第232話
俺とイノンはとりあえず町の探索のために宿屋を出ると町の方角へ向かう。
そして俺とイノンは、帆馬車に乗り5分程で海の港町カレイドスコープに到着した。
ちなみに、俺が旅をしているエルアル大陸は、人口規模が大きい町は基本的に壁で囲まれている。
それはカレイドスコープも例外ではなく4メートル程の高さまで石が積まれており、それらが町を囲んでいる。 そして町の西と南は海に面している為に、町に入る事が出入り口は町の東と北のみであり兵士が常駐している……というか常駐していたと言い直した方がいいかもしれないな。
現在は、町の代表者であるアレフが組織した義勇団の義勇兵が北門と東門を、それぞれ守っている。
門前で俺が帆馬車を停止させると義勇兵の男が走ってくる。
「申し訳ありません。身分証のご提示をお願いできますか?」
兵士の言葉に俺は首を傾げる。
俺を知らない奴はこの町にはいないと思ったのだが……。
「どうしてだ? この前から俺は出さなくてもいいとアレフ殿から許可は貰っているのだが?」
「い、いえ。規則ですので……」
ふむ。なるほどな……。
「分かった」
俺の言葉に兵士はホッとした顔をする。
「イノン、すまない。今日は帰ろう」
俺は手綱を操り帆馬車を方向転換させる。
「え? ええ?」
そこで困惑した声が声が聞こえてくる。
突然、身分証証明の提示が求められたという事は、何か問題が起きてるかもしれない。
これは一度、一人で潜入して町の中を調べてみる必要がありそうだな。
海の港町カレイドスコープ、東門から離れた場所まで帆馬車を移動した俺にイノンは――。
「ユウマさん。町の入場に身分証の提示が行われたのは何故でしょうか? ユウマさんが町を作り直してからは私達は身分証を提示しなくても入れるようになりましたよね。ユウマさんは、身分証の提示が気になって町に入らずにカレイドスコープから急いで離れたんですよね?」
俺はイノンの言葉に頷きつつ握っていた手綱をイノンに渡す。
馬に繋がっている手綱を受け取ったイノンを見ながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます