通常復帰編

第18話 新年度のご挨拶

 このエッセイを始めたのが、昨年の2月。おおむね一年が経過した。

 節目として、その頃から今に至るまでの変化について記しておきたい。


 日常の記録及び、仕事を再開するにあたっての執筆リハビリとして始まったようなエッセイだったが、当時の俺の日常にもっとも刺さっていた連日12時間にも及ぶ異常な熱意のウメハラ配信が、結果としてこのエッセイを代表する記事につながってしまった。

 なかとばきじの各話はせいぜい数百PVがいいところなのは、読者でも確認できるアクセス表記からも明らかだ。

 ところがウメハラ特別編の第一話『優勝は梅原大吾』は一万三千PVをたたき出しており、続く特別編の続きも数千PVで並ぶ。トータルの数字の上ではこのエッセイはウメハラエッセイと言って間違いないだろう。

 なのでキャッチコピーも「ウメハラ雑記」にそのとき書き換えたぐらいだ。


 それだけの衆目を集めたのであれば、さぞかしライター仕事の復帰もうまくいったのではないかと思われるかもしれない。

 しかしウメハラエッセイの驚異的な伸びとは全く無関係に、シナリオライティングの仕事をしていた。仕事で格ゲーの話を書くような機会はなかった。

 幸いにして復帰はそこそこにうまくいき、新たな仕事が次々に舞い込んだし、自分の執筆リハビリもうまくいってそこそこのペースを取り戻すに至ったが、なんだかんだあって実は現在またもや手元にこれといって仕事がない状態で新年度を迎えている。

 絶大なミスを犯して干されたとかではないのだが、気づけばやるべき仕事がなくなったので、日々ウメハラ配信を見て過ごしている。

 一年前に逆戻りしてるじゃないか。


 またここのところ、長文を書くという作業をあまりしてこなかった。

 ゲームシナリオライターという仕事にかかわっていない方は不思議に思うかもしれないが、1000文字未満の短いシナリオを大量に書き続けるようなお仕事もこの界隈には多い。

 趣味のラノベ執筆も生活的にさしはさむ余地がなく、このエッセイの更新も止まっていたので、短い会話文のようなものばかりを書くことに集中した日々だった。

 これはこれで、キャラのやり取りを書くのが得意な自分の本領発揮のため楽しくはあるものの、「長文を書きなれていない」というのは微妙にやりたいことがやりにくくなるケースもある。

 たとえば、例の一万三千PVをたたき出したウメハラエッセイのようなものを、CPT(カプコンプロツアー)を見た勢いで書き上げるような真似は、なかなかできなくなる。

 長い文章を自分の中で咀嚼して矛盾なく書き上げるというのは独特の筋力が要り、急にやろうとするとグキッとやるのだ。執筆筋のどこかを。そんで寝て過ごす。


 ということで今回は、そうした長文執筆リハビリを兼ねてエッセイを久しぶりに更新している。

 内容や書きたいことをあまり詰めずに、「まずはよどみなく長文を書くこと」を念頭に置いて書いているため、内容が薄めであることをいまさらながら陳謝しておく。

 俺は言葉についてわかっていないことが多いため、「そういえば陳謝っていうのはどういうときに使うのが正式な言葉なんだ?」と執筆の手が止まり、まずは陳謝についてググって調べてみた後にそれが適切な言葉なのかどうか考えて、「陳謝じゃだめだからほかのここで使うべき言葉を探そう」とかやることが多いのだが、ここではあえて「よくわかってないが最初に浮かんだ言葉が陳謝だったので、陳謝で!」とそのまま書いた。こういう勢いも長文を書くためには必要な筋肉のひとつであると思う。

 ところでまたもや執筆のリハビリをしている状態だ。一年前もそう言っていたはずだ。エッセイ執筆途中にも言っていたはずだ。

 何かをやろうとするたびにリハビリしている。


 なぜ、リハビリを始めたのか? それは理由がある。

 今年のCPTの日程が発表された。開幕戦は日本だ。昨年は残念ながら本戦であるカプコンカップが開催されなかったため、CPTを勝ち上がったウメハラの世界的な活躍は見られなかった。

 本年はいったいどうなるのか、CPTをまた優勝することはできるのか? 今回も前回同様、各世界地域での予選の優勝者のみが、カプコンカップに駒を進める。

 その顛末によっては、結果が出ると同時にババっとエッセイを更新できるような準備が必要だ。なので今のうちにリハビリを済ませておいている。

 またもうひとつ。趣味のTRPGに復帰しつつある。

 かつてはセッションに参加するたびにそのプレイレポを残して好評を得ていたため、今回も余力があればなるべくプレイレポを残しておきたい。

 いずれも走って開幕にグキッとやらないためには、リハビリが必要だ。


 長らく趣味だったTRPGから離れてしまったのは、ねこの看病で家から出られなくなったのが大きな要因だった。オンラインセッションを導入する余裕すらない日々だった。

 遊べないのであれば当然、プレイレポも書くことができない。自分や皆の一喜一憂やそこで生まれるドラマを書き残す楽しみを見出した矢先に、それができなくなったことを、当時は「もう無理かー」と考えていた。

 家から出れずに仕事もないので、昔好きだったウメハラの配信を見始める。めちゃくちゃに面白かったので、それを記録したところ、エッセイに火が付く。

 やっていることはどちらにしても、遊んでいる様子のプレイレポをいかに他人に面白く正確に伝えるかで、「状況が変わってもやることはあまり変わらないものだな」と、振り返って笑みを浮かべている。


 思ったよりもよどみなく、数か月ぶりの2000字エッセイ執筆は一時間もかからず書き進んだ。

 数日後には、何年か前にTRPGをよく遊んではプレイレポを書いていた仲間が作った公式シナリオを、別の同様の仲間とともに遊ぶ。

 準備運動は大丈夫そうだ。

 本番運動も大丈夫そうであれば、友人知人に声をかけてTRPGを遊んで記録していくものとして再始動したいところです。




《追記》

 『陳謝』について上の文章を書き終わってから調べてみたところ、「事情を述べてわびること」なので言葉の使い方は間違っていなかったようだ。

 何かこう、誠意であったり申し訳ないという気持ちであったりを含む言葉なのかなと漠然と思っていたので、「ここで使うのはあってるか?」と疑問にしつつも、スピード重視で執筆中には調べなかったわけだが、意味を知ると最適解だった。

 事情を述べてわびるのは得意分野なので今後もどんどん陳謝していくことにする。「言い訳するんじゃない」と叱られることが多いが「言い訳じゃなく陳謝ですが?」と言い返してどしどし陳謝していく。

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