第46話 魔物討伐

 王都を少し離れた平原。

遺跡跡のような瓦礫の散乱する場所で狼のような魔物を退治。

 絵と同じ魔物を探しているときだった。

「お姉様。向こうに誰か……」

 クルがそう言って指さす方向を見た。

「私達と同じように依頼を受けているんでしょ。でも一人で魔物の群れと戦うなんて。相当強いのね」

 剣を振り回す音が聞こえてくる。魔物は一角の生えた馬のよう。

 あんな大剣ならボクは自信を持って言える。振り回せないと。

だって、今持っているこの剣ですら重くて振りづらい。気を抜くと剣の重さで体が持っていかれそうになるから。


 その場を離れ、少し歩いていく。

「お兄ちゃんあれ。あの魔物が狙っているやつじゃないですか?」

 遠くに絵と同じ魔物が数体見えた。

「あぁ、うん。……頑張らないとね」

「壱曁。せっかくだし教えた遠距離魔法でも使ってみたらどう?」

 あれまだ慣れてないんだよな、魔法。詠唱なんて覚えていないものばかりだし。

「斬撃のやつ。出来るかな。練習の時いまいちだったけど」

 その言葉にアルミスは腰に手を置いて、返す。

「もしもがあっても任せなさいって言ってるでしょ? あなたなら大丈夫。頑張って」

「そうだね」

 みんなから離れるようにボクは少し前に進んだ。そしてその斬撃をイメージし剣に力を込める。

すると次第に剣の回りに青白い光が見えるようになった。よし、練習通りに。

 ふと後ろを向くと美鈴は弓を持ち、クルは杖を構えていた。

「はあぁ」

 息を吐き出し集中する。少し遠いが攻撃は当たる……はずだ。

呼吸を整えて剣を両手で持つ。そして握りしめ振り上げる。

「……」

 思い切り、剣を振り下ろす。

音とともに衝撃波が飛び魔物に命中した。一匹だけに当たった。

衝撃波が一つしかなかったからだ。もっと練習すれば複数出すことも出来るらしいが。

「あたった!」

「流石ですお兄様!」

 一体が倒され、群れで行動していた残りの魔物がこっちに気づき走ってくる。

「でもまだ結構いるよ。倒しきれるか」

「お兄様! 今度こそ私の出番です! 美鈴。私が詠唱している間弓で援護してください!」

「了解です」

 クルはボク等から少し前の方に離れて、詠唱を始めた。

そして美鈴は近くの瓦礫の階段を上り高台から敵を狙う。

「お兄ちゃんとアルミスは見ててください!」

 クルに近づく魔物に矢を撃つ。討っていく。

「終わりました! 美鈴、もう大丈夫です!」

 しばらくしてクルがそう言うと同時に射つのを止めた美鈴。

「お兄様。見ていてくださいね」

「う……ん」

 体の周りに青白い物質が漂う光景を見ては息を呑む。

「これは迫力の大きいものが見れるわね」

 家から持ち運んだ杖の先を突き出し、全神経を注ぐように敵を見ては。走ってきていた魔物の群れ全体を囲むように火柱が立ちあがる。

 その熱気は離れているはずのこっちにまで伝わる程のものだ。

「うわ。凄いな」

「ふふっクルはああ見えて十分に強いのよ? 私の自慢の妹だからね」

 確かに絶大ともいえる威力だった。

 一息つき、クルが駆けつける。

「どうですどーです⁉ お兄様!」

「凄かったよ!」

「えへへ、ありがとうございますお兄様」

「私も頑張りましたよ、お兄ちゃん」

 気づけば美鈴も戻ってきていた。

「美鈴もありがとう助かったよ。二人のお陰だね」

「それに目標だった数も倒し終わったわね」

「やりましたね、美鈴!」

「はい」

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