第12話 『ユリアナ俺を殺す気か~!!』
ユリアナが一通り泣き止んだ所で、今後の方針を話し合う。
魔素結晶石については、ストレイア公爵家領の悪魔のダンジョンの中で見つかった事にしてもらい、魔素結晶石の半分を国王様に献上する事になった。この話が大々的に公になれば今まで難易度が高くて一度入れば戻ってこれないとまで言われている悪魔のダンジョンは久しぶりに来訪者で沸く事になるだろう。
ストレイア公爵家領には東に氷のダンジョン、悪魔のダンジョン南に鉱石のダンジョン、ゴーレムのダンジョンそしてこのストレイア城の近くストレイアの街のすぐ外に宝石のダンジョンの5つがある。
この5つのダンジョンは基本ストレイア公爵家の所有で冒険者ギルドが管理しており冒険者ギルドの売り上げの一割と悪魔のダンジョンを除いたダンジョンの入場料金一人銀貨20枚が公爵家に税金として収められてくる仕組みらしい。
悪魔のダンジョンに関しては危険ダンジョンという事で一人金貨1枚の入場料を払わないと入れないらしい。
入った後の事は自己責任だそうだ。
弱い人間が金貨欲しさに入って稼ごうとして死んだとしてもそれは入った人間の責任って事だ。
悪魔のダンジョンは魔物を倒せば金貨をザクザクと落としてくれるのだ。ただ超強い魔物が浅い階層でもいる為に全体のダンジョンの中で死亡率1位ダントツのダンジョンとして名をはせている。
今日俺が起こした騒動は、魔素結晶石が悪魔のダンジョンで見つかった事が襲撃の原因だろうという事で、襲撃騒動はそのままとしてもらった。
ユリアナの呼び方は、人が居ない2人だけの時はユリアナと名前呼び、最初はユリアナ一択だったんだが、まさか自分の母親を呼び捨てには出来ないと人が居る時は母上・・・で何とか納得してもらった。
まあ生まれて直ぐには、普通の子供は喋れないから当分はユリアナの腕をペシペシと叩いて合図するって感じだな。
まあ、こうやって駄々を捏ねるユリアナを見ているとどっちが親だか解らなくなるな。
いままで気丈に文句も言えず只管に領地の為に一心に尽くしてきたと思うと頭が下がるぜ。
苦境の中で誰も頼れる人も居なくて甘える事も出来なかったんだろう・・・
考えてみると可哀想な奴だな。
今回の魔素結晶石の処理の事と、俺の事はユリアナから旦那さんのダリウスさんに伝えるという事でゴタゴタと後処理に忙しいダリウスさんを捕まえて話してもらった。
ユリアナが俺の事を話す度に、終始口をアングリと開いたままで呆然としていた・・とだけ言っておこう。
旦那さんのダリウス、ユリアナさんに主導権握られた状態で尻にしかれっぱなしって感じだな。
ユリアナさんが出来る人だからそんな風になっちゃったんだろうな。
心配事は片付いたので、ユリアナに
「俺さ~ダンジョンに潜ってみたいんだけど、今は体が動かないからダメだけど体が大きくなったら剣の練習とか付き合って欲しいんだが良いかな?」
と聞いてしまった。
すると
ユリアナはキラキラと瞳を輝かせながらそんなオレに向かって
「うわぁ~キリスもダンジョン潜りたいんだ~ ダリウスなんて私が誘ってもダメだ
って許可してくれないのよ。それって酷くない?」
「それはユリアナが可愛いから心配してくれてるんだろ?」
「いえ!!ダリウスは臆病なだけなのよ!!ダンジョン怖いって言ってたし!!昔ダンジョンでトラウマになるような事あったみたいなのよ」
うわ~ダンジョンでトラウマになるって相当強い魔獣と戦ったとかだろうな・・
そりゃ~トラウマになるかもな・・
「さぞ怖い思いしたんでしょうね」
と俺が聞くと
「私と潜った宝石のダンジョンの20階層で頭と胴体がお別れする寸前になっちゃった事がどうもトラウマになっちゃったみたい」
「そリゃ~一歩間違えば死んでたって事ですよね。ユリアナもその時一緒に居たんだろ?ユリアナも良く無事だったな」
「だってダリウスの頭と胴体がお別れする寸前に私がその魔物やつけちゃったから大丈夫だったわよ?でもダリウスはその恐怖でお漏らししちゃってもう帰る~ってダダこねられちゃって階層の主倒す前に帰ってきちゃったそれからダンジョンに潜るのゆるしてくれないのよ」
「そりゃ~トラウマになってもしょうがないよな。ユリアナは怖くないのか?」
「へ?私は怖くないわよ?サドレイン公爵家けが反乱起こした時最終的に私がサドレイン公爵の首討ち取ったくらいなんだもの」
うをぉ~
ユリアナって守られてるだけのお姫様じゃ無かったのかよ
10歳で戦線の先頭に立って特攻して敵の大将の首を取るって、戦闘狂だな。
『戦闘狂の血塗られ姫』
うをぉ~~ユリアナってめちゃめちゃ怖い奴じゃん!!
