第21話 『宝石のダンジョン突入直前のお約束イベント』

俺とユリアナはギルド長に見送られてギルド支部の建物を出ると早速、西門に行き門の外に出る許可を得る。


許可を得ると言っても、門の所に設置してある能力板に手を触れるだけでいい。

何処の街でも、身元確認は大変みたいで冒険者ギルドと協力して街の治安維持に貢献するという意味で冒険者ギルドに登録を各都市は推奨している。


この冒険者登録する事により、罪状確認、犯罪者の街の流入を防ぐ目的もあり、普通の人間にとっては通行料の免除、門の出入りは手を翳すだけとメリットがある為に殆んどの人が冒険者ギルドで、登録を行っている。


ただ通常の冒険者と違いランク欄に『H』のランクが刻まれ、通行証としての登録のみの表示が付与されている。

これにより以前よりも街の治安は随分と良くなったらしい。

と・・ギルド長が俺の冒険者登録を行う時に教えてくれた。


俺とユリアナは早速西門を潜って門の外に出ると賑やかな市場街が目の前に広がっていた。

目の前の魚を売っている店は、体調10メートル以上もある淡水魚レクリアを豪快に切り売りで一切れ銭貨1枚で売っている。


一切れあれば家族4人が一日食べれそうな分量を豪快に切り落としてゆく。

まあ長さ10メートル、直径2メートルの胴体みたいだから20センチの厚さに薄切りしたとしても相当な量が取れる。

ルーアル川の恵みといった所だろうか。

銭貨1枚で一家4人が食べれる分量を買えるって言うのも凄い

白パン1個銭貨10枚という事を考えるとめちゃめちゃお買い得って感じだな。



この市場は庶民の台所と言った感じなんだろうな。凄く賑わっている。

そんな市場通りを抜けて城の城壁伝いに道を2キロ程南下した所に俺達が目指している『宝石のダンジョン』はある。


エストレイアの街から近いという事もあり、冒険者にとっては結構人気があるスポットだが、1階層でも比較的弱い虫系の魔獣で油断していると硬い宝石魔獣が出てきて一瞬で致命傷を負わされてしまう。


その一番の原因はこのダンジョンの名前『宝石のダンジョン』に由来する通り、兎に角宝石モンスターは硬い!!固くて普通の冒険者じゃ太刀打ち出来ない!!

4人から5人のパーティーを組んで堅実に進まないと確実に死んでしまう。


だから堅実な冒険者は2階層までで無理をしない程度にこの『宝石のダンジョン』で稼ぐのだ。

一階層でも頻繁にエメラルドモンスターが出没する。そのエメラルドモンスターを狙うのが一番効率よく稼ぐコツらしいとサーグスギルド長が教えてくれたが・・・

当のユリアナはそんな物には興味がなく、当然30階層のボス、ダイヤモンドゴーレムが出すレーンボーストーン一択!!


相変わらずブレない奴だぜ!!


そして今・・・

『宝石のダンジョン』に向かう街道の道では


「よぉ~そこのドレスのねえちゃんよ~俺達と一緒に行こうぜ~」

と言い寄ってユリアナの肩を掴んでこようとするが・・


「ふごっ」

「ドドーーーーーン」


という音と共に周りの畑に吹き飛んでゆく。

俺を抱いているユリアナはそれを見て

「キリスの嫉妬に吹き飛ばされるの解っているのに、懲りない人達ね~」

などと宣っている!!

「誰が嫉妬だ~~悪意万倍返しのトラップと言えよ」

と俺も応戦するが・・

「だ~か~~ら~~それが、キリスが嫉妬した結果でしょ?」

とどうしても俺のユリアナの¥に男が寄ってくる嫉妬と結び付けられてしまう。


「嫉妬じゃねえ~~つうの」

「ふふっ~それが嫉妬なのよん~可愛いキリス~私が一杯~~愛してあげますからね~~」


『怖えぇ~~怖ぇ~~ぞ~~愛してあげるってどんな事おれはユリアナにされるんだ~~、突っ込めば余計に深みに入りそうだ・・』


黙っていると

「うふふふっ~~もう可愛いんだから~早く大きくなってくれないかしら~私欲求不満になりそうだわ」


『おい!!不安な事言うんじゃない!!』


・・

「ふごっ」

「ズドーーーーーン」


また一人二人と畑の向こうに飛んでゆく。

俺達の周りでは、冷や汗を垂らしながらゴソゴソと何か話しているよう?


「流石、血塗られ姫・・こ・・怖いな・・」


うをぉ~ユリアナ結構有名じゃん!!


こうして俺達は無事?『宝石のダンジョン』に着いた


『宝石のダンジョン』は高さ100メートル位の岩山そびえ立ち、今いる場所から五〇メートルほど石段が山の中腹まで続きその中腹の亀裂より『宝石のダンジョン』へと潜るらしい。

岩山の下に受付の小さな建物が有り、其処で入場の受付を行っている。

能力石に手を翳した後、入場料金の一人銀貨20枚を払い石段を登る。

入口の山の中腹はたかさ10メートルほど、幅5メートルの岩の割れ目から地下に入ってゆく。


入口の中は全て透明な水晶で覆われ、定期的に置かれた発光石の光を反射して洞窟内は眩しい位だ。

階段を降りると、広さ100メートル四方の大きなドーム状となっていて、真ん前に大きな左右開きの鉄の扉で閉じられている。


ある程度の人数ごとにこの鉄の扉を開けてダンジョンの中に入れてゆくらしい。

生存率50%と言うから、宝石に目が眩んだ奴らが無理やり


『もっとお宝を!!』


と調子に乗ってダンジョンの下層に突入した結果がこの死亡率になるのだろう。


手前の鉄の扉が開いてゆく

「いよいよね!!一階層から10階層までは無視して襲ってくる魔獣だけを殲滅して戦闘は最小限でゆくわよキリス」


「りょうかいユリアナ」


俺達は互いに声を掛けあっていよいよ『宝石のダンジョン』へと突入してゆく。


つづく・・・

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