第11話 『ユリアナはまだまだ甘えたい』

俺の

「うをぉ萌死にそう~俺~~」

って言葉に

「まだまだ死んじゃダメですよ~これから一杯楽しむんですからね」

「楽しむって・・・そんな事言われると不安になるんですけど・・」

「だいじょうぶ~だいじょうぶ~ですよ~痛いのは最初だけ、最初だけですから~」

「それ冗談になってないですって」

「ほんの冗談です・・よ?キリスは冗談も通じないんですか~?って聞きたいことは


そこじゃないです。キリスは何者なのですか?」


うわ~頭痛くなってきた・・

どう突っ込めば良いものか・・

どこからどこまでが本気なのかさっぱりわからん!!


俺って絶対にからかわれてるよな~

あ・・ユリアナさんの質問に答えてあげなきゃな!!

『これって絶対に変な奴に思われてるっぽい・・かも・・悪いイメージは挽回しなき


ゃな』


そう思ってなるべく解りやすくと思うけど・・・

俺の今の状況、凄く複雑だよな


「えっとですねユリアナに信じてもらえないかもしれないけれど、俺此処とは別の場


所から生まれ変わってきたみたいなんだ」

「やっぱりそうなの?」


やっぱりって?

信じてくれるの?

とりあえず・・信じれない部分はボカすしかないな


「前世って言えば良いのかな。そこでは15歳で此処と同じような世界で、冒険者を


してたんだ。そしたら丁度、落雷にあってさ~目の前真っ暗になったので慌ててステ


ータスみたら、表示されなくって色々弄ってたら表示が変になっちゃって、気がつい


たらユリアナのお腹の中だったんだ」


嘘は・・言ってない!!・・ハズ!!

まあゲームの中じゃそうだったからな!!

この世界の人間にゲームで遊んでてそうなった・・なんて言っても信じてもらえない


だろうからな!!


「じゃ~なんでお腹のなかから生まれる時に、普通は何千年も立たなきゃ出来ない魔


素結晶石をもって生まれてきたの?」

「気がついたらユリアナのお腹の中で、そのまま生まれるまでじっとしてるのも退屈


だったから、一瞬体を動かして格闘戦の練習をって思ったけど、もしそんな事してユ


リアナのお腹蹴破ってもいけないって思って諦めてさ~、魔力の練習なら大丈夫だろ


うと思って魔力操作を操作して体に溜め込む練習してたんだけど、俺のステータス変


になってて魔力が貯まる感覚もステータスの数値も全然変わらなくって、どうしよう


かって考えてたら、魔力を結晶化したら良いんじゃって考えて結晶化してたらっその


まま眠っちゃってて気がついたら、魔素結晶石をもったまま生まれてきちゃったんだ



「じゃ~なんで私にあんな光魔法で『おはなししたい』って連絡したのかな?」

「あ・・あれ光魔法なんだ。生まれたなかりで喋れないし、どうやって連絡したら良


いか解らなくって、即効であんな風に光文字を書く魔法を作ったんだよ。

お話したかったのは、うっかり作った魔素結晶石と一緒に俺が生まれちゃった事でユ


リアナが魔素結晶石製造機にされちゃうんじゃないかって心配したから、それに鑑定

の魔法で魔素結晶石を鑑定したら白金貨20億9000枚って出たからビックリしち


ゃったんだ。そんな風な噂が伝わると、悪い奴らがこの国にチョッカイを出してユリ


アナを誘拐して一生魔素結晶石製造の為に子供を産み続けさせられるんじゃないかっ


て心配したからなんだ。あの魔素結晶石は何処か他の所で見つかったって事にして半


分を国王様に献上した方が良いって提案したかったんだ。

それに俺が生まれた時に、体を動かせなくって魔力操作で飛ぼうとしてあんな風にパ


ニクって大変な騒ぎになっちゃった。ごめんなさい。変な子供だって思われたら嫌だ


なって思ってたから謝りたかったんだ」


「あの魔素結晶石そんなに価値があるの~~あれ売ったら余裕で生活出来るわね。だ


からダリウスあの魔素結晶石抱えて手放さなかったわけなんだ~」

「突っ込む所、其処ですか~~?」

「だって~私相当苦労したんだよ~お金は無いし~殆ど遊べなかったし~」


「え?ユリアナそんな可愛いふりふりの服着てるしめちゃめちゃ可愛いし、ユリアナ


は良い所のお姫様だったんじゃないの?」

ユリアナの衝撃の告白にビックリして俺は思わずユリアナにそんな風に聞いてしまっ


ていた。

こんな立派なお城に住んでいて何一つ不自由がない感じがしてたもん。


そうしてユリアナの不幸な人生がユリアナの口から語られた。

確かにユリアナが10歳まではユリアナが住むアトリシア王国は裕福で平和な国だっ


たそうだ。

ただその頃は今のような4公爵家ではなく5公爵家あり今のクローディア公爵、スト


レイア公爵、サスストレイン公爵、デニス公爵の4公爵家に加えサドレイン公爵家が


今の4公爵家と首都アトレシアの間に存在していた。


そのサドレイン公爵家がユリアナが10歳の時にアトリシア王国の重鎮達を一気に暗


殺と同時に反乱を起こし一大帝国を作ろうとしたらしい。

その時ユリアナの両親も暗殺され、サドレイン公爵家がこの国を乗っ取ろうとした時


4公爵家が一致団結してサドレイン公爵家に宣戦布告し膨大な犠牲を出しながらも勝


利はしたものの、被害も膨大で4公爵家及び王都アトリシアも戦後処理でどこも同じ


ように緊縮財政をしいられていたみたいだ。


特にストレイア公爵家はユリアナ一人しか子供が居なかった為にお隣サスストレイン


公爵家から2男のダリウスに婿入りしてもらってストレイア公爵家の立て直しに翻弄


しやっと落ち着いたって感じらしい。


「10歳で婿さん貰って公爵家立て直しってお前も苦労したんだな」

と俺はユリアナの頬に手を差し伸べて撫でてやる。


出来れば頭をヨシヨシと撫でてやるべきなんだろうけど、いかんせん手が届かねえ。

赤ちゃんに慰められてるユリアナってどうなんだ?って傍からみれば言われそうな感


じもするがしょうがないだろ!!

俺が10歳の時にそんな状況になったとしたら、何も出来ないで終わってしまっていただろうな。


「うんうんユリアナ偉い偉い俺尊敬するよ」

そう言って頬を撫でてやる。

ユリアナは感極まったのか、ボロボロと大粒の涙を流し始めてしまう・・・

「おいおい泣く事はないだろ。ハンカチ持ってないんだから泣かれたら困るだろ。どっちが親だか解らないぞユリアナ」

そう言って着せてもらった真っ白な肌着でユリアナの涙を拭いてやる。


つづく・・・

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