僕の色

僕の色

 今日僕は、学校の授業で人種差別について習った。

 きっと全てを完璧に理解した訳ではないけれど、とても悲しい気持ちになった。

 

 僕には絵を描く趣味がある。

 それは嫌なことも、辛いことも、全部忘れることのできる夢の時間だ。


 悲しい気持ちをなくしたくて、今日もキャンパスの前で筆を握った。

 パレットには白黒黄色、とにかく色んな色を並べた。


 きっとこれだけの色があれば、

 春のような潤いも

 夏のような幸せも

 秋のような渇きも

 冬のような憂いも

 なんでも自由に表現することが出来る。


 キャンパスに今の感情の全てをぶつける。

 やがて至福の時間は、絵の完成と共に終わりを迎えた。


 そこに出来上がった絵の美しさに、僕はとても満足した。

 このキャンパスには今、僕が表現できるありのままの美しさがある。


 その確信と達成感に浸るのをそこそこに、僕は道具を片付けることにした。

 そして、パレットを見下ろし、ふとそれに注視する。


 美しい絵とは対照的に、パレットは汚く、醜く汚れていた。

 

 こんなにも沢山の美しい色があるのに、混ざったそれは醜い。

 それ以来僕は、描くことを止めた。

 

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