉まった。


 静まり返った家の中で、互いに顔を見合わせた。


(また夢。いや今は起きてる。絶対だ。これは一体?)


 思いついたことが頭の中を次々と駆けめぐった。


 未確認動物UMA

 イマジナリーフレンド。

 本当にぬいぐるみでさっきのは幻聴。

 いや、どこかで見たことあるぞ?


 考えるより先に口が動いた。


「お前、夢の中にいたよな。店員のお姉さんにからんでた酔っ払いを止めてた。そうだろ」


 言った後で、明人は


(やべ、馬鹿なこと言った)


 と気がついた。


 明人の夢のことなど、他人が知るはずないではないか。


 だがその途端、謎の生き物は顔を輝かせた。


「やはり見えていたか! 目があったから、まさかと思ったら。しかも昨夜の私も見えていたのだな。その様子だと、私の声も聞こえているな?」


 よほど嬉しかったのか、一気にまくしたてられた。


「あ、うん」


「うむ……!」


 と謎のぬいぐるみは満足そうにユーモラスな仕草で頷いた。

 たぶん本人は重々しくしているつもりなのだろう。だが、いかんせん見た目で損していた。


「いや、驚いた。かくもしっかりと私の姿を見られ、私の声を聞けた者は、あの世界に捕囚された者たちの中では初めてだ。まさか現代人にこれほどの逸材がいるとは。少年、名前はなんという」


「明人だけど。古宮明人ふるみや あきと


「古宮明人か。日本風の名前なのだな」


「いやそりゃ日本人だし。むしろお前こそ誰。ていうかナニ?」


 さっきから気になってしかたなかったことを、明人はようやく聞けた。

 かくも不可思議な相手はテレビやネットでさえ見たことがない。

 なにしろ喋るネコ、それも姿はぬいぐるみなのだ。


「ん? おお、すまない。まだ名乗っていなかったな」


 摩訶不思議まかふしぎなネコ型生物は威儀を正し、おごそかにのたまった。


「私はベル。お前が言うところの【夢】が起こす事件を追いかけている者だ。はるか昔、遠い地で、神として祀られていた」


「……はい?」


 【夢】が起こす事件云々は、明人にはなんのことかよくわからなかった。だが、もう一つの単語はわかった。


「カミ、神。神様ってこと?」


「うむ」


「ごめん。信じらんない」


 却下した。

 もちろん彼がただものでないことはわかる。

 なにしろ明人の夢のことを知っていた上に、人語を話す、謎のぬいぐるみ風生物だ。ただものなわけがない。

 だが、だからと言っていきなり自分は神だと主張されてもこまる。


「……不信心なところは、いかにも現代人らしいな」


 自称古代の神様は、目を半目にし、耳を横に寝かせた。いわゆるジト目、イカ耳だ。

 明人のリアクションはお気に召さなかったらしい。



◇ ◇ ◇



(まるであの夢の続きだ)


 自分の部屋で、ベルを見ながら、明人はそう思った。


 寒い玄関で長話するのもあんまりなので、自室に案内したのだ。すくなくとも悪さはしなさそうだと踏んだのもある。


 ちなみに今、神を自称したネコのぬいぐるみ様は、コタツのそばに置いた来客用座布団の上でスコ座りしておられる。

 スコ座りとは人間のあぐらに似た姿勢である。ネコがよくやる。後ろ足だけ前に出して前屈みした感じのスタイルだ。


 エアコンもつけたが、暖風があたるはずのベルの毛は微動だにしなかった。


「ともかく、飲み物どうぞ。お茶で良い?」


 と明人はコタツの上にコップを置き、ペットボトルのお茶を手に取った。いちおうミネラルウォーターも持ってきてあるが、まず勧めるのはお茶でいいだろう、と考えた。


 奇妙な体験をしている、と自分でも感じた。

 起きていることが信じられなかった。

 

 今は目が覚めている。ちゃんと朝に目を覚ましたのだ。

 だから、これは夢でなく現実だ。それは間違いない。


 だというのに夢の住人にすぎなかったはずのネコのぬいぐるみ――自称神様が、現実に出張ってきている。


 起きていることになんとかついていこうとしているが、実のところ目がまわりそうだ。

 わからないことがありすぎる。

 一体どうなっているのか? なぜこうなったのか? 本当に彼は古代の神なのか? 仮にそうだとしてどう対応すればいいのか?


