第27話 吉田の化け清《きよ》

 

 金平糖のイボの数には決まりがある。

 30個。

 江戸時代には金平糖のイボの数を勘定する役職まであった。




「欠けておる……」




「信長様?」


「御堂関白には賢人右府がいた」


 右府うふとは右大臣の事だ。


 小野宮右大臣と言われた藤原 実資さねすけは、摂政藤原道長公時代に道長公に対する抵抗力として批判的態度で摂政に対する対抗政略として、有職故事に精通した存在だった。


 小野宮と呼ばれた惟喬これたか親王は、田村天皇とも呼ばれた55代文徳天皇の皇子であり、きこり=木師きじの祖とされたが、惟喬親王の邸宅が小野宮と呼ばれ、小野宮に邸宅を構えた藤原実資公は小野宮右大臣と呼ばれた。



  藤原道長公の有名な和歌




「この世をば

     我が世とぞ思う

            望月の

       欠けたる事の 

               無しと思えば」


 


 鳴かぬなら殺してしまえ


 ホトトギス


 ホトトギスは中国地方では無実の罪での弟を疑い殺してしまった兄が弟の命を惜しむ名前に由来していると言う。


 有職故実。


 氷室ひむろとは、冬季の氷に室をかぷせ、暗室で氷を保存する洞穴の事で、氷室守とは氷室の守り部の事だ。


「氷室守が信長様に謁見に……」


 信長公の義弟浅井長政の北近江攻め。


 夏。


 首は腐る。


 塩漬け、氷漬け。


「吉田の化けきよか……?」



「あやつの顔で夏でも涼むわ……」



第27話 了

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