第20話 『ギルド登録はお約束通りの展開』

ストレイア公爵領の中心にある人口500万の人都市エストレイア

エストレイアの都市はストレイア城を中心に繁栄してきた城下町だ。

ストレイア城の周りはお堀になっており入口となる跳ね橋以外からはお城に入る事は出来ない。

ストレイア城のお堀の周りは大きな道路が円形状に取り巻き、ロータリーを形成し、そのロータリーより放射状に街の外の城壁まで道路が伸びている。

そして外に出るには東西南北の門が設置されそこ以外からは城外へ出る事は出来ない。

そしてお城の正門は西に位置しそこから真っ直ぐに20キロ進んだ所に西門があり、正門を出ると市場街、そして海から続くルーアル川の岸辺に水運用の港エストレイア港があり、その周りには隣接倉庫街がルーアル川沿いに立ち並ぶ。

海岸から、王都までの水運の中間地点に位置し四大公爵家の各都市までの拠点としても繁栄している。


そして西門を入って右側にエストレイア冒険者ギルド支部の建物が存在する。

そしてその冒険者ギルドの裏側に広大な魔獣の解体場、ダンジョンから産出されたダンジョンの産出品の取引場が設置されている。


エストレイアの都市は氷のダンジョン、悪魔のダンジョン、ダンジョン、ゴーレムのダンジョン、宝石のダンジョンの5つのダンジョンが有るが、その中で特に!!

『宝石のダンジョン』からの珍しい宝石類の産出

『悪魔のダンジョン』からの大量の金貨の産出

この2つのダンジョンからの豊富なドロップ品によりエストレイアは何処の都市よりも潤っていて活気に溢れている。


だが『宝石のダンジョン』は30階層のダイヤモンドゴーレムにより攻略を阻まれ、『悪魔のダンジョン』は物凄い量の金貨をドロップするダンジョンではあるが1階層から超強力な魔獣が出現し行く手を阻んでいる。

それでも欲に目が眩んだ冒険者が無理やり攻略をしようと挑む死亡者数がダントツのダンジョンでも有る。


その中心に立つストレイア城の地下水路を無事に出てきた俺は今、ストレイア城の上空に気配消去したまま浮遊している。

ここから20キロも西に移動しなければ冒険者ギルドに行く事が出来ない。

それ程このエストレイアの都市は広い!!


俺とユリアナが西への道路上を飛んでいるが、誰一人として気配消去した俺達には気づかない。


東西南北に延びる道路は5キロ毎くらいに門が設置されてはいるが常時開け放たれている。

これらの門は戦争時の非常時敵の足止めの為に稼働させる為の門らしい。

そんな事を、俺を抱いたユリアナが上空から下の景色を見ながら教えてくれる。


大通りを西に行った所に西門の門の姿が見えてきた!!


『凄く大きい!!』


その門の横に大理石の外壁をした3階建ての立派な建物が見えてくる。

俺とユリアナはゆっくりと石畳の道路に降りて徐々に気配消去を解いて、人波の中に気配を徐々に同化してゆく。


次第に賑やかな人々の声が聞こえてくる。

俺達はその人波に乗って、冒険者ギルドの正門前に来ていた。

その正門をユリアナはドレス姿のまま俺を抱いてギルドの建物の中に入ってゆく。

ギルドの建物の中はなかなかに広い。


入口から左側壁一面に仕事の依頼票が所狭しと並んでいる。

それを大勢の冒険者が食い入るように一枚一枚依頼書の内容に見ている光景が広がっている。

正面奥が冒険者登録の手続きをする受付、買取窓口、依頼達成等の受付ブースが並ぶ。

そして右側奥にはパブ系の飲食ブースが300席程あり昼間から酒を飲んでいるパーティーが多数いるよう。

ダンジョンでも潜って稼いできたのかもしれない。


ユリアナは真っ白なドレス姿で俺を抱いたまま、受付のブースに向かい始めようとすると・・

「嬢ちゃんよ~可愛いな~俺達と遊ぼうぜ」

とまたまた在り来りな言葉でナンパ?

ユリアナが無視して振り向かないものだから

「おい無視すんな・・・」


と言いながらユリアナの肩を引っ張ろうとした瞬間


「ぶへっ」


っと空気が抜けるような音と共に男の体が後方に弾け飛ぶ!!

