第175話 素出川失踪の謎を追えⅠ

「瞳楽、素出川くんのアパートに行かないかい? 君も一緒にどうだい? 素出川くんが君たちにとっては、僕にとっての光にぃだろ?」

「光にぃ?」


友子は " 光にぃ " に反応する。

出来れば、反応しないで欲しい。

陽太郎にとっては、光太郎のエピソードはトリガーだ。メルトダウンだ。死のカウントダウンだ。


「友子、良いから。陽太郎、素出川のアパートなんて何回も行ってるんだけど。扉、開かないし。スマホが中にあったかもしれないけど、電源落ちたか、いつの頃からスマホの音もしないし」

「だからさ。行って確かめないと、死んでるかもしれないだろ?」

「止めて!」


友子が叫んだ。

私も叫びたいけど、その可能性を考えなかった訳ではない。

最後にあった日、素出川はインフルエンザだった。

体調はかなり悪かった。

それ以来、会っていない。

つまり………。


「………行こう」


こうして、私と友子、陽太郎でアパートに向かった。


素出川のアパートに着く頃には、日が沈んでいた。

ベルを鳴らす。

やはり反応が無い。

携帯を鳴らす。

反応はない。

扉を叩く。

反応が無い。


「いないね」

「う〜ん。僕がやってもいいかい?」

「いいけど………」


陽太郎は扉をドンドンと叩いた。

その時だった。

中で、物音がした。


続く。

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