第235話

「一体どういうことなんだ? 町全体に変な魔法とか掛けられたりとか薬物が使われているのか?」


 まったく心当たりがない。

 これは、カレイドスコープの代表者であるアレフに話しを聞く必要がありそうだ。

 俺は、屋根伝いに総督府の方へ走っていく。

 すると……。


「最近、家に帰ってくるのが遅いと思ったら浮気してたのね!」

「どこに証拠が!?」


 女性がピンク色の花を男性の前に差し出す。

 それだけで男性の顔が真っ青になっていく。


「これが証拠よ!」


 俺は男性と女性が喧嘩をしている答えにようやくたどりついた。

 そして、目の前では状況証拠を出されて、うろたえているアレフの姿が!

 そうか、アレフお前もなのか……。


「だが、事件の謎は解けたな」


 どうやら……あの花が全ての諸悪の根源のようだ。だが、問題は、海の港町カレイドスコープの至るところに咲いている花が一日でどうやって咲いたのか……その理由がいまいち分からないが……。


 これ以上、放置しておけば大変な事になりかねないというか、すでに大変な事になっている。

 それにしても、これだけの大規模な攻撃。

 相手はかなり狡猾に物事を進めてきた奴らのようだ。

 考えろ、手がかりはあったはずだ。

 そう、手がかりが……。

 思い出す。

 そうだ。俺はエルスと出会った。

 そしてエルスは解放軍に属してると言っていた。

 そして解放軍は、ユゼウ王国のエルンペイア王と敵対をしている。

 ここまで考えれば答えは、おのずと出てくる!

 

「そうか、そういうことか?ここには解放軍の別働隊が展開してるとエルスが言っていた気がする。つまり、これは『海の港町カレイドスコープ』で、あの得体の知れない花を使い互いの不信感を煽る事で疑心暗鬼にさせ人間関係を壊して治安を悪化させようという計略か?」

 

 なるほどな。

 よく考えられてる計略だ。

 だが、ここに俺がいた事が運の尽きだろう。

 類稀な才能を持つ俺だからこそ気がついた相手の作戦!


 一度、皆に町の状況を説明して対応策を考えた方がいいのかも知れないな。

 

 俺は、港の断崖絶壁方面から町を出ると『移動式冒険者ギルド宿屋』に向かう。


 今、男性にとって未曾有の危険な香りに海の港町カレイドスコープ包まれようとしていた。



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