第332話

「なるほど……」


 アンネの言葉に俺は一人呟きながらも、周囲の様子を確認していく。

 樹上で生活してるエルフは、リンスタットさんに聞いたとおり女エルフばかりで、その中には男性の姿を見受けられない。

 まぁ、希少である男奴隷を購入して利用しているのだ。

 逃げられる可能性がある外にだすような事はしないか。

「ユウマか? 族長が待っているぞ?」


 樹上から声をかけてきたのは、いつぞやのエルブンガストから初めてエルフガーデンの敷地に入ったときに接触してきたサマラであった。


「お前たちの族長が会いたいと聞いて来たんだが……やっぱり男はいないのか?」

「そうですか……ユウマさんがそう聞いてくるということはエルフの問題はすでに聞いているのですね?」


 俺は、サマラの言葉に頷く。


「はい、それもありますが……突然、巨大な魔力の高まりを感じたこともあり――」

 サマラはそう言うと、呆れた目で俺を見てきた。

 その目には、少しだけ非難の色が見て取れる。


「なるほど……巨大な魔力か――。それは大変だな!」

「ユウマさんの魔力でしたけど?」


 確信に満ちた声色で、サマラは問いかけてくる。

 俺は肩を竦めながら「知らないな。それよりも族長に会いにいく必要があるんだろ? ならさっさと連れていってくれないか?」と、告げる。


「…………わかりました」


 サマラはしぶしぶ頷くとそのまま村の奥に向かって歩きだす。

 

「それではユウマ様、私達はこのへんで――」


 アンネを筆頭としたエルフ達は、その場で頭を下げてくる。

 俺は彼女らを見た後にサマラの後をついていく。

 しばらく歩くと、大樹に囲まれた広場が存在しており広場の中央には、ストーヘッジのような物が見える。


 そして広場と思われる場所――石畳の床をサマラが手を掲げると一瞬、足元の石畳の床が淡く青色に光ると石畳がスライドすると同時に地下へ通じる階段が姿を現した。 

「ユウマさん、こちらになります」


 サマラは一度だけ俺の方を見たあとに階段を下りていく。

 俺も地下へと通じる階段をサマラの後を追うようにして降りる。

 すると階段は思ったよりも長く、どこまでも続いてるように思われたが唐突に石の床が現れた。


「ここで、お前たちの族長が待っているのか?」

「はい、それではここから先は我々も滅多に入る事を許されてはおりませんので、先へ――」

 

 サマラは、俺へ先へ進むように言葉を紡いでくる。

 俺はサマラの言葉に頷きつつ、前方に見える扉へ向かって歩いていく。俺は部屋の扉を開けて中に入る。 そこには、長い耳、緑色の長い髪をした15歳くらいの美少女が床に座っていた。 

 すると美少女は「ようこそ、聖人様。私はエリンフィートと言います」と俺を見上げて言葉を紡いできた。

 

「――お前が、エルフ達の族長なのか?」


 俺は、目の前に座っている緑色の髪をした耳の長い美少女を見ながら言葉を紡ぐ。

 目の前の美少女は、どう見積もっても12歳かそこらにしか見えない。

 そんなのが、族長とは些か信じられなかったりするのだが……。


「そうです」


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