第223話
3人とも本気に見えてしまう。
そして、その誤解を与えたのが俺ときたら。
「仕方ないですね。ユウマさんは、花を贈る意味を知らなかったようですから。今回は皆さんで買い物にいきませんか?」
ニコリと微笑みながらイノンは、リネラスとセイレスに話しかける。
イノンの話を聞いたリネラスとセイレスは互いに目配せをした後、盛大に溜息をついていた。
するとリネラスは俺を見て、「ユウマ! 今度からは、きちんと考えてから話してね。」と、言ってきた。
俺は頷きながら「分かった」と答える。
「それじゃ、今日は皆で町に買い物に行きましょう! 今日は、花を買って贈ってくれるんだよね? せっかく着替えたんだし行こっ!」
リネラスの言葉に、「行きましょう!」とイノンが同意している。
セイレスは何度も頷きつつ、セイレスの妹のセレンは俺に近づいてくると――。
「お兄ちゃん、命拾いしたね! エルフにプロポーズした後に断ったら大変だったんだよ?」
――と、セレンは俺にだけ聞こえる音量で