第305話
すべての狼を魔法で葬ると、その後方から3メートルを超す巨体を持つオーク一団が姿を現した。
その数は20匹近いが攻撃を仕掛けてきようとしたので【風刃】の魔法で斬り捨てる。
「しかし魔物の大群が押し寄せてくるな……一体どうなってるんだ?」
俺はさらに近づいてくる1メートル近い蜂の大軍を魔法で殲滅したところで後ろから軽く、肩を叩かれた。
振り返ると、そこにはセイレスがいてセイレスはほんのりと頬を赤く染めていた。
「――ん? セイレス、どうかしたのか?」
セイレスは俺の問いかけに反応せずに、そして俺の体の匂いを嗅いでくると俺の首を舐めてきた。
俺はすぐに、帆馬車に乗っているほかのメンバーに向けて「お! おい! セイレスが変だぞ!」と告げるといち早く反応したのがイノンとユリカでセイレスを二人で帆馬車の中に連れていく。
セイレスは四肢をバタつかせていたが、最後にはセレンも手伝い両手両足を縄で縛り付けていた。
「一体、どうなっているんだ?」
俺は帆馬車を動かしながらも疑問を呈するとユリカが「これは……もしかして……」と呟いたあとに、「ユウマさん、これは危険かも知れません!」と、ユリカが叫んできたが「何が危険なのかきちんと教えてくれないと判断に困る」と言うとすぐに「これは噂に聞くエルフ特有の病かもしれません!」と、答えがかえってきたが――意味が分からん。
わかりやすく説明してくれと返そうとしたところで、渓谷を抜けた。
そして、荒地の先にはエルブンガストとは比べ物にならないほど大きな木々が生えている森が広がっていた。
目の前の木は、エルヴンガストの木とはまったく別物と言えるほど大きい。
倍以上の幹の太さ、高さも倍を優に超える。
「リネラス! ここが、エルフガーデンか?」
「どうしたの?」
俺が帆馬車を停めるとリネラスが帆馬車の中から出てくると従者席の横に座ると前方を見て「うん、エルフガーデンね」と、答えてきた。
「そうか、ようやく到着か」
俺の感慨深い言葉にリネラスは「うん」と答えると少し考えたあとに小さくため息をついていた。
どうやら、結構お疲れ気味のようだな。
「まだエルブンガストの木々を破壊したことを気にしているのか?」
「まだじゃないから! いまさっきの出来事だから! はぁ……でも、森が破壊されたタイミングで私達が行ったら勘ぐられるかも……」
「それは大丈夫だろう? 第一、これだけの破壊魔法を使える魔法師とか俺は見たことないぞ?」
「人間というのは普通から外れた出来事というのは中々結びつけにくいものだ。だから黙っていればバレないはずだし、なるようになるだろ?」
「ユウマは楽観的でいいわよね! 問い詰められるのは私かセイレスかも知れないのに!」
リネラスの言葉に俺は首を傾げる。
どうして問い詰められるのが俺じゃなくてリネラスかセイレスなのかと。
セイレスはエルフだから分かるがリネラスだって耳の形からして人間だろうに。
「なあ、どうしてリネラスが問い詰められ――」
ずっと発動していた【探索】の魔法に複数の統率された灰色の光点が表示された事で、俺は途中で言葉を止める。
「リネラス、反応ありだ。この統率された動きは間違いなく……「エルフね!」……」
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