第16話 『授乳で気絶』

お城の中は俺が起こした破壊でまだまだ混乱しているみたいだ。

ユリアナは俺を隠すように抱きしめて、自分の部屋へと歩いてゆく。

ユリアナは俺を抱っこしたまま、自分の部屋に連れてゆきメイドを一人呼んだ。


ドアが

『コン』


『コン』


と2回ノックされた後

「姫様、ライザまいりました、入らせていただきます」

そう断ってメイドが一人、扉を開けて入って部屋の中に足を踏み入れ俺達を視界に入


れた途端


「だれ・・」


と叫び声を上げそうになる瞬間に


「ライザ静かに!!」

その一声でメイドさんは思わず上げそうになった声を抑えた。


ライザと呼ばれたメイドさんは、大きく息を吸った後

「ひ・・・姫様~~そのお姿は・・・」

とユリアナに聞くのがやっとだった。


ユリアナはライザの問いに一瞬どう答えたら良いのか迷ってる?

何か小首を傾げて思案中・・・


俺はそんな2人のやり取りをまどろっこしく思い


「俺と真剣で戦闘したからこうなったんだよ」


と答えてやると

「ひぃ~~~~」


と甲高い悲鳴をあげた瞬間、手を胸の前で組んでお祈りポーズのままご臨終・・モト


『気絶してしまつた』


「情けねえな」

と俺が言うと

「キリスがそんな風に喋るからでしょ!!人前では喋らない!!」

とユリアナに睨まれてしまった俺。


こいつの反応が正常な反応なのかもしれないな・・

普通は俺みたいな、生まれたての赤ん坊が喋るなんて有り得ない事だからな。

このメイド普通に生活していた、戦闘職なんかとは無縁の世界で生きてきたんだろう


。精神的なダメージに弱いのかもしれない。


「悪いなユリアナ。いつもの様に喋っちまった。しょうがないから俺が起こすよ」

そう言ってメイドの体を浮かせて俺の方に移動させ


『ペシッ』


『ペシッ』


っとメイドの頬を叩き

「ライザこら起きろ」


と声をかける。


メイドは薄らと目を開けるとゆっくりと当たりを見回して自分の状況をやっと把握


「にゃ・・・にゃんでしゅか~~~これは~~」


と盛大に噛みながら左右をキョロキョロと見回してパニクっている。

そんなメイドに向かってユリアナは


「ライザ落ち着きなさい。この子の能力だから心配しないで」


と言ってライザの頭を優しく撫でながら、言葉をかける。

ちなみに、メイドであるライザの今の状況は・・・


ユリアナの胸の前くらいの空中に気絶して床に倒れたままの状況で運ばれてきている


。この状況で落ち着けって言うのは無理が有るかもしれないが・・・

ユリアナが声を掛けた事によって落ち着いたみたいだ。


ユリアナを相当に信頼しているのかもしれない!!

そうじゃなきゃこんな状況になっている俺の所に、ユリアナが此処に呼んだりはしな


いか・・


ユリアナはそんなライザの瞳を見つめながら

「この子の服と、私の着替えを持ってきて欲しいの。お願いできるかな?」

と言ってメイドの頬を優しく撫でている。


メイドさん何かうっとりした瞳になっちゃってるよ?

まさか、そういうご関係なんですか?

怖くて聞けない・・


俺は追加で

「ライザ、俺達の着替えだが、動きやすい物が数着欲しい。ユリアナのほうはドレスとズボンスタイルの両方数着頼むよ」


といってユリアナと同じようにライザの頬を撫でてやる。

『何かウットリしたうるうる瞳になっちゃったんだが琴線に触れちゃったのか?』


兎に角、ライザを普通に立たせておくか!!

そう思い、ライザの体を空中で立たせて足を床に着けてやる。


「ひゃっ、ひゃうぅ~~」


体を動かして体制を変化させる度にきゃっきゃと悲鳴をあげて騒がしい。

しっかりとメイド服のスカートを押さえて捲れない様にしている仕草が可愛いかも!!


ライザは俺達の前に直立すると

「承知致しました。適当に何着か用意してまいります」

と言って、深々と頭を下げたあと、ゆるふわの金髪を靡かせながら部屋を後にした。

ユリアナがめちゃめちゃ綺麗だから気にならなかっあtけれど、俺達の前に立った姿を見たが、ユリアナに劣らず凄く綺麗だと改めて思った。


「キリス私の服動きやすい物指定してたよね。キリス良く解ってるじゃない!!やっぱり貴方は普通の子供じゃないわね。良いわ~良いわ~私もえちゃうわ~~もう此れはダンジョン行くしかないわね!!

着替えたら速攻ダンジョンに行きましょうね~」


「どうしてそうなるんだよ!!」

俺のそんな問いかけにユリアナは平然と

「どうしてって私がダンジョンに行きたいから」


とサラッと俺に告げた。

「な・・何なんだよ。それじゃ~俺は行くしかないじゃん」

「当然です」

「戦闘狂だなお前!!」

「血塗られ姫なんて言われてたからね~」


「あ~~・・・」

俺はそれを聞いて遠い目になってしまった・・・

サドレイン公爵の居城に一人で攻め入り、5万の軍勢の首を跳ねた張本人だもんな~


俺のそんな表情を見たのかユリアナは

「お腹空いたのですね~それじゃ~おっぱい飲んで力つけましょうね~」

ととんでもない勘違いを盛大にかましてくる!!


「おい!!どうしてそうなるんだ」


「恥ずかしがらなくって良いじゃない?」

そう言って俺の抗議なんて無視して豊満な胸を俺の目の前につき出してくるユリアナ

「ヤメテクレ~~変に前の記憶が有るから、そんな事されると理性が吹っ飛ぶんだよ」

「あ~ら、そうなの~理性吹っ飛んじゃったら、最後までしても良いわよ~?」

そう言って俺の口にポヨン~ポヨン~の乳房を押し付けてくる。


俺はそのあまりの衝撃に


「シュバ~~」


っと盛大な鼻血を吹き上げて昇天してしまったのだった・・


「あらあら~刺激が強すぎちゃったみたいね~キリスちゃんは純情さんなんですね~これからが楽しみですね~ドンドン私好みに改造してあげますからね~もう一生逃しませんよ~うふふっ」


気絶した俺はそんなユリアナの独り言を聞く事は無かった。

俺の貞操は風前の灯火なのかもしれない・・・


つづく・・・

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