第4話「いかなる環境でも、自分は変われる。」
「ぼくは片づけ心理小説を書いて、芥川賞をとる。」
この言葉を、毎日冒頭で意識しながら、執筆に取り組む。この習慣が板についてきて、マインドはすでに大きく変わっている。我ながら、最初に絶妙なタイトルを最初に持ってきたものだ。
今日もいつものようにストップウォッチをセットする。1話を30分で書き切ることが当面の目標である。そして今日は、それが実現できそうだ。
この小説は、練習という角度からリアルな物語を届けている。だからこそ、タイムリーな反応がやってくるのも、文章に盛り込んでいる。そう、過去を振り返るこの物語中に、今まさに起きていることが反映されていくのだ。
今日執筆に選んだ場所は、ネットカフェの「快活クラブ」である。ここは昨年、行きつけの美容師さんから聞いて初めて知った場所だ。最近の漫画喫茶はすごいという話題になり、そこで漫画を読むことにハマっていることを教えてもらって、気になったので行ってみたことが始まりだった。
すると、完全個室の空間と充実した設備にすっかりハマり、今ではスタバの次に常連のように行きつけになっている。出張の時には特に重宝する場所だ。
漫画喫茶に行き始め昨年末から、久しぶりに漫画熱が最高潮に高まっている。今ハマっているのは、宇宙兄弟だが、今日は行った快活クラブには兼ねてから読みたかった本が置いてあった。それは「ANGEL VOICE」というサッカー漫画だ。
これは年始にオススメされた本だが、置いてある場所がなくて読む機会がなかったものだ。でも、このタイミングでまさかの全巻が揃っている場所を見るける。それが、意外にも地元から近くにある快活クラブだった。
実は小説を書き始めようと思って入ったものの、漫画が面白すぎて2時間没頭して読みふけっていた。気がつけば、夕方である。このまま一直線で漫画を読みたいところだが、そろそろ執筆を開始しよう。
そうこうしているうちに、第3話を読んだ方から一本のlineメッセージが届いた。
「どストレートなタイトルの小説、そして内容、すごいです!リアルタイム小説!という新たなジャンルを確立してしまうかもですね!」
実はこうした構想を持っているからこそ、ウェブ小説をスタートした背景がある。非常に本質をついていたメッセージを見ながら、ぼくは胸の高鳴りを感じていた。小説を通して、リアルとの繋がりを作っていきたい。
現実的に起きていることを、小説という形の物語にすることで、現実を生きることにより関心が高まっていく。そうすることによって、生きがいが持てるようになる人も必ず増えていくはずである。
生きることに喜びを感じながら、現実生活を面白く生きる人が増えると、ぼくが楽しくなる。なぜから、面白い感性や発想を持った人と会話している時ほど、面白いものはないからだ。
ぼくが片づけ心理を追究している理由の一つも、ここにある。人間のパフォーマンスを最大化することによって、「それぞれの人間の最高を掛け合わせることができる未来を」作っていきたいのだ。
自分の最大限のパフォーマンスを発揮した状態で、人と人とが関わり合っている瞬間ほど、美しく輝いているものはない。その瞬間を見ることが、ぼくの生きる喜びでもある。
話は逸れてしまったが、一つのご指摘も頂いた。「あなたと、コンビニ」ではなく、「あなたと、コンビに」ですよ。と。確かに、そうである。コンビニではなく、「コンビに。」と、表現しているのが、ファミリーマートのコンセプトだ。
何かを発信すると、何かしらのレスポンスがある。そして、その反応を通してまた自分が成長していく。ありがたいメッセージを読みながら、改めて小説を書いていくことの意義を感じながら、コーヒーを口に含んでいく。
気がつけば、ここまでで、いつもの半分以上の文字数を書いていた。1日のほんの一コマを振り返るだけで、1話分になってしまう。これはこれで、いいのかもしれない。
特別な日だから、特別ではなくて、何気なく過ごしている日々にも、関心を持って味わうからこそ、その1日は特別になる。今日もまさにそうだ。
こうして小説として書こうとしなければ、ぼくとその人だけのLINEのやり取りだけに留まっていただろう。でも、そのほんの数秒のやり取りが、文章として表現されることで、そこに無限の可能性が生まれていく。
少し、想像してみよう。
もし、こうした何気ないことの延長線上が、未来の芥川賞と繋がっているとしたら。この何気ない一通のLINEが、実は世界を変える一歩になっているとしたら。今日、自分が何かを働きかけたことの一歩が、誰かの人生を変えるインパクトになっているとしたら。
ネットカフェからでも、間違いなく未来は変えられる。
こうした些細な現象を通して、後に大きな影響が生まれていくことは、「バタフライエフェクト」と、呼ばれている。蝶が羽を動かすだけで、遠くの気象状況に影響をするという例えとなった表現だ。
事実として、ぼくはネットカフェで1冊の本の執筆を完了している。それが、PHP研究所で依頼があった最初の本。「あなたはなぜ、片づけられないのか?」である。ファミマと、ネットカフェ。この二つの場所が、ぼくの人生の転機となる序章の環境となっていた。
今まさに、その環境でこの文章を執筆していくうちに、あの頃の記憶が鮮明に蘇っていく。気がつけば、深海に潜り込むように、深く深く自分の内側に入っていった。
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