第224話

 市場で、イノンが購入したパン用の小麦を受け取ってイルカのリュックの中に入れる。

 調味料をキロ単位で購入した物をセイレスから渡されてイルカのリュックの中に入れる。

 セレスが購入してきた海産物をイルカのリュックの中に入れることを繰り返していると。


「ねえ?ユウマ、さっきから不思議に思ってたんだけど、それ何なの?」


 リネラスが、俺のリュックを見た後に触りながら聞いてきた。


「これか? これは、海の迷宮リヴァルアを攻略してるときに手にいれた4次元リュックサックなんだが。かなりの量の物が入るんだ」


 俺の言葉にリネラスだけではなく、イノンやセレン、セイレスまで俺の方を見てくる。


「そ、それって……ユウマ、それって! アイテムボックスの機能がついたアイテムじゃない!」


 だから、そう言ったろうに……。

 リネラスが、ものすごく物欲しそうに見てくる。


 ただ、リネラスに上げると後々、女性陣で問題になりそうな気がする。


 そう考えると……。

 俺はイルカのリュックを下ろしてセレンに差し出す。


「え? お兄ちゃん!? こ、これって?」

「いつもセレンは頑張ってるからやるよ。それにセレンなら冒険者ギルドに殆どいるからな。セレンが持っていた方がいいだろう」


 俺が差し出したリュックを抱きかかえると、セレンは嬉しそうな顔をして「ありがとう! お兄ちゃん!」とと言ってきた。

 俺はセレンの頭をやさしく撫でていると「ロリコン!」と言う事が聞こえてきた。

 思わず振り返るが、そこにはイノンやセイレス、リネラスがほほ笑みながら立っている。

 おかしい。今、何か酷い事を言われた気がするが――セイレスは話せないしリネラスとイノンが、言う訳がないよな? そうだよな?

 俺が一人、心の中で仲間を擁護していると、セレンが俺の洋服を引いてきた。


 下へ視線を向けると、俺に抱きついてきたので思わず頭を撫でる。

 ふむ……セレンも、セイレスの妹だけあって将来は美人に成長するのは分かるし、今でも十分かわいい。

 さすがはお兄ちゃんと呼んでくる妹キャラだ。

 もしアリアがいなかったら、きっと俺の中の妹キャラベストTOPに入っていたかも知れないな。


 「やっぱり小さい子が好きなんですね!」とか「本当変態!」と後ろから聞こえてくる。

 俺は急いで振り返るが、そこには当たり障りのない話をしている仲間の姿が……。

 どうやら、俺は疲れているようだな……。 




 それから俺達は、装飾品店を見ていく。

 どうやら、クルド公爵邸炎上のあとは重税を課す貴族が居なくなり適正な税だけ払えばいい事になったことで町の経済は回復しつつあるようだ。

 それと、解放軍もほぼ撤退した事から船もそろそろ出そうかという話も出ているらしい。


 とりあえずはと……。

 

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