書き出し、色々。

 さて、三月の終わりも近づいてきました。今年度も終わってしまいますね……。世の中は落ち着かない状態にありますが、四月からは少しでも上向きになればいいな、と思います。

 カクヨムでは、今年度ロイヤルティプログラムが導入され、先日のKAC企画でもリワードが賞金になっていましたね。

 広告のあるカクヨムにも慣れてきました。日頃使ってると慣れるのも早いものです。


 ということで、この流れで今年度の振り返りをしようと思うのですが……その前に、今回も執筆に関する話でもしましょうか。

 このエッセイでは、タイトルや文体のように、作品を書くうえで重要な要素についていくつか話してきました。

 でも物語を時に、皆さんが決まって悩むことがあるはず。

 そう、書き出しです。

 書き出しは、タイトル→キャッチコピー→あらすじといった作品の入り口を通り抜けてから、はじめて現れる物語の本文。重要な要素ですので、私はかなり悩みます。

 読みはじめてから、物語の中にすっと入り込んでいける書き出しが私の理想で、どの書き出しも作品の雰囲気に合わせつつも興味をひくように書いてきたつもりですが、上手く書けている自信はないです。


 例えば「主人公が朝起きた時に自分の部屋にたいして違和感を抱く」という物語のはじまりがあるとすると、


 カーテンの隙間から差し込んできた光で、目が覚めた。おもむろに起き上がり、ぼんやりしたまま何気なく周りを見渡して、に気づく。

 何かがおかしい。


 何かが、おかしい。

 朝起きて俺がすぐに感じたのは、自分の部屋に漂う奇妙な雰囲気だった。



 のように色々表現できます。一個目は主人公の動作を順番に書き、二個目は違和感に対する主人公の感情を前に出した……つもりです。

 個人的には二個目の書き出しの方が好きですけれど、人によっても好みはあるでしょうし、書き出しも書き方を色々と試していくしかないのでしょう。練習あるのみ、ですね。


 ということで、振り返りをかねて今年度書いた作品の書き出し(1)~(5)を置いてみますので、興味がひかれたものがありましたら、よろしければコメントにて教えて下さると嬉しいです。

 どんな書き出しが興味をひかれやすいものなのか、気になるので参考にしようかと。物語の内容にもよるので、難しいかもしれませんが。

 こうやって自分が書いたものから学んで、執筆に活かしていければいいですよね。それぞれを並べてみると、書き出しが弱いものもわかってきておもしろいです。来年度の作品では、少しでも成長できたらいいなーと思います。





(1)

 あぁもう、全てが嫌で仕方なかった。雨も、濡れるのも、この感情も、全てが。

 雨がザーザーと強い音をたてて昨晩から降り続いていて、一向に止みそうにない。



(2)

「お前、海斗って名前のくせに泳げないのかよ」

 そう、言われたのは何時いつだったか。確か、小学校の頃、通っていた水泳教室で同じ生徒に言われたはずだ。



(3)

 絶え間ない雨の音が、室内に鈍く響いている。カーテンが開けられたままの窓から雷光が入り、明かりが消された室内を何度も照らす。



(4)

 その森には、人を食う精霊がいる。

 それは、彼女が祖父から何度も聞かされてきたことだ。

 けれど今、少女がいるのはまさに精霊がいる森、その真ん前だった。



(5)

 君はあの日、ここで夕日に縁取られながらピアノを弾いていた。

 合唱部の活動が終わった後、音楽室のピアノは君に独占されていた。






 ということで、振り返ったところで今回は終わりとします。

 次の更新は来月になるかと思います。これからは忙しくなりそうなので、書くのも読むのもかなりゆっくりになってしまいますが、頑張って更新していきたいと思います。いつも読んで下さり感謝ですー。

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