第5話 出会い



 ――商業大国オークルを出て20日経った頃、マリアベルを乗せた驢馬車は中央大陸北にある港町クナートへと到着した。


 妖魔モンスターに襲われた事により大きな傷跡の残るワーゼンを、迂回するような形で進んだため、通常よりもやや時間が掛かってしまったのだ、と、道中で仲良くなった御者の男から聞いた。

 驢馬車で一緒になった他の客は、出稼ぎ帰りだという壮年の男性、クナートから船でエイクバに住む息子夫婦を訪ねるという老夫婦、職を探しているという若い男性2人、出産の為に里帰りをするという女性、そしてマリアベルの合わせて7名だった。そこに御者が交代要員を含めて3名、雇われ護衛と思われる男が2名。

 道中は野盗も妖魔モンスターも出ず、皆和気あいあいとした雰囲気だった。しかし、夜は不特定多数の人の気配……というより、いびきがどうしても気になった。少し前までは神殿暮らし、その前は日銭を稼ぎながらの旅をしていたのだが、それでも、元々マリアベルは伯爵家のご令嬢だったのだ。多少の物音や隙間風には慣れたが、こうした雑魚寝のような状況にはまだまだ慣れるには時間が必要だった。

 ここで、オークルで購入した厚手のマントが大活躍をした。昼間は尻の下に敷いていたが、夜は頭から被って包まる事で、音を和らげる事は勿論だが、僅かばかりのプライベートな空間らしきものが手に入り、何とか睡眠をとる事が出来た。

 また、道中飲み水のある場所は限られており、予備として購入した水袋は大いに役に立った。フォンテーネの助言は本当に役に立つものだった。



 そうして、ようやく目的地であるクナートへ到着したのだ。



 驢馬車を降りると、抜けるような青空と、爽やかな風。かすかに聞こえる海鳥の声。


 マリアベルは地面に立ち、大きく伸びをしながら大きく深呼吸をした。途端に鼻腔に潮の香りを感じ、自然と相好が崩れる。



「ここが港町クナートか……!」



 夢にまで見た、冒険者の町だ。

 キラキラと目を輝かせる彼女に、同じ驢馬車に乗っていた若い男性2人が気さくに声を掛けてきた。


「なぁ、ベル。やっと町に着いたんだ。どっかで一杯飲まないか?」

「おいおい、酒ってお前……、あ、いや、ベルが良いなら、酒でも良いけどさ。酒じゃなくても、解散前にどこかで一服どうかな」


 明るく酒好きなベンと、そのいさめ役に回る事の多い、ややお固いピーターだ。2人とも特に下心は感じない、気のいい好人物だった。

 だが、マリアベルは首を横に振って誘いを辞退した。


「せっかくのお誘いだが、済まない。町に到着したらすぐにエルテナ神殿に行くと決めていたんだ」


 ――クナートに着いたら、恩人であるフォンテーネの手紙を真っ先に届けに行く。


 それは彼女から手紙を受け取った時から心に決めていた事だった。マリアベルの真っ直ぐな気持ちの乗った言葉に、ベンとピーターは顔を見合わせると少し残念そうにだが、笑って頷いた。


「なら、仕方ない。俺たちはしばらくこの町に逗留して職探しする予定だからさ、また会った時に誘わせてもらうよ」

「ああ、ありがとう」


 彼らに笑顔で礼を述べると、マリアベルは他の相乗りしていた人々にも別れの挨拶をした。それから、荷物をまとめて背負うと意気揚々と歩き出した。


「あ! ベル!」

「うん? なんだ?」


 驢馬車の御者の男に呼び止められ、マリアベルは振り返って小首を傾げて問うた。すると、御者の男も首を傾げた。


「さっき、エルテナ神殿に行くって言ってなかったか?」

「ああ、そうだ。そのつもりだが」


 さも当然とばかりに頷く。すると、彼は呆れたようにマリアベルが行こうとした先とは逆を指さした。


「逆だ」

「逆?」

「エルテナ神殿に行く道は、そっちじゃなくて、こっち」


 その言葉に、マリアベルは目を丸くして御者の男が指さす方を見た。そんな彼女を見て、彼は他の御者仲間と顔を見合わせて笑った。それから、笑いを苦労して収めつつ再びマリアベルに声をかけた。


