第59話
「ただ、オーディションでの情報を調べきれただけで、その中で詩羽さんと舞島さんが接触していたかどうかは分からなかったの。けど、ある程度の確執が生まれてもおかしくはない状況」
確かに乃雪の言うとおり、舞島の奴が麗佳に対して逆恨みしてもおかしくはない状況だ。
ただ、舞島の態度から察するに、そう単純な逆恨みとも思えないが……、その辺りは乃雪の情報収集能力を持ってしても難しいだろう。そもそもオーディションっての自体が何年も前の話であろう事は予測できるし、その会話内容や噂なんてものは探しようがないだろう。
ただ、これだけでは舞島に対して弱味を握るのは難しい。
この情報を元にして舞島の奴に接触すればどうにかなるか……、いや、あいつがそう簡単にネタを割るとは思えない。下手を打てばこっちの弱味をチラつかされれば、その時点でアウト。
弱味にするならある程度決定的な情報を入手するしかない。
「それに……あと一つ。舞島さんに対して入手した情報があるの。これでにぃが納得しなければ、ノノはにぃに犯されてしまうの」
「うんうん、殺すとは言ったかもだが、犯すとは一言も言ってないぞ、マジで誤解を招きそうな事を言うなよ、ぶっ殺すぞ」
「にぃは妹モノの本を持っているから、適性があってもおかしくはないの……ノノ的にはそういう愛憎展開を迎えるのも悪くないの。一緒に退廃的な日々を過ごすの」
「……本当にそのネタで脅すの止めてくんねぇかな」
あれはたまたまそういうのを持っていただけで、変な感情は一ミリもないから早く忘れて欲しい。
「じゃあ、教えるの。場合によってはこれで形勢は一気にひっくり返るの」
「本当にこれで大したネタじゃなかったら、お前を許さないかも知れない」
という前置きを聞いた後、俺は乃雪の調べた舞島のネタを聞く。
そして、
「…………マジで?」
と驚きを隠せなくなってしまった。
幸か不幸か、乃雪のもたらした情報は実用性抜群の、舞島に対する「弱味」には違いなかった。
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