心理・情景描写の関係性
お久しぶりです。前回のコメントを読んで、思ったことがあるので最初に少し触れますね。
皆さんのコメントを読んで思ったのは、情景描写は適度な文章量がわからない点が特に難しいのではということ。書いて慣れるしかないのかも。
興味深いと思ったのは、一人称視点で情景描写をする場合、語り手が描写に影響することがある点。例えば、小学生が難しい表現で情景描写したら、普通は違和感がありますよね。
個人的には、この他にも一人称で書く時には難しい点がある気がします。
例として主人公の自室。主人公がいつも使っている部屋なのに、はじめて来た部屋のように丁寧に描写するのはどうなのだろう……と。主人公の住むその部屋が少し変わってるとか、特徴的ならば描写すべきなのではとも思いますが。
このように一人称だと、語り手とその風景(または場所)の関係性や語り手がその風景(場所)をどう思っているのか、それによって描写に影響が出る気がします。
情景をどう感じるのか。これって心理描写につながる気がしませんか?
ということで、前置きが長くなりましたが、今回は心理描写のお話。三人称で書く場合でも心理描写はありますが、今回は一人称の話。
心理描写する時に悩むのが、地の文の書き方。例えば、言葉の省略を使っていいものなのか。
省略の例として、ら抜きですよね。「俺は辛いものを食べられない」→「俺は辛いものを食べれない」のような。
一人称視点にこだわるなら、日頃からきちんと言葉を使っている人は少ないでしょうから、ら抜きにした方がリアルな感じです。ただ、文章としては正しくはないので頻繁に使っていいのかどうか……と毎回悩みます。一人称で書いてると、どこまで文を砕けさせていいのかよく迷いますね。
ところで先ほど、語り手がその風景をどう思っているのかで、情景描写に影響があるのではないかと話しました。自分の過去作を見ていて、それっぽい描写をしている作品があったので取り上げてみます。
まずは、こちら。
「目の前はゆらゆらと揺れる青で満たされ、跳ねた水から生まれた、多くの泡が俺の周りで嘲笑うように踊り、はじける音を響かせている」
これは、泳ぐのが嫌いな男子高校生による海中の描写(〜ようにを使ってしまってますがお気にせず)。ここでは、主人公が泳ぐのが嫌いなので海も嫌な感じがするように描写したつもりです。
で、一方こちら。
「深い青を光が叩いて揺れ動かしているようで、特に海面のあたりは細かい光と波の動きがぶつかいあい万華鏡を思わせる美しさで、その向こうには太陽まで見える(中略)包み込んでくるようなその輝きに目をとられて、思考が停止する」
こちらは同作品内での、同じ主人公による海の描写なのですが、この時の主人公は海に対する嫌悪感が薄れています。なので、私としては海の美しさが感じれるように書いたつもりです。
上手く描写できているのかはよくわかりません。ただ、こうして比べてみると、語り手がその風景に対して抱いている感情(心理描写)が情景描写に影響を与える場合があるのかもしれないなと感じました。
心理描写と情景描写って、対称的な言葉としてよく使われていますが、こんなふうに通ずるところがあるのかもしれませんね。
ということで、心理描写の話というより心理描写と情景描写の関係の話になってしまいましたが、ここまでありがとうございました。
さて、ついに来月で12月。今年ももう終わるとは、時間の流れは早いものです。そしてこのエッセイも次話でどうやら20話目。次は何の話をしようかな……。
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