「俺たち、これからエルテナ神殿に驢馬を休めに行くんだ。よければ、一緒にどうだ?」

「……よろしく頼む」



* * * * * * * * * * * * * * *



 ――港町クナートの南区に位置し、貧民区スラムや孤児院とも近いという豊穣神エルテナの神殿は、質素で堅固なたたずまいだった。マリアベルが以前過ごした戦神ケルノス神殿は、同様に質素ではあるが、鍛錬用の刃引きをした剣や打ち込み用の的が至る所にあり、どちらかというと武骨な印象だ。同じ質素でもおもむきは大分異なる。


 石造りの門をくぐった先には扉の無い入り口があった。これは「全ての人々に門戸を開く」というエルテナ神の教えによるものだ、と御者の1人が教えてくれた。なるほど、と感心したように呟き、マリアベルは神殿に一歩足を踏み入れた。――すぐ目の前に、柱に豊穣神エルテナのシンボルである“円”と“マーガレットの花”が彫刻された回廊があった。華美な装飾ではないが、回廊の中央には薬草ハーブ家庭菜園ポタジェがあり、小さな花を咲かせている。石畳の回廊の壁も所々に薬草ハーブが束ねて干してあり、風がそよぐとふわりと清々しい香りが鼻腔をくすぐった。中央の庭と明り取りからは日の光が柔らかく差し込み、素朴な温かさを感じた。


「こんにちは、何かご用ですか?」


 若い男の声が掛かり、ハッと我に返ったマリアベルが振り返ると、神官衣姿の青年がこちらにやって来るのが見えた。マリアベルが何か言う前に、勝手知ったる驢馬車の御者達が先に彼に挨拶をした。


「やあ、こんにちは。前もお願いしたんだが、俺たちの車の驢馬たちを、ここで一緒に休ませてくれないかな」

「ああ、驢馬車の方ですね。もちろん構いませんよ。驢馬はどちらに?」

「神殿の敷地に入れる訳にも行かないから、農場の方に先に仲間が連れてってる」

「分かりました。では、そちらに向かいましょう」


 とんとん拍子に話が進み、神官らしき青年はさっさと外へ出て行ってしまった。


「じゃあな、ベル! また機会があったら利用してくれよな!」


 御者の男達も口々に挨拶をして神官の後を追う。「ありがとう、また!」と挨拶を返してから、ハタとしてマリアベルは周囲を見回した。……完全に言い出すタイミングを逃してしまった。既に周囲には他に人が見当たらない。まだ日も高い。エルテナ神殿の神官は農耕も行っているはずだから、みんな畑に出ているのかもしれない。


 さて、どうしたものか――腕組みをして頭を悩ませていると、背後から今度は女性の声が掛かった。


「何か御用ですか?」


 声の方角へ目を向けると、濃紺一色の修道服を身に纏った4~50代ほどの年嵩の女性が立っていた。恐らくエルテナ神殿ここ侍祭じさいなのだろう。マリアベルは彼女に向き直ると居住まいを正して一礼した。


