第4話 encounter

猫に連れられてやってきたのは、おしゃれなカフェのような駄菓子屋だった。

閉ざされたドア先にあるブラックボードを確認すると、メニュ一覧がすべて駄菓子になっている。値段が安いなと、2度見しただけはある。

こんなところにと思いながら、さらに裏手に回る猫を見て、そろそろ潮時かなと帰ろうとすると、猫がセンサーに引っかかったのか、玄関先のライトが点灯する。

まるで孫がやってきたかようなおじいさんのやさし気な様子を見ても、この猫はここの常連のようだ。猫なで声に答える「ごろごろ」という声が妙に様になっていた。


足音を立てずに、そっと帰ろうと足を返すと、一歩目で足をとられてしまった。

思っていた以上におおきな音が夜闇に響いた。

猫は、急に「はっ」と寝ころんだ状態からピンと立ち上がる。

足早に猫は駆け寄り、それをおじいさんがゆっくりと追いかける。


足を立たせるが、じんとした痛みが続く。

あたりを見るが、隠れるような場所はない。

猫も「もう無駄だ、観念しろ」と言わんばかりに、8の字を描きながら

無理やり立った私の足を拘束する。

おじいさんの足音も大きくなり、止まった。

私は、浅く息をつくと、今日はじめて人の顔をはっきりと確かめた。

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