第20話 エモクロアTRPG『よるにつがえ』プレイレポ・序
PC1の弓使い高校生の情報が上がってきた。
名前は
弓撃ちの天才として将来を嘱望されたものの、アベンジャーズのホークアイに魅せられてヒーローっぽいアクロバティックな弓使いに傾倒、パルクールと弓矢を組み合わせた全く新しい武術『パル
まっすぐな陽キャ。
座右の銘は「千射万箭」。意味は「千回の射にも、万本の矢にも同じものは一つもないのだから、全ての矢を一本一本大事にして新たな気持ちで射らねばならない」。急にここだけIQが上がった。
たぶん誰かからの聞きかじりで八乙女くん本人もよくわかっていないんじゃないだろうか……!?
一方、俺が作ったPC2の
名前は
字面も響きもやたらインパクトの強い名前で、子供のころから「田村麻呂」「メガシャキ」「メカ丸」など様々なあだなで呼ばれてきたし、
が、
弓を持ち歩き、どこでも飛んだり跳ねたり撃ったりしては人気者になる八乙女。
スティックを持ち歩き、何か叩いてはリズムを刻むが人前では顔を隠す女鹿。
祭りに関わる二人の男子は、「涙ぼくろがおそろ」という一点で八乙女がぐいぐい来たことで距離を縮め、女鹿も八乙女にだけはなぜか惹かれるものを感じ、唯一の友人として仲を深めたのだった。
キャラはそろった。弓と太鼓のセッションが開始される。
※以下、『よるにつがえ』の本編のネタバレを含むレポになります。これから本シナリオをプレイヤーとして遊ばれる方は、プレイ後にお読みになってください。
物語の舞台となるのは、現代日本の架空の田舎町。
高校の授業が終わり、祭りの練習に向けてPCふたりが下校しようとした矢先。
八乙女は「祭り楽しみにしてるぜ」と声をかけるクラスメートに囲まれてワイワイしており、「ああ! 楽しみにしててくれよな! 田村丸もすげえ神楽やるから楽しみにしててくれよな!」と宣伝している。
そそくさとその一団から離れて、八乙女がひとりになってから合流した
「お前さあ、俺が
「え? なんで? 田村丸の太鼓すげえから教えたほうがいいじゃん?」
「今まで一緒に練習してて、俺がみんなにバレたくなくてやってるって気づかないあたりが、お前さあ……八乙女そういうとこだぞ……?」
「なにが?」
話してる間に、八乙女の背中にムカデが入り込んだことに気づいた女鹿。
おそるおそるムカデを取り出そうと、そーっと背後からスティックを差し入れる。
とかやってるうちに少女が突然割り込んできて、素手でムカデをつかんで放り投げてしまった。わんぱく少女だ。
八乙女の背中と少女の手のひらに腫れはないか、女鹿の医術技能で確認し(少女には手のひらを開いてもらって遠巻きに触らずに確認した)、自己紹介に移る。
「私はヤヒロ。オマエたちはなんていうんだ?」
「俺は
「こ、こ……こいつの名前は、
「それはもう聞いたぞ? オマエはなんていうんだ?」
「くっ……! 知らない女の子と話すのはハードルが高い……。陽のもの同士をしゃべらせて距離を置く作戦が通じない……! がんばれよ俺のポケモン八乙女……」
「友達をポケモン扱いするな」
「だって! 名前を名乗りたくないんだよ!! 俺は絶対に名前聞き返されるし一回で通じたためしがないから!!」
観念して「女鹿だ……」と名乗ると「メガダ?」になるのはいつもの光景だが、少女は戸惑うことなくすぐに名前を把握してくれた。
その後、体調を崩して運ばれる人や、暗雲に囲まれる山などの不穏な光景を目の当たりにし、初日は終わりを告げる。
翌日、
一瞬「つがう男の間に挟まる女め……!」とプレイヤーの脳内に電撃が走ったが、そういう『つがう』ではないとあらかじめ釘を刺されていたのでセーフだった。
「おまつりの案内をしてほしいぞ!」
「いいよ~ヤヒロちゃん~。何買ってこようか?」
「定番はタコ焼きだけど、女の子の歯に青のりをつけっぱなしにするわけにはいかないし……じゃあお好み焼き……も青のりがつくし。焼きそばも同じだ……! 祭りの出店は青のりが多すぎる」
「田村丸、お前は気にしすぎ」
「青のりってなんだ?」
「……わかった、俺は飲み物を買ってくる。お前らは好きに青のりを食え。コーラでいいだろ? 陽のものはどうせコーラを飲むだろ?」
女鹿がコーラとラムネとCCレモンを買って戻ってくる間、八乙女は
続いて射的に参加した八乙女は射撃判定をトリプル成功、玉一発で三種の景品を同時に落とす神業を見せた。神事の前にもう神業見せてる。
当たったブローチをヤヒロにあげて、おそろのブレスレットは八乙女がつけて女鹿にもう一個あげた。
「なんでおそろなんだよ……お前そういうとこだぞ……?」ツッコミを入れつつ、渡されたブレスレットをすぐにつける女鹿。
こんな楽しい祭りのさなか、急に具合が悪くなるヤヒロ。
女鹿が医術技能で介抱し、八乙女が「山盛りの青のりを食べたからでは……?」とアホの子っぽい心配をしているところに、クラスメートが話しかけてくる。
クラスメートはどうやらヤヒロが見えていないらしいこと、八乙女と女鹿の二人としかこの少女は接することができないらしいことが、この時わかる。
ヤヒロは「気づかれた」という様子でその場から姿を消してしまった。
霊感技能を持っている女鹿は「あの子は山の神様か何かなのかもしれない……」と推測し、八乙女は「つまり山盛りの青のりを崩したのは縁起が悪くて……?」と方向性を間違えた気づきを得ていた。
祭りの前に町に広まる謎の体調不良、人ではない少女、陰る山、いくつかの不可思議な事例に共鳴しながらも女鹿が祭りから帰宅すると、家には町長さんが来ていた。
神事を中止にするらしい。
その昔、疫病が蔓延した際に行われていたというこの祭り。謎の体調不良が広まる現在に行って「不謹慎だ」と内外から声が上がるのを恐れての判断だという。
八乙女が楽しみにしていた弓神事も中止になってしまう。
女鹿は「いや、あの、そういうのって逆にやったほうがよくないっすか」となんとか伝えはしたがコミュ障が前に出てそれ以上は話せず、「町長さんが神事中止にするって。詳しくは明日」と八乙女にLINEして、落ち着かない気持ちで眠りについた。
《追記》
このシナリオ『よるにつがえ』は、三日間のお祭りが物語の舞台となっている。
次は二日目。
八乙女と女鹿、はたしておまつりでつがうことはできるのだろうか……?
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