第51話 新たな町
装置専用の円形状の部屋だ。
中心から円を描くように大きな魔方陣が床の少し上で回っているのが見えた。
内側が右に、外側が左に光を放ちながら。
「おぉー魔方陣だ」
ゲームの世界に入ったような感覚に陥った。
今さらなんだけどこういうのを見るとテンションが上がる。
「あなた達、家の魔方陣を何回も見てきたじゃない」
「そうなんだけど。大きくなると迫力とか上がって、つい嬉しくなって」
「そうかしら? ……まるで魔法を初めて見ている子どものよう」
「移動先の場所は町の路地になってるよ。人にぶつかる心配はないから安心してね」
王はそう言っては近寄り。
「……すまない。こんなことになってしまって」
「あら、あなたそんな野暮なことを言うのね。もう決めた事なのだし、今さら謝らないでほしいのだけど?」
罪悪感を抱えていた顔から笑顔が溢こぼれた。
「うん、そうだね。あと行く前に。彼女は変わり者、悪い意味じゃないんだけどね。手紙を渡したとして手伝ってもらえるか少し心配なんだ。だから、その時は何度か頼み込んでほしい。この国のためにも」
「やれるだけやってみます」
王さんの不安そうな言葉にボクはそう答えた。
そのあとボク等は魔方陣の光に包まれて、転送された。
王さんの言っていた通りの場所に着く。
「さて早く手紙を届けないとな」
「でも、どこに持っていけばいいんでしょう……?」
そういえば肝心なこと聞いていなかった。
だれに渡せばいいのかは聞いたけど、何処にもっていけばいいのか聞いてない。
封印から出てくるやつの事を考えていていたらもうこっちに来ていた。
そんな事を考えているとクルはボクと美鈴に向かい、言った。
「私達が案内しますよ、お兄様に美鈴。ね、お姉様」
「えぇ。ここには何回か来たことあるから、道はある程度分かるわね」
そう言ってアルミスとクルは先頭を歩き始めた。ボク等はその後ろに付いて行った。
それらしきところに着く。ここがこの町で一番大きい。お城、というよりは館に近い建物だった。
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