第237話
俺は驚きながら中庭に停止した帆馬車から下りる。
イノンもすぐに帆馬車から下りてくると一緒に宿屋の中に入っていくと、酒場兼食堂にセイレス、リネラス、セレンの3人が一つの席に座ってうなだれていた。
「セイレス、リネラス、セレン、この有様は一体どういうことなんだ?」
俺に話しかけられた3人は俺に視線をむけてくる。
「あ、ユウマ……」
「3人とも……イノンが両親から受け継いだ宿屋の裏庭がどうしてクレーターになっているんだ?」
俺の言葉にセイレスが黒板にチョークで、「表の掃除をセレンと行っていたら爆発音がした」と書いて見せてきた。
「お姉ちゃんの掃除をしていたら、いきなり爆発音が聞こえたの。そしたらリネラスさんが中庭から現れて……」
セレンが小さな声で語ってくる。
まぁ、原因は分からないが――。
「リネラスが宿屋を破壊したのか?」
俺の言葉にリネラスは――。
「ち、ちがうの! ユウマが町を出ていった後にすぐに大きな音が聞こえてきて……」
「聞こえてきて?」
「中庭を見に行ったら、【エターナルフィーリング】が増殖していって……そのまま消えたの」
「つまり……どういうことだ?」
いまいち、リネラスが指し示す言葉の意味が飲み込めない。
……すると。
セイレスが俺に黒板を見せてきた。
そこには、「ダンジョンコアの反応を感じました。エターナルフィーリングはその影響を受けて魔物化したのでは?もしかしたら海の港町カレイドスコープへ移動した可能性があります。エルフの勘です」と、書かれていた。
やけに具体的に書かれているな……。
それよりも問題は、ダンジョンコアの反応か。
もしかしたら……俺が海の迷宮リヴァルアから宝玉だと思って拾ってきて土に埋めて隠した物がダンジョンコアだったのかも知れないな。
だが、ここで――その事実を言ってどうなる?
俺が悪いって事にならないか?
そんな事になれば、仲間からの俺への信頼度が大きく揺らぎかねない。
それだけは避けるべきだろう!
「お兄ちゃん。エターナルフィーリングが魔物化したのはリネラスさんの責任ではないと思うの。ギルマス……リネラスさんを責めないでほしいのです」
セイレスの妹のセレンがリネラスを擁護してくる。
俺はその言葉を聞いて頷く。
「大丈夫だ! リネラスも反省してるようだからな!」
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