「勝手に足を踏み入れて申し訳ありません。人を捜しています。ここにアトリ殿、という女性はいらっしゃいますか」

「アトリですか?」


 女性の片方の眉がピクリと動いた。妙な迫力に気圧されつつも、なるべく平静を装ってマリアベルは説明した。


「彼女宛に手紙を預かっているのです」

「そうですか。では、わたくしが預かりましょう」

「いえ、申し訳ないのですが、己の手で直接渡したいのです。手紙の差出人は、私にとって非常に恩義のある人で、責任を持って届けると約束したのです」


 侍祭の申し出に、マリアベルはかぶりを振って答えた。それから、彼女を真っ直ぐに見つめて言葉を続けた。


「アトリ殿には決して害をなす事は致しません。戦神ケルノスに誓って」

「あら、貴女、戦神ケルノスにお仕えなのですか」

「はい。剣を捧げる勇者を求めて旅をしております」


 神は違えど、神に仕える者同士。――侍祭の表情が和らいだ。


「あの子――アトリは今、近くの冒険者の店に使いに出ているのですよ。中で休まれてお待ちになりますか?」

「ああ、いえ、お気持ちだけ。その冒険者の店に行ってみます。店の名前か、目印を教えて頂けますか?」

「そうですか、分かりました」


 頷いた侍祭は、マリアベルに冒険者の店の名と、その道順を簡単に教えてくれた。



* * * * * * * * * * * * * * *



 ――エルテナ神殿からその店までは大きな道一本で繋がっており、道沿いに進めば迷う事など無く辿り着けるとの事だった。……の、はずだった。――が。


 30分ほどで到着するはずのその店は、まるで迷いの魔法で守られているかのようになかなか辿り着く事が出来なかった。

 かなりの時間を歩き回り、宿を先にとって、荷物を全部置いてから来ればよかっただろうか、と後悔し始めた頃、ようやくエルテナ神殿の侍祭が言っていた目印――「剣と鳥」をモチーフにした金属の吊るし看板下がった建物に辿り着く事が出来た。

 他とは明らかに異なる、レンガ作りの比較的がっちりとした建物を見上げて、マリアベルは目を輝かせた。


「ここが春告鳥フォルタナの翼亭か……!」


 な、冒険者の店だ。しかも、大きい。オークルの驢馬車エーゼットラングの車輪亭と比べても、こちらの規模が明らかに大きいと分かる。かたやテイルラットでも屈指の商業大国、かたや大陸の北の端の港町。しかし、後者の冒険者の店の方が大きいのは――フォンテーネが言っていたように、この町が“冒険者の町”だからなのだろう。

 その町の、冒険者の店。自然とマリアベルの胸は高鳴り、気分は高揚した。小さく深呼吸をして、――意を決してドアノブに右手をゆっくりと伸ばした。そして、正にドアノブに手が触れる瞬間、


