第19話 『秘密のお出かけ』

「ユリアナそのドレスでゆくのか~??」

俺の第一声はそれだった!!

ドレス姿で生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた母親がダンジョン攻略って何処にそん


な親が居るんだよ!!

って言ったら

『ここに居るじゃないって絶対にユリアナだったら言うな!!』


確実に言うな!!


そんな心配を他所に

「だいじょうぶ~だいじょうぶ~私の得意技は魔法剣で体力全然使わないし、移動は


キリスが移動魔法で飛んで行けるでしょ?」

と平然と答えてくるユリアナ

「移動は俺だのみかよ!!まあ魔法を使って浮くんだから大丈夫と言えば大丈夫だけ


ど、どうやってお城から出るんだ?ユリアナの事だから、まさか正直に『宝石ダンジ


ョン』に行ってきます、なんて事はないだろうしな」

「キリスって結構頭良いわね。こういうお城は何処でも非常時に使う隠れ通路が有る


のよ?内緒で外出する時は超~便利よ?」

「あのなそんなめちゃめちゃ大切な秘密の抜け道を普通に使うなよ!!」

ユリアナって結構大雑把な所が有るな~

大雑把?それとも面倒くさがり?


お城のお姫様がほいほい普通に出歩いてたら、それは怒られるよな~

で・・怒られない為に・・


『秘密の抜け道を常時使うようになったと・・』


ありえねぇ~


ありえねえぇ~ぞユリアナ!!


徐に、俺を抱き上げてユリアナは外の通路に・・

「何処に行くんだ?」

との俺の問いに


「ちょっとね」


ろだけ言って、ずんずんと廊下を進んでゆくユリアナ

『まさか、トイレとかじゃないよな?』

とは思ったが、迷いなく歩いている所を見るとそうでもないみたいだ。

廊下をまっすぐ進んだ突き当たりを左に曲がると、地下への階段を降りてゆく。

「普通に地下への階段もあるんだな」

「宝物庫みたいに秘密じゃないからね」


ユリアナは地下への階段を降りきると、其処は行き止まりだった。

その行き止まりの壁に指輪を翳すと、壁が消えて、再度下へ降りる通路が出現

その中をユリアナはゆっくりと降りてゆく


直ぐにダンジョンへ行くなんて思ってなかった俺は


「此処って秘密の通路なのか?」


思わずユリアナに聞いていた。

そんなユリアナは


「ふふっ」


っと笑うだけで無言で下への通路をゆっくりと降りてゆく。

地下への通路を降りきった所はすこし広い石畳で水路が一直線に外の向かって伸びており、船着場の横にボートが一隻繋がれている。


「このボートでゆくのか?」

「あ~このボートはダミーね。これでゆくと水路の中から人食い魚が一口で食べちゃうから注意して」

「という事は、俺の浮遊魔法で飛んでゆけって事か?」

「うんうんキリス頭いい~」

「俺すんごく馬鹿にされてる気分なんですけど」

「良いじゃない~久しぶりの外出で私ワクワクしてるのよ」

「それと、さっきの言葉の繋がりは何?」

「滅に無いわよ?」

「はぁ~俺が遊ばれただけか・・飛びますよ~喋ったら舌かみますから注意してくださいね」


と言った瞬間、浮遊魔法で地下水路上の空中に浮遊した瞬間に最大加速

『ドンッ』

という音と共に音速を超えた速度で飛行



「あ痛っ」

っとユリアナから聞こえたのは無視!!

一瞬でお城の外の堀の外の空中まで飛び出していた。


お城の外の空中に飛び出した瞬間

「ひほいひゃにゃい。舌かんきゃったじゃにゃい」

と俺にブーたれるユリアナ

俺も

「酷いのはどっちですか?あの通路罠が至る所に設置されてたじゃないですか?罠が起動する前に地下水路を出ただけですよ」


とちょっと苦情だ!!

「あはっ、キリス解っちゃってたんだ~びっくりしたキリスの顔見たかったのにな~」


とシレっと俺に告げてくるユリアナ

「危機感知であれくらい直ぐに解りますよ。もうユリアナ子供ですか?」

と俺も呆れながら言ってしまう。

「だって~誰も遊んでくれないもん~ちょっとくらいいいじゃん」

「はぁ~もう呆れた母親ですね。それより何処に降りれば良いですか?」

「皆に見つかりたくないし、何処にしよう?」

「俺に聞かないでくださいよ。気配消去出来ますからこのままギルドまで飛んでいっても良いですよ?」

「キリスの能力便利ね~じゃそれでお願い」

「どうやって今まで生きてきたんですか~?」

「適当に?」

「さいですか・・もう呆れて怒る気にもなりませんよ」

「え~ひどぉ~~い」

そういって両頬をぷっくりと膨らませて不機嫌になるユリアナだった。


つづく・・・

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