第40話 袋の中のハゲ鼠 


 天正元年二月。


 岐阜を出立した信長は、三月に京に。


 四月 二十日はつか、北陸道信長雪解けに呼応し家康と共に京都を出立。


 二十五日に敦賀表、手筒山を落城させ、金ヶ崎を攻め落とした。




 朝倉義景の本城を目前に。


 


「浅井長政殿、ご謀反!」


 




 近江おうみ北部小谷城


「この小豆袋を兄上に」


浅井長政に嫁いだお市の方。浅井長政には前妻の男子がいた。

お市の方が産んだ男子を信長は殺すのだろうと大方は予想していたのは、戦国の慣わしだったが。



長政の男子で、三男の名前が判別していない。


三男。


ささ?


三月三日の女児の節句。


茶々ちゃちゃか?


茶々ささか?


日本神話では小豆は女性の女陰に成ると言う。


伊勢外宮の神は、豊受大神。


浅井長政の男子の子供を鬼籍きせきに入れない為に。小豆として逃がすとでも言うのか?



お市の方と三人の娘を助けた木下藤吉郎秀吉は、豊臣秀吉と名乗った・・・・・・。


お市の方の三女、後に徳川秀忠に嫁した於江与の方の娘、千姫の侍女で乳母めのととして仕えた刑部ぎょうぶ卿。

播磨国姫路城で本多 忠刻ただときと半生を過ごした千姫だが、姫路城天守閣最上階には長壁おさかべと言う城下で恐れられる存在がいたと言う。

火傷やけどでもしていたのか?

千姫の乳母とされる刑部卿は浅井長政の娘だったとされる。

姿を隠した存在に、剣豪宮本武蔵は遭ったのだ。本多忠刻にも仕えた宮本武蔵は二刀流。


長壁は宮本武蔵に名刀を授けたのだと言う。


近江源氏は宇多天皇陛下の子孫だが、甲賀者の長である六角、京極、佐々木。

六角氏に仕えた浅井家。

佐々木小次郎と巌流島で決闘した宮本武蔵。

佐々木小次郎は、姫路城で長壁が授けた宝刀を宮本武蔵が持っているか確認しようとしたのか?

伝家の宝刀は、浅井長政から男子継承された証だったのか?

刑部卿は浅井長政の三男で、女児として逃がされた茶々姫だったのか?


信長は、お市の方から贈られた小豆袋で全てを了悟したのだ。


 小豆が入った袋は上も下も結ばれている。


 袋の鼠。


 前門の虎

 

   後門の狼。



第40話 了




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