第31話 一時休憩
「どうしたの? いまさらなこと言って」
改めてあいさつを言われ気になって問い、体勢を変えて座ろうとした。
しかしアルミスに押さえられて座れず膝枕続行となった。
「まだ寝てなさい。……私はね、そんなにしっかりしたような者じゃないの。みんなに迷惑をかけてばかり。だけどこれからもずっと一緒に居てほしくてそう言ったのよ」
アルミスもまた、ボク等に居続けてほしいと言った。
特に心配する事でもないと思うんだけどやっぱり過去の嫌な思い出と照らしているのだろうか。両親をなくした哀しみをもうしたくないんだと、死別なく離ればなれになるだけで悲しいと。
そもそもあの屋敷を離れる理由なんて無い。
少しの間を開ける。
「それはそうと、いつになったら起こさせてもらえるの?」
膝枕をやられたままのこの状況。アルミスはボクが起きないように手で肩を押さえている。
「何となく、私が満足するまで」
「……迷惑かけるってこの事」
アルミスは笑っている。楽しそうにクスクスと笑っている。
いつの間にかボクは起き上がろうとするのを諦めていた。
「やっと諦めたのね。それじゃあ私があなたに何しても問題ないわね」
「へんなことはやめてよ」
「変と思うようなことはしないわよ」
顔を横に向け目を閉じた。
「あらまた寝るの? 膝の上で寝るのが好きってまるで子ネコね」
苦笑いを返していた。
「せっかく膝貸してくれるんならと思って」
「いいわよ。おやすみなさい」
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