第57話
「それは……うん、にぃとノノは一心同体だから。例えにぃと距離が離れていても、なんでもすぐに分かっちゃうの。理想的な妹なの」
「あとで真実が判明したら、俺はさらにキレるけど?」
「この前ノノが用意した超小型の通信機があったでしょ?」
「ああ、更衣室での作戦で使ってた奴な?」
確か作戦の後は乃雪に返して、それを乃雪は「改良して、もっと使いやすくする」とか言っていた気がするが……。
「あれね、改良して通信機としての機能を強化して、ノノにも会話が聞こえるようにしておいたの。すぐに状況が分かるように。さらに小型にして、集音性能も上げておいた」
「ほう、それで?」
「それ、集音性能をチェックするためのテストとして、にぃの通学用カバンに突っ込んでおいた」
「殺すぞ」
明確にして、率直な殺意が口から飛び出した。
は!? なにやってんの、こいつ!? 俺のプライベートは一体どこ行ったんだ!?
「これでにぃの学校の様子が分かって一石二鳥だったの。ノノは引きこもりだから、にぃの授業参観には参加できないけれど、こんな方法でにぃの学校での様子が分かるなんて……画期的だったの」
「不登校児であるお前には分からないかもだけど、うちの高校では授業参観なんて行事無いぞ?」
つうか授業参観があったとしても、こいつは様子を観られる側で参加すべきだ。
「これによってにぃが学校のみんなからすっごく嫌われている事が分かったの。話には聞いてたけど、実際に分かった事でもっとにぃの事が分かったの」
「うんうん、そんな事は知らなくても良いんだぞー」
と言うか、そうではない。
ぶっちゃけ言えば嫌われている状況を知られるよりも、知られたくない状況が昨日であれば如実にあった気がする。
「にぃ、それにノノは嬉しかったの……普段から学校なんてクソだとか青春とは無縁だとかって言っているにぃにも、青春っぽい一コマがあった事、ノノは家族として、妹といて嬉しく思うの」
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
そう――――昨日は珍しくも女子と二人きりになるという人生でも類をみないシチュエーションを、二回も体験していた。
例えそれがバトルロイヤル関係から端を発した事であっても……なんかこう言うのを家族に知られるのすげぇ恥ずかしいんだけど!!!
つうか普段から青春アンチとかって立ち位置を持っている俺が、そういう状況に出くわした事をよりにもよって家族に知られるのがキツい。なに? なに、この感情!!
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