「こんにちは」

「うわっ?!」


 唐突にマリアベルの背後から、柔らかな、そして場違いなほど朗らかな声が掛かった。思わず驚きの声を上げて、慌ててマリアベルは振り返った。

 そこには、にこにこと微笑みを浮かべた、焦げ茶色の髪の半妖精ハーフエルフの青年が立っていた。目尻のやや垂れた碧色の瞳は、害意の片鱗も見られない。


「驚かせちゃったかな、ごめんね。けど、随分長く立ってたけど、どうかした? 店に何か用だったのかな」


 両手を背中側で組み、柔らかく微笑んだ青年はマリアベルを見て小首を傾げた。ハッとしてマリアベルは大きく頷いた。


「ああ、そうだ。ドアの前に立ったままで邪魔をしていたら済まない。こんな大きな冒険者の店は初めてで、ついつい感動に浸ってしまっていた」


 詫びつつ、マリアベルが急いでドアの前を譲ると、彼はクスリと笑ってドアを開いた。カラン、とドアベルが軽やかに鳴った。


「どうぞ」


 ドアを開けたまま、青年はマリアベルを店の中へうながした。礼を言って彼女は店内へ足を踏み入れ――その広い店内に、再び感嘆の息を吐きだした。


「すごいな……これが冒険者の町の冒険者の店か!」

「あはは、なんだい、それ」


 ドアを閉めながら、おかしそうに半妖精ハーフエルフの青年は笑った。彼はこの店の常連なのか、店員が声を掛けてくる。


「いらっしゃいませ、シン様」

「うん、こんにちはー」


 それに明るく答えてから、彼はマリアベルの方を振り返った。


「僕は、シェルナン・ヴォルフォード。みんなはシンって呼んでるよ。この町の孤児院で手伝いをしてるんだ」

「これはご丁寧に痛み入る。私はマリアベル。ベルと呼んでくれ」

「うん、分かった。、だね!」

「ちゃ……」


 ん、と顔を引き攣らせて鸚鵡返し仕掛けたが、シンと名乗った半妖精ハーフエルフの青年が、悪意のない笑顔で「よろしくね」と続けてきた為、「ちゃん付けは勘弁して欲しい」と言い出すタイミングを逃してしまった。とはいえ、半妖精ハーフエルフは人間よりも大分長命だったはずだ。目の前の彼も、若々しく見えるが実際の年齢はマリアベルの父親よりも年長の可能性もある。だとしたら、呼び方に対して物申すのは逆に失礼に当たるかもしれない、と思い直し、マリアベルは「こちらこそ」とだけ答えた。


 そんな立ち話をしていると、店内のテーブル席に座っていた人物がこちらに声を掛けてきた。


「シンさん、こんちわ!」

「やあ、シアン。こんにちは」

「そっちの子もこんちはー……いや、初めまして、か?」


 片手を上げて挨拶する青年は、座っていても背が高い事が分かる。頭髪は短く濃紺色。黒が好きなのか、それとも別の理由があるのか分からないが、服は上から下まで黒ずくめだ。明るい声音と意志の強そうな柳眉、快活そうな群青色の双眸を見るに、喪に服しているわけでは無さそうだ。その青年は、ニカッと笑ってマリアベルに手を振った。


「ども! 俺はシアン・バレンティーノ。よろしく!」

「ああ、こちらこそ。私はマリアベルという。ベルと呼んでくれ」

「ん? マリアベルなら“マリー”じゃないのか?」


 耳聡みみざとく、シアンが聞き返す。マリアベルは肩を竦めて答えた。


「マリーというのは、いささか私には可愛らし過ぎてな。ベルの方が、こう、何となく冒険者らしい感じがしないか?」

「お! って事は、ベルって冒険者か?!」


 目を輝かせて、シアンは席を立ってこちらにやって来てニヤリと笑った。


「俺も冒険者だ! これでも、結構依頼こなしてるんだぜ」

「なんと……! では、シアン殿は私の先輩になるな。私は実はまだ、依頼を請けた事が無いのだ」

!」


 マリアベルの言葉に、シアンは目をみはり、次いで嬉々としてシンに顔を向けた。


「シンさん、聞きました?! 先輩ですよ、俺!」

「あはは、そっか。じゃあ、色々教えてあげないとだね」

「任しといてくださいよ! よっしゃベル! 何でも聞いて良いからな!」


 再び、ぐりん! とこちらを振り返るシアンに、マリアベルは礼を言って頷いてから、店内を見まわした。


 まばらに座る冒険者らしき客達。カウンターには店員が数名、食器を片付けたり注文を受けている。大きな掲示板に貼られたいくつもの羊皮紙。二階へ続く階段。知らぬ間に、目を輝かせたままマリアベルはじっくりと店内を凝視した。その初々しい様子に、シンとシアンは顔を見合わせて笑い合った。


「いや~、なんつーか、懐かしいな~」

「そうだね。僕も冒険者になったばかりの頃は、冒険者の店ってよく分からないけど、すごく気分が高揚した記憶があるよ」

「確かに。――っと、そういや、シンさんがこの時間に来るのって珍しいっすね。休憩ですか?」

「うん、買い出しついでにちょっとだけね。帰ったらミアちゃんがお茶を淹れてくれるって言ってたから、ほどほどに、かな」

「あはは、シンさん好きですよね~、」

「うん、ミアちゃんのお茶は美味しいからねぇ」


 にっこりと微笑んで答えるシンに、シアンは頭の後ろで両手を組みつつ揶揄からかうようにくつくつと笑いながら「お茶っていうか、ねー?」と意味深な言葉を呟いた。丁度その言葉を耳にしたマリアベルは、なるほど、と内心でシアンの言わんとする事を理解した。つまり、その“ミア”という女性と、この物腰柔らかな半妖精ハーフエルフの青年は、恋仲という事なのだろう。

