第18話偽善者

父親とは、最近、滅多に顔を合わせなくなった。朝に会っても何も話さないで新聞を読んでいる。狂は父を『アイツ』と呼んだ。アイツは自己中心的で自己愛の塊だと言う。


雫は、一週間学校を休んで公園を狂とブラブラしていた。そうするとゴレムと昇が雫に学校のプリントを持って来てくれた。狂はゴレムに煙草を買って来るように指示した。ゴレムはダッシュで煙草を買いに行った。よほど、狂を恐れているみたいだ。


「森脇先生もクラスのみんなも上村君の事、心配している。」昇は、オドオドしながら言った。「了解。明日から行くよ。目、大丈夫?」狂に殴られてまだ腫れている昇の瞼を見て聞いた。「全然、大丈夫だよ。」こいつ嘘をついてるぞと狂は頭の中で疑惑の声を上げた。そんな事無いだろう。どうかな?みんながガ○ジーやイエス・○リストなら話は別だけど殴られた相手に気を使うなんて幽霊なんじゃねーのかコイツ。


狂は、走って帰って来たゴレムから煙草を奪い取って吸い始めた。雫の体に煙草は入って来るが脳の中にいる狂にしか煙草のうまさは分からない。ゴレムはデカイ尻を狂に蹴り飛ばされながら顔に苦笑いを浮かべている。


「ガ○ジーとイエス・○リスト、どっちが好き?」と雫は昇に聞いた。昇は思案するような神経質な顔になって「ガ○ジーかな。」と答えた。「何で?」「イエス・○リストはいたぶられて死刑になったでしょう。痛いのは僕は嫌いだからね。」と少し傾いた眼鏡をかけ直しながら昇は言った。ガ○ジーか非暴力愛好家かよ!この眼鏡猿と狂は昇の顔に煙草の煙を吹きかけてゴレムのオデコで煙草の火を消した。ゴレムは悲鳴を上げて水!水!と言って帰ってしまった。狂はその様子を見てゲラゲラ笑った。

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