「気をつかってもらったことには礼を言うが、遠慮しよう。私は飲めないから無駄にしてしまう。もしおそなえのつもりなのであれば、気持ちだけありがたく頂いておこう」


 とベルは手を横に振った。


「あ、お茶は苦手?」


「そういうことではない。つまりだな……こういうことだ」


 ベルはすっくと立ち上がって、机の上のコップにむけて手を伸ばした。


 そのモフモフした腕が、硬質のコップを貫いた――ように見えた。


「!?」


 驚いたが、コップは壊れていなかった。


 これは一体、と思っていたら、ベルが今度はコップに突き刺さったままの腕を上下に動かしてみせた。


 透きとおっているのだ。

 まるで拡張現実ARである。モニタを通して見ていない点が、決定的に違うわけだが。


「私はこの世界に肉体を持たない。上位世界と呼ばれる神の住んでいる世界が別にあって、実際はそちらにいるのだ。お前の目の前に私がいるように見えるのは、私がお前の感覚に訴えてそう錯覚させているにすぎない。せっかく茶を出してもらっても飲めないのはそういうわけだ。そもそも飲むための体がないのだよ」


「な、なるほど……」


「そう驚くことではあるまい。普通に考えれば、そんなに目を白黒させることではないとわかるはずだ。むしろ、お供え物を神に飲み干されたほうが、よほど驚きだったはずではないか?」


「まあ、そうね」


 驚きの存在に指摘されてしまったが、それはたしかにその通りだと思った。


 明人とて、もし祖父宅の仏壇にお供えした菓子がいつのまにかなくなっていたとしたら、誰かが下げたものと考える。

 『あの世に持ち逃げしたのは誰だ?』などと先祖を疑ったりはしない。


 それなら、と明人はペットボトルのお茶をしまいこみ、改めて問うた。


「それじゃ、えーと。ベル……様?」


「ベルでいい」


「じゃあベル、どうしてわざわざこの家に? 息子が言うのもなんだけど、たいした家じゃないよ」


 と聞いた。


 古宮家は別に名家でもなんでもない。ごく普通のサラリーマン家庭だ。この家だってまだローンが残っている。


 しいていわくを挙げるとすれば、渡来人が先祖にいたかもしれない、くらいか。だがそれさえ記録が残るわけでもなく、はっきり言えば与太話だ。明人にそれを聞かせた父も、ビールを片手に酔っ払いながら話していた。


「いや、目当てはお前だ。もしお前が私の声を聞けるようなら、お前の右手のひらに表示されている数字のことについて教えてやろうと思ってな」


「っ!?」


 隠していた数字のことをおもむろにあばかれて、明人はぎくりとした。心臓が嫌な鳴り方をした。神を名乗るのは伊達ではないらしい。


「これがなにか知ってるの?」


「ああ、すこしだけだがな。ちなみに今いくつだ?」


 明人は黙って己の手のひらを見せた。知っているなら隠してもしかたないだろう。


 また見えないと言われるのではないか、と思ったが、


「【5】か。だいぶ残っているほうだな」


 とベルは明人の手のひらを見て、事もなげに言った。

 幸十には見えなかった数字が彼にはちゃんと見えるようだ。夢の住人だからか、それとも本当に神だからなのか。


「残っているって、なんのこと。これ一体なんなの」


「そう前のめりにならなくても教えるが、その前に、落ち着いて聞くと約束してほしい。かなり厳しい話になる。良いかな」


「……わかった、約束するよ」


 正直なところ聞くのは怖かった。だが聞かずにいられなかった。


 月々の小遣いが減るとか、もっと勉強時間を増やさないといけなくなるとか、そんな程度の話であってくれればいい。

 だが、そんな軽い話ではないだろうという予感があった。


 胸にいやな重みがかかるのを感じながら、明人は返答を待った。


「よろしい。その数字はな、お前の余命だ」


「ヨミョウ?」


「お前が死ぬまでの日数、ということだ。昨晩は【6】だったろう。それは、あと6日ある、という意味だ。そして朝を迎えたら【5】になったろう。あと5日ということだ。ここまで言えばもうわかると思う。カウントダウンが完了し、手のひらの数字が【0】となったとき、お前は死ぬのだ」


