第19話 蜂蜜の湖
トランクスブリーフを引きずり下ろした玲は、右手で握ってしごき、左手をパーにして先端を撫でまわしたので、最早、俺は平気で立っていられなくなった。
「そんなんしたら…もう…」
足をがくがく震わせながら俺が呻くと、玲は手の動きを停めて「まだ、だめ」と言った。
「ベッドに、ベッドに行こう」
息を弾ませながら俺がそう言って、天蓋付きのキングサイズのベッドまで行って二人で倒れ込んだ。
玲は大の字になっている左脚に
「腰が、腰が動いちゃう…」
そう呻く俺のリズムに合わせて、玲も自ら動きながら敏感な丘を俺の左膝に擦りつけている。
「だ、だめだってば…」
いよいよもって俺が顔を上げてそう言うと、「駄目なの?」と言って玲は口に入れたまま全ての動きを停めて視線だけを俺に注ぐ。
「だめじゃないけど、だめだってば」
やっとの思いで俺がそう言うと、玲は、口を離して、俺の方にせりあがってきた。
今度は、玲のトロトロに濡れた窪みと、俺の一番敏感な部分が何度もなまめかしく触れ合う。
もう我慢の限界を迎えている俺が、右手を伸ばしてこれ以上なく硬くなった俺自身を握って玲の窪みの中に押し入ろうとすると「だめ、手を使わないで」と言って俺の動きを制した。
「こうやって自然に入るまで、だめ」
最早、なんの儀式か儀礼なのかわからない興奮状態の中、それでも玲の言う通りにしようとする俺はいったいなんなんだ?と疑問に思うことなく俺は従おうとしている。これをきっと思考停止と呼ぶのだろう。
目を瞑って、それでも、玲の窪みの位置を頭の中でロックオンして、それからゆっくりと玲の中に押入って行くことができた。漫画なんかでは、ズブズブという効果音が吹き出しに描かれるのだろうけど、果たして、挿入するときに本当にそんな音がしたような気にさえなった。
玲は、右腕を俺の後ろ頭に回して抱え込み、自分の身体を俺に密着させた状態でゆっくりと深くグラインドさせた。玲の中に居る俺自身は、けっして大きいサイズではないけれど、それでも、エレベーターに乗って屋上から地下階までをなぞるように行ったり来たりする感覚を味わった。
俺の後ろ頭を抱え込んだ玲の右腕は、沈み込むときには緩め、昇るときには自分の胸に引き寄せながら力を入れた。その度に、玲の垂れ下がった髪の毛がサラサラと俺の耳をなぞり、その感触ですら快感となった。
玲はグラインドの角度を変え、スピードを変えながら、完全に俺を支配下にした状態で自分が逝きついてしまわないようにコントロールしながら何度も何度も快感の波を味わった。だけれども、俺が玲の柔らかいお尻を両手で揉みしだくと俺の右耳のそばで次第に息が弾み始め、回した手の指を俺の肩に深く食い込ませながら「もうダメ…いっちゃう!いっちゃう!」と叫びながら躰を震わせた。
今度は、俺が玲をベッドに寝かせてから上になって黒い茂みの奥に分け入る。
玲は、自分の手の甲を自分の頬に上下に擦りつけたり、自分の髪の毛をまさぐったりしながら感じ続けているのを俺は上から見下ろしながら動く。玲は、自分が逝きついた後でも窪みのポテンシャルを落とすことなく俺自身に吸い付き、
無事に玲を高みに昇らせた安堵感からか、俺は間もなく頂点を迎えて、玲の真っ白な体に1m定規で線を引いたような半透明な筋を勢いよく放出させた。
二人とも、逝きついた後、しばらく会話はなかった。というか、必要としなかった。息を弾ませながらも歓びを噛みしめるような境地を感じていた。
俺は、心の底からホッとしていた。玲を抱けてよかったという安心感に包まれていた。
できれば、玲も同じように感じていてほしいとも願ったが、それを尋ねることすらはばかる蜂蜜のような甘い湖にいつまでも浮かんでいたい心境だった。
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