第234話

「昨日まではあんなのは無かったよな?」


 俺は七色に輝く花を見て首を傾げた。


 俺はすぐに倉庫から飛び降りると建物の間――裏路地に足を踏み入れる。

 そして町の様子を確認するため、周囲を調査する事にする。

 何故か知らないが、兵士がいた時よりも街中の雰囲気がギスギスしてる気が……。


「それにしても……」


 俺は裏路地に生えてる七色に光る花を引きぬく。

 それと同時に【探索】の魔法で表示されていたグレーの光点が一つ消失した。


 俺の【探索】の魔法で表示されるのは、緑が味方・赤が敵・青が俺自身で・グレーの色が生物だが敵か味方が未確定の場合だ。

 つまり、この花は生物と言う事になるが……。


「花も木も生物と言えば生物だからな……」


 俺は抜いた花を、その場に捨てると路地裏から大通りに視線を向ける。

 すると、俺がさっき引き抜いたのと同じ花を持った女性達が、何やら男に詰め寄って叫んでる事が聞こえてきた。


「信じられない! あの子とまたキスをしたなんて! うそつき! もう付き合わないって言ったのに! 私を大事にするって言ったのに! ばかあああああ」


 ――と、叫んだ女性が右手で男の顔を殴り、そして流れるように腹を殴っている。

 理想的な攻撃であった。男性は、「ぐふぉあ」と言いながら地面に倒れ付して痙攣している。

 まったく、痴話喧嘩かよ……。


 俺は、その場を離れる。

 するとまた声が聞こえてきた。


「貴方! もう別れたって言わなかった? あの女とは遊びだって言ってたわよね!?」


 また通りで男女が喧嘩している。

 金髪の美人風のお姉さんは、「違うんだ!これには訳があって!」と言い訳をしてる男性を赤いラインが入った物籠で殴りつけている。


 そしてその横では。「信じられないわ! 実家に帰らせて頂きます!」と叫んでる女性が――。

 男性は、「まってくれ!誤解なんだ!」と、言いながら女性に謝罪しているが許して貰えてないようだ。


 


「一体、どうなっているんだ?」


 俺は、海の港町カレイドスコープを見ていくが。


「4又なの!? 私! ……信じていたのに……」

「違う!違うんだ!俺は君だけを愛して」

「嘘ばっかり! どうせ、あの子の方が綺麗だって私の事を捨てるつもりなんでしょう? 許せない許せないユルセナイユルセナイ」といいつつ女性がナイフをバックから取り出す。すると、男性は、「ひいいいい。違うんだよ! 相手が誤解してるんだよ! 相手が勝手に思ってきただけで!」とナイフを振り回してる女性から逃げ回っている。


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