 対するマリアベルはというと、物心ついた頃から婚約者がいたため、“色恋”に対しては全くと言って良いほど憧れを持ってはいなかった。婚約者がいた頃は当然だが、家を出た後……――恐らく、婚約も破談になったであろう現在も、そういったものにうつつを抜かすよりは少しでも身体を鍛えて技を磨きたいと思っている。……とはいえ、その話題の“美味しいお茶”には少し……否、結構、興味を覚えた。

 そんな事を思った途端、マリアベルの腹がぐぅぅ、と鳴った。雑談をしていたシンとシアンが目を丸くしてマリアベルを見た。


「はは、お恥ずかしい。先ほど驢馬車でこの町に着いたばかりで」

「へぇ、どっから来たんだ?」

「ああ、驢馬車に乗ったのはオークルで……」

「オークル! って、西のでかい商業大国だよな? この町の商会の連中とイベントをくわだてた?!」

「えげつない……というのは分からないが、商業大国は間違いない」

「へぇえ~!」


 興味津々、といったていでシアンが食いついた。それを、やんわりと制するようにシンが微笑んだまま2人に声を掛けた。


「まずは、2人とも、席に座ろうか。あと、ベルちゃん、何か食べる?」

「ああ、……あ、いや、その前に……」


 手紙を、と言おうとしたタイミングで、先ほどより大きな腹の音が鳴り、マリアベルは両手で己の腹を押さえた。


「うーむ、腹が減っては何とやら、と言うしな。食事を頂こう」

「あはは、そうだね。お腹が待ってるみたいだしね」


 クスクスと笑いながら、シンは手近な6人掛けのテーブル席の椅子に座った。続く形でシアン、マリアベルも同じテーブル席につく。


「僕は果実水でももらおうかな」

「あー、俺も」

「ベルちゃんは遠慮せずに食事をとってね」

かたじけい」


 シンの気遣いに感謝してから、マリアベルはテーブルに置かれたメニューにサッと目を通した。


「この、“ランチセット”というものは、どんな内容なのだろう」

「お! 目の付け所がいいな! この店で一番人気のメニューだぜ。たった銅貨5枚で肉、サラダ、腸詰め2つ、パン2つ、スープがセットになってるという、優れもの、もとい、優れメニューだ!」


 何故かシアンが自慢げにメニューの説明をする。一番人気……というからには、きっと美味しいのだろう。そう結論付けたマリアベルは、大きく頷いた。


「ならば、注文しない訳にはいかんな。――君、注文を頼む」


 サ、と片手を上げると、素早く店員がやって来た。


「ランチセットを2つ」

「2つ?!」


 ぎょっとしたシアンが素っ頓狂な声を上げた。その声に、不思議そうに目を向けてから、気にせずにマリアベルは注文を続けた。


「あと、平らなパンピラコウス2つ。白インゲン豆の煮込みカスレ、ベーコンのキッシュ、白身魚と芋のムニエルと、腸詰めを追加で5つ。飲み物は……ああ、檸檬水があるのか。じゃあそれをもらおう。ひとまずこれで」

「……畏まりました」


 注文を取った店員は、表面こそ平静であったが、恐らく多少なりとも動揺があったと思われた。その証拠に、普段と異なり応じるまでにがあった。

 店員がテーブルを離れた後、シアンが慌てたように身を屈めて小声で「全部食うのかよ?!」とマリアベルに尋ねた。しかし、彼女は何故彼がそんな事を言うのか分からなかったようで、きょとんとした顔で「足りなかったらまた注文するが?」と答えた。――これには、シアンばかりかシンまでもが、目を点にして絶句してしまった。

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