絶対に怒らせたら怖い奴ってかんじじゃん・・
俺がそれを思ってビクビクしていると
「そう言えば、キリス前世では冒険者だったのよね」
と何かを考える仕草でオレに聞いてくる」
「一応S級の冒険者だったぞ?でも今のこの体じゃ剣も振れやしないぜ」
って苛立った気持ちを抑えるようにユリアナに言うと
「だいじょうぶ~だいじょうぶ~筋力が無いなら無いなりに剣を扱えば良いだけよ!!私に任せなさ~い」
ユリアナいくらなんでもそれは無理だろうと俺はその言葉に絶句
「大丈夫な訳無いだろ!!俺は今日うまれたばかりなんだぞ!!」
当然の言葉だ!!
そんな俺にユリアナは
「筋力が無いなら、魔力で剣を操作すれば良いだけじゃない。そうだ宝物庫に丁度良い剣があったの思い出しちゃった~これから行ってみましょう」
と言ってルンルン気分でノリノリに鼻歌を歌いながら俺を抱えてお城の地下への階段を降りてゆくユリアナ。
宝物庫のある地下への通路は当然・・・見える所には無い!!
そうユリアナが入ったトイレと同じように、通路を真っ直ぐに進んだ中間くらいの壁に幅2メートルくらいそして奥に1メートルくらい奥まった壁の前でユリアナは立ち止まり左右に誰も居ない事を確認した後、徐に何も無い壁の前でユリアナが手を翳すと突然手を翳した壁が無くなり地下への通路が忽然と現れた。
通路は2人が並んであるける位の石段がループ上に階下へと続いているよう。
壁には2メートル間隔程度に一つ人の頭の高さ程に設置された宝石状の者が光り輝いて通路を照らしている。
此処の地下への通路を開くと同時に明かりがつく様になっているようだ。
ユリアナが階段を降り始めると今さっきまで無くなっていた壁が出現
今まで入口があった事さえ解らなくなっている。
俺はそんな状況に呆気にとられ喋る事さえ忘れていたが、自分達の足音だけが響く静寂に耐え切れずに俺は
「ユリアナお前って我が儘が服をきて歩いているような奴だな」
と思わず思った事を口にした俺だったが
「よく言われる」
「よく言われるのかよ!!否定しないんだな?」
「まあ自分でも好き勝手自覚はあるから」
そんな話をしながらループ状の石畳の階段を地下の宝物庫の前までユリアナは俺を抱いたまま階段を降りてきていた。
俺達の真正面には高さ10メートル程もある大きな鉄の扉があり、固く閉ざされていた。
俺はてっきりその鉄の扉を開けて宝物庫の中に入るんだと思っていたのだが・・・
ユリアナはそんな大きな宝物庫の固く閉ざされた扉を見上げながら
「残念ながらこの宝物庫の中は戦後処理で使われて殆ど残っていないの」
といって深いため息をついた後、降りてきた石畳の階段の裏に回り込み何も無い壁に手を付いた途端にあったはずの壁が一瞬で無くなり、その部屋には一杯の金銀財宝、武具や魔道具が足の踏み場もない程に詰め込まれていた。
「此れは何ですか?宝物庫の中は戦後処理で使われて殆ど残っていないのって言いましたよね?」
と俺は驚きのあまり素っ頓狂な声を上げていた。
だって今さっき宝物庫の中は空ってユリアナは言ったのだ!!