 粛々と話された衝撃的な内容に、明人はすぐ返事できず黙りこんだ。


 頭が理解を拒否していた。


 当然であろう。

 いきなりそんなことを言われて、誰がはいそうですかと受け入れられるのか。


 たしかにベルの様子は真剣そのものだ。

 今日の昼、旧友の幸十から聞いたこととも一致する。

 ずっと感じていた不吉な予感とも嫌になるほど整合性がとれる。


 だが、それが本当だと認めたら、自分はあと5日で死ぬことになってしまうではないか。


 こんなふざけた話はない。

 自分はまだ高校生なのだ。

 重病を患っているならともかく、健康そのものな高校生だ。

 死ぬのはおかしい。


 だから、もしかして本当なのではないかと薄々感じながらも、


「信じられない」


 と逆のことを言って首を振ってみせた。


「無理もない。だが残念ながら事実なのだ。もう何人も実際に死者がでている。原因不明の昏睡死として扱われているがな」


 冷静に答えられ、明人は反駁できずに唇を噛んだ。


 昏睡死。

 そのフレーズも、どこかで見た憶えがある。


 しばし考えて、


「……仮に、それが本当として、だよ。なぜそんなことに? 俺、どこも悪くないんだけど」


 そう問うた。


 とにかく今は否定せず、最後まで話してもらおうと思った。


 ベルの話がどこまで本当なのか正直よくわからない。本当のことを言っている気もするが、検証できないから肯定も否定もできないのだ。

 といって、実際に手のひらの数字に悩んでいる現状、適当に流す選択もない。


 となれば、ひとまず本当だと仮定して話を進めてもらうしかないだろう。矛盾が出たり、大きな要求をされたりしたら、その時に待ったをかければいい。


「あいにくと原因に関して現段階で言えることはない。私も調べている最中なのだ。今はっきりわかっていることは、数字がゼロになった者は死ぬ、ということだけだ」


「言えることはないって、そんな。それじゃ俺、どうすればいいのさ」


「それは私ではなく己に問うことだろう。残る人生をどう生きるかは、自分で決めるべきだ。いちいち神にお伺いをたてるのではなく、な」


 明人はイライラしてきた。

 死の宣告がショックだったのもある。

 だがなにより、死ぬぞと脅しておいて、解決方法をいっこうに説明しようとしないのがひどいと思った。


「そういうことじゃないよ。だって、この数字が0になると死んじゃうんでしょ、俺。いや、死ぬと完全に信じたわけじゃないけどさ。たしかめるわけにいかないから、ひとまずそうだとして。死を避ける方法を教えてってこと。ベルがわざわざ来てくれたのも、結局それを言いに来たんでしょ?」


 そうまくしたてた。


 『もちろんだ、私を頼りにしろ。私は神だ。今からお前が助かる方法を教えよう』。

 そんな感じの答えが返ってくるものと思っていた。


 だがベルは気の毒そうな顔を明人に向けた。そして重苦しい声で答えた。


「すまないが、それは違う。私がここを訪れて、お前に余命のことを教えたのは、残る余生を大切に生きるよう伝えるためだ」


「……………………」


 明人はめまいを覚えた。


 あんまりではないか。余生を大切に生きろとは。それが高校生に言うことだろうか? しかも話を信じるならあとたった5日だ。


「それはないよ。人を救ってくれるんじゃないの? 神様って自分で言ってたじゃない」


「神だとも。だが神とて全知全能ではないのだ。そうあれかし、と人に願われているだけでな」


「じゃあ、助かる方法は本当にないの? ぜんぜん? 俺、なんだってするよ」


 そう問い詰めると、またベルは黙りこんだ。


 今度はさっきとすこし様子が違った。言おうかどうか迷っている風に見えた。


(あれ?)


