第13話
「……なんか大変だね、ホント。頑張ってね」
麗佳に憐れまれてしまう俺。一般的な感覚ではやっぱ俺って憐れまれる対象なんだ、そうなんだ。特性『憐み』ってところか。こういう自分だけの特性を活かしてベンチャービジネスで成功したい。無理ですよね、分かってます。
それはそれとして麗佳は炎上の件はおろか、俺の悪評のほとんどを知らなかった。
俺の今回の炎上は学園の生徒であれば、そのほとんどが知っているだろう。でなければ、あんなフォロワーには至らない。
えっと、つまり、麗佳って……。いや、勘違いかも知れないし。
「ん? ちょっと待って。貴方……えっと、円城瓦君って、普段から一人ぼっちって事だよね?」
「勿論だ。去年なんてクラスメイトと三ヶ月近く事務事項ですら言葉を交わさなかったって記録作れたぞ」
「そんな悲しい記録ある? ……じゃなくて。つまり普段はそこまで注目される事って無い?」
「そりゃ何の理由もないのに嫌われ者の事が話題に上がる訳ないし」
「……じゃあ普段のフォロワーって」
「無論、さっきに比べたらカスだな(笑)」
既にフォロワーは下がりつつあった。炎上は既に沈静化しつつある。
話題が尽きたらそれまで。嫌われ者は周囲にとって基本的にはゴミと同等に興味のない存在だ。
いや、むしろゴミは掃除される際には注目される。そういう意味ではゴミ以下の存在が俺だ。これからはゴミ様と敬称をつけないといけない。どういう縦構造社会形成されてんだよ、それ。
「……仲間にする相手、失敗したかも」
「解消するか?」
俺は麗佳に尋ねる。そういう事ならフォロワーアップの為に、また新たな炎上の火種を見つけないといけない。
だが、麗佳はかぶりを振る。
「んー、やめとくよ。一応、恩義もあるし」
「恩義?」
「さっき負けてたのは事実だしね。私には叶えたい願いがあるの。だから、あれで終わらないで本当に良かった。それに免じて最後までは付き合うよ」
「それを聞いて安心したよ」
麗佳はどうやら律儀な奴らしい。こちらとしてはありがたい話だ。
「って事は作戦練らないといけないよね。相方が普段は頼りにできないと知っちゃったし」
「辛辣な物言いだが、事実だ。頼んだぞ」
「少しは否定するかと思ったけど……一切否定しないところに大物感を感じる」
「だろ?」
「嫌な意味で」
「肯定しなければよかった」
麗佳はそこで面白そうに笑った。顔が良い所為でくっそ可愛く見える。マジ美少女って男から見れば惚れポイントのバーゲンセールだわ。数秒後に告白して振られる未来を幻視した。妄想ですら告白成功しないんですね、俺。
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