それなのにこの財宝は何?
誰しもそう思うだろ?
「あ~此れはね。サドレイン公爵家に私が攻め込んだ時にサドレイン公爵の首を取った時に戦利品として貰って此処に放り込んで置いたものよ?」
と満面の笑顔で俺に話しかけてくるユリアナ
「この財宝がある事は皆さん知ってるんですか?」
と俺は恐る恐る・・・ユリアナに聞いてみる・・・
怖いよね
怖いよね?
『宝物庫の中は戦後処理で使われて殆ど残っていないのって確かにユリアナ言ったハズだよね?』
もしかして・・
攻め込んでサドレイン公爵の首取ったっていうのは・・・一人で攻め込んだ?
そしてサドレイン公爵家の宝物庫の財宝を異空間収納に入れて誰にも知られずに持ち帰ったって事?
『なんちゅう恐ろしい事してんのユリアナ~~』
怖くて聞けねえ~~((((;゚Д゚))))
そんな俺の気持ちも知らずにユリアナは
「皆が知るハズ無いじゃない。知られたらマズイからだから私が此処に隠したのよ」
「さ・・・さいですか~」
『うをぉ~~怖すぎますユリアナさん!!』
策士だぜユリアナ!!サドレイン公爵家に一人で攻め込んで財宝を強奪
それも10歳でそれをやったってどうなんだ?
『これ以上聞かないでおこう・・・』
そんな財宝の中にユリアナは足を踏み入れ、当たりを見回した瞬間、その宝物の山の中から短剣が2本とロングソードが一本飛び出してきてユリアナと俺の目の前の空中で浮いたまま停止。
ユリアナは
「使用者はキリス」
と宣言?
何かコレを俺に使えと?
こんなの3つも重くて持てねえ~~
それに・・・
この
短剣2本とロングソード・・・
『鑑定』で・・・
『オ・・・オ・リ・ハ・ル・コ・ン』
おい何ちゅう物をサドレイン公爵家は隠し持ってたんだよ????
確かにこんな物あの戦乱の中で公表したらサドレイン公爵家の財宝取り合いになって碌な事にならなかっただろうな・・・
ユリアナって能力高すぎじゃね?
国だって動かせる人間なんじゃ?
「じゃ~魔力を使ってこの剣をうごかしてみましょうね|」
とユリアナは俺の顔を覗き込みながら話しかけてくる。
この俺達が降りてきたルーム状の石畳の階段を降りてきた場所は広さにして10メートル四方位の広さは有る。
今さっき剣を取り出した宝物の空間から椅子を抜き出してきてこの空間の真ん中に置いてそこに俺を抱えてその椅子に座って俺を膝の上に乗せてから、再度俺の体の中に魔力を通して来るユリアナ
ユリアナの流した魔力の流れと共に段々と俺の体の中が熱くなってくる。
俺の体を通して3本の剣をゆっくりと動かすユリアナ
「キリスこの感覚わかるかな」
ユリアナが俺の体の中に魔力を流しながら俺経由で剣をゆっくりと動かしながら聞いてくれる。
一度、声を出す時に魔力操作でやってくれた感覚
その感覚が、今度は空中の剣を動かしている!!