 と思った。なにか隠している。


「教えて。どんな話でも、落ち着いて聞くから」


 ずいと身を乗りだして、そう頼みこんだ。


 するとベルは、明人の顔をじっとのぞきこんだ。まるで古物商が美術品を鑑定するかのように。


 不思議な光をたたえた瞳で見つめられるのは落ち着かなかったが、それでも明人はベルの目から逃げなかった。


「……実のところ、あそこに囚われた者たちのために試みている方法はある。まだ成功例がないので、あまり期待されても困るがな」


「なんだ、やっぱりあるんじゃない。じゃあそれを俺にもやらせてよ」


「断る」


「どうして」


「成功の見込みが薄いし、なによりまだ若いお前には過酷すぎるからだ。……そんな顔をするな。これはお前のために言っているのだぞ。私の都合だけで言えば、ともに挑戦してくれる人間が欲しいくらいなのだ。いいか、なにごとも無鉄砲に挑みさえすればいいというものではない。挑んだせいで、かえって命を縮めることもあるのだから」


「それでもいいよ」


「なんだと? なにを言うのだ」


「だって、やるしかないじゃない。何もせずにいたら結局5日後に死ぬんでしょ。だったら、どんなに見込みが薄くても過酷でも、生き残れる可能性のある道に賭けるのみだよ。でしょ?」


 ここが正念場だ。

 そう思って、ことさら強く言い、明人はベルの大きく見開いた目をしっかりと見つめた。


 それは、


(ここで少しでも退いたら、きっと相手にしてもらえない)


 という計算でもあり、本音でもあった。

 倒れるときは前のめり、である。


 『もしこれでベルの言うことがデタラメだったら』そんな迷いがちらりと脳裏をかすめたが、すぐに追い払った。


 今は本当であることに賭けるのみだ。


 ここで押し切れなかったら、たぶんベルはこのまま立ち去ってしまう。彼の用件は済んだのだ。長居する理由がない。

 そして、一度立ち去ればおそらく二度と顔を見せないだろう。


 するとどうなるか。

 明人には、右手のひらにはりついた数字をどうしようもできずに、一人で頭を抱え続ける日々が残るのだ。


「……いいだろう」


 果たして、その言を引き出せた。


「じゃあ!」


 明人は勢いこんだが、ベルは押しとどめるように両手を突きだした。


「待て、待て。話はまだ途中だ。なにも言わず、そこのベッドに横になれ。あおむけでな」


「え? ……なんで?」


「いいから騙されたと思ってやってみろ。この地でも百聞は一見にしかずと言うのだろう」


「そりゃいいけど」


 意図がまるでつかめないが、ともあれ言われた通りにすることにした。せっかく潮目が変わったのに、変に逆らって機嫌をそこねられても困る。


 明人は学生服のままベッドに上がって、かけ布団と枕を脇にのけ、後ろに倒れこんだ。


「これでいいの?」


 あおむけになった状態で、首だけ動かして問うた。


「うむ。ではやるぞ。動くなよ」


 そう言うなり、ベルはとつぜん高く飛び上がった。


 高く、高く――部屋の中の学習机より高く。


 しかもそのまま明人のほうに自由落下してきた。さながら寝そべっている人間に着地したがるネコのように。


 だが彼の体長はおおむね柴犬サイズである。目測で60センチほどだ。つまり絶対重い。


「は!? ちょ、待っ……!」


 明人はとっさに肘をついて起き上がろうとした。

 だが、まさかの行動に反応が遅れた。

 なんとか上体こそ起こせたが、そこまでであった。


 ドンッ!


「おう゛っ!?」


 ベルのドロップキックがまともにみぞおちへ入った。

 えぐるような重量感が思いきり内臓に響いた。

 視界が暗転した。


「なにすんだよ!!」


 涙目で怒った、そのとき。


 いつもの帰り道に、明人はひとりで立っていた。

 町はまだ明るいが、寒さは厳しかった。吐いた息が白く染まった。


「……えっ?」


 見慣れた光景の中に、玄関で脱いだはずのダッフルコートを着て、立っていた。


 呆然とした。


 烏山川緑道の、世田高の近くだ。

 それはわかる。


 だが、自分の部屋にいたはずではなかったか?


の創った世界へようこそ」


 気がつくと、ベルが真正面に立っていた。歓迎の意を表してか、大きく手を広げていた。


「と言っても、【夢】だがな」

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