第24話バット
意識が、戻った時には雫の手に血で染まったバットが握られていて教室の中央に立っていた。ゴレムと昇が頭から血を流して近くで倒れていた。女子生徒の悲鳴がした。駆け付けた教師達に雫は押さえつけられて床に頭から倒れた。教室の床がこんなにも冷たくて気持ち良い物だったならもっと早く床に頬ずりするべきだったと雫は後悔した。狂を呼んだが狂は返事をしない。狂!狂!と雫は、何回も呼んだが狂は何も応えてはくれなかった。グラウンドに行きたいと雫は思って取り押さえている教師達を振り払って拳で殴り付けてバットを手にして教室を脱出した。
グラウンドに到着した雫はグラウンドの中央に立って「狂!」と叫んでトラックを走り始めた。そうするとHey○udeは名曲だぜと狂が声をかけてくれた。荒い息を上げながら「ああ!」と雫は答えた。今度はカーペ○ターズを聴いてみると良い。小学校の給食が食べたくなるぜ。確かに、小学校の給食時間にカーペ○ターズが流れていた気がする。トマトスープとカーペ○ターズ。走っている内に雫は頭の中がハイになって来た。パトカーの音がそれを遮って、警察官が雫を捕まえようと必死の形相で追いかけて来る。
雫と狂は、ゲラゲラ笑いながら鬼ごっこしてるみたいに逃げ回った。俺達は、砂漠の勇者だ!と狂は叫んで警官の頭をバットでフルスイングした。ぐにゃっという心地いとは違う人間臭さの塊のような感触を手に雫は感じた。狂は、残りの警官の頭もバットでフルスイングして最後に駆け付けて来た森脇の顔面スレスレのところでバットを止めた。雫は、何でバットを振り下ろさない?と狂に聞くと狂は、照れ臭そうに俺様は意外とこの先生が好みなんだよと呟いた。雫は、大笑いしてバットを空高く虚空に放り投げた。
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