「確かに解ります」
「動かす感覚が解るなら、左の短剣を上に少し上げてみようか」
とユリアナが指示をだしてくる。
俺はユリアナの指示通り左側の短剣を少し上に動かしてみる
『ススススーーーーーー』
5メートル近く左側の短剣が上に上昇
その瞬間
「最初から動かせるとは凄いね。でも力みすぎ!!もう少し小さな魔力で良い」
と厳しい指摘が入る。
『此れがアメとムチって感じか・・・』
俺もあの声を出せた時、ユリアナが通してくれた魔力を感じていなかったらこんなに動かす事はできなかっただろうな
「アンタの教え方が上手いからさ。こんな感じでどうだ?」
そう言って、俺は少し左側の短剣を下に移動してみる。
「うんうんその調子。良いよ良いよ~筋がいい。じゃ~今度は右側の短剣を少し上に移動してみようか?」
おれはユリアナの指示通り右側の短剣を少し上に移動する
「うんうんそれで良い。今度はロングソード10回私達の周りを回らせてみようか」
俺はその通りに俺達の周りに10回ロングソードを回す
・・・
・・・
その後・・
短剣2本
ロングソード1本
それらを同時に動かして・・・
徐々に動かす速度を上げてゆく
前後左右上下、体の周りを自由自在に動かせるように、そして目にも止まらない高速での剣さばきを魔力操作一つで行ってゆく。
あれから約1時間ユリアナの指導の元で剣を自分達の周りに自由自在に飛ばせている。
もう剣の動きを目で追う事すら出来ない。
ユリアナの魔法の補助は気づかない間に何時の間にか無くなっていて、気が付けば短剣2本とロングソード1本を自由自在に目にも止まらない速度で俺は動かしていた。
『此れってもしかして最強?』
魔力量が続く限り体力無視で永遠に剣を振るい続ける事が出来る!!
一人で戦場に突撃しても一瞬で100人くらい切り刻んでしまえると今なら思える。
ユリアナ・・・サドレイン公爵家の居城に一人で殴り込みかけちゃったんだろうな~
『怖すぎだぞユリアナ!!』
俺のそんな状況をユリアナは見て
「うんうん自由に剣を使えるようになって来たわね。じゃ~仕上げに私と模擬戦で勝てたら終了ね」
と言って、椅子から立ち上がり、座っていた椅子を除けてから、俺と同じように短剣2本、ロングソード1本を異空間収納から突然取り出して戦闘準備
ユリアナの装備している短剣とロングソードはミスリル素材みたいだ。
あの動乱期に俺の使ってるオリハルコンを出すのは目立ちすぎって判断だったのかもな!!
ユリアナ流石策士って感じだぜ!!
ユリアナと俺は部屋の真ん中5メートル位間を開けて向かい合う
俺は魔力で空中浮遊した状態で剣を俺の周りに浮遊させユリアナも俺と同じように剣を体の周りに浮遊させ体は気を直立姿勢
体がユリアナの殺気でピリピリと痛い位だぜ!!
本気で殺す気で来る気なのか?
一瞬ユリアナと視線が合った!!
ユリアナはニコッと笑みを見せ
「じゃ~私も本気で行くから、気を抜いたら死んじゃうよ~よ~いハジメ!!」
という掛け声と共に一瞬で3本の剣が俺を襲ってくる
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
剣と剣が打ち合う音だけがこの石壁の空間に木霊する。
剣の動きは既に見えない。
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
激しく剣どうしが重なり合う!!
「シュッ」
「シュッ」
「シュッ」
俺の脇腹を剣が掠ってゆく
「チッ」
思わずその痛みに舌打ちしてしまう俺
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「カキンッ」
「シュッ」
「シュッ」
「シュッ」
クソッ腹を切られた!!
『死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!死ぬ!!ユリアナ~俺を殺す気か~~!!』
ユリアナの剣の攻撃に浮遊している自分の体を一瞬でずらせて攻撃をかわす。
同じ位置に居たら殺されてしまう。
気配感知を最大にして剣の気配を感知し避けると同時に自分の剣をユリアナに飛ばす。
つづく・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます