第28話 光の広野

 光が弱まり、次第に周りを見渡せるようになっていく。

 気づけば、見知らぬ草原に立っていた。

「ここは…?」

「とある丘。…と言うと曖昧だけど、見晴らしの良い場所よ」

 確かに。見渡す限りの草原が風に靡いている。

 遠くの方に塔が三つ程見えるけど。あれはダンジョン的なものかな。

「向こうの方に微かに見える塔ってなに?」

「あれは聖霊が居てるっていわれている塔よ。見えにくいかもしれないけど、それぞれの属性の石が上の方で薄く光っているのが見えるでしょう?」

「あー…。見えた」

 目を細めピントを合わせるとやっと見える程だ。メガネを掛けているのに見えにくい。

こりゃあ絶対的にアルミスの方が目は良いな。

「それで、どうしてここなの?」

「街中がよかった?」

「いや、特に考えてないけどね。…まぁ出店を廻まわって食べ歩きってのを想像してたよ」

「結構考えてくれているじゃない。この用事が終わったらそうしましょ♪」

 手を合わせてアルミスはそう言った。適当だったんだが案外良かったようだ。

「あ、でも朝食用の弁当持ってきたしな」

「お昼に出店をまわりましょう。それに今日はとことん付き合ってもらう予定よ?」

 手を後ろで組みボクに笑顔を見せている。二人でいられるこの状況を楽しんでいるようだ。

「疲れそうだなぁ…。あーそういや用事って?」

 だいぶ歩きそうだ。

と、考えているうちに少しずつ明るくなっていく空。

それを見てアルミスは言った。

「さっきも言ったけれど、ここは見晴らしが良いの。つまりはこの景色をあなたに見せたかったのよ」

 アルミスはボクの方を向いて手を開いた。その手のまま塔の方に手を伸ばして指をさす。

 すると日が昇り、次第に塔の後ろにちょうど重なるようにきてさっきより強い光を放っている。

「おぉすげー!」

 日に照らされ輝く石。それがまたファンタジー感を増長させている。

 いつの間にか、疲れが少し取れていた。

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