その男は2転3転した後、大理石の床に鯱ダイブ


「テメェ~舐めやがって~」


と起き上りざまに剣を抜いて切りかかろうとしたが・・・

「バカモンが~!!」

と何処からともなく罵声が浴びせられた瞬間


「ドゴーーン」


っと受付から出てきた大柄な男に一瞬で蹴り飛ばされていた。

そしてその大柄な男はゆりあなの前で跪き


「姫様ご迷惑おかけいたしました。あやつは即刻縛り首にしますゆえご容赦を」


と冷や汗を拭きながら頭を下げている。

「サーグスギルド長、頭を上げてください。私はお忍びなのですからそんな大声で言われたら私が困ってしまいます」


とユリアナが言うとギルド長は

「ハハッ承知致しました。」

と言った後、ツカツカと倒れている冒険者に歩み寄って、片手で男の首根っこを摘んだままギルド会館の外に放り投げた。


戻ってくると受付に行って

「あの男は二度とギルドの建物に入れるな」

と短く言った後、またユリアナの所に来て

「姫様お待たせ致しました。今日はどのような御用でしょうか?」

と丁寧にギルド長自ら聞いてくる。


「今日はお忍びだから。ギルド長~その姫様は止めて頂けますか?皆さん・・何事かと注目しちゃってるんですけど・・」


「すみません私とした事が、してユリアナ様今日はどのような用事でご来店を?」

と砕けた言い方に変えてきたギルド長。

「今日は私の子供キリスの冒険者登録をして頂きにまいりました」

「え・・このお子様の冒険者登録を・・・ですか?」

「何か問題でも?」

「いえこんなに小さなお子様の冒険者登録は記憶にございませんもので・・・」

「強ければ良いのでしょ?」

とユリアナの目が悪戯っぽく俺を見る。


『大体ユリアナの考えている事は解ります・・・ね・・本当にブレナイお姫様だぜ』


「それはそうですが・・こんな小さな赤ちゃん・・・」

と言いかけた時ユリアナが突然


「キリス!!」


と大声を張り上げた!!

その瞬間にサーグスギルド長の体の周りに10数本の短剣が一瞬で突きつけられていた。


「これでどうでしょうか?キリスの能力結構凄いでしょ?」

とニコッとサーグスギルド長に微笑み返す。

「は・・はひっ~大丈夫です」

とサーグスギルド長がユリアナに返すと同時に短剣を一瞬でギルド長の周りから消す。


ギルド登録はギルド長自らの対応


「ではこの能力版に手を置いてください」

の言葉で俺は手をギルド長の持ってきた能力版と言われる物に手を触れた。


「え・・・90・・」

と言葉にした所で

「ギルド長規定違反ですよ」

と言って軽く笑うユリアナ。


「もうしわけ・・ご・・ございません・・しかし此れは・・どう認識したら良いのか私は今までこんなステータス見たこともございません」


と困り果てているよう。


ユリアナも

「でしょ~私も、コレを見せてもらった時、悩んだのよね~これじゃ~実力がどのくらい有るのか全然解らないでしょ?で2人で格闘して・・・しっかり私が負けましたからね」

と平然と答える。

ギルド長も

「まあ私も、あの一瞬であんな事になるとは思っていませんでしたからな。ただこのステータスは見せないほうが無難でしょうな。

私の権限で偽装致しましょう。

・・・


・・・


とギルド長が操作盤で操作しようとすると・・・

「偽装も無理・・・ですね・・完全にキリス様のステータス表示自体が受付さえできませんね。このような事は初めてです。係り員には口外しないよう周知徹底させておきます」


という事で一旦は決着

パーティー名は ユリアナが以前使っていた 『赤い牙』

冒険者レベル 『S』


という構成になった。

申請書の全ての事務手続きを完了

この世にギルドカードというカードは存在しない

カード情報を教示させようと思っただけで、目の前に表z氏さえる事が可能になる。

今後は何処の都市でも能力板に手を翳せば入出が可能になる。


ギルド長は

「これで全て完了致しました。今日はこれからどちらかお出かけでしょうか?」

と聞いてきたので、ユリアナは

「宝石のダンジョンを攻略に行きます」

と済ました顔でギルド長に公言

ごルド長もギルド長


「流石、血塗られ姫と言われるだけの事はございますな。ではあの幻の宝石を私も手見上げに貰いたいものですな。はっはっは~~」

と笑い出す。

『流石ギルド長、其処でそんな事を言えるのはアンタだけだぜ!!』


「良いわよ~期待しておきなさいサーグスギルド長~~」

「では見事レインボーストーンをお持ち帰りになられました曉には私のお金で豪勢にお祝い致しましょう」


「うふふふっ」

「あははははぁ~~」


2人共に

『ユリアナと俺が宝石のダンジョンを攻略する事を一切疑っていない!!』


恐るべし!!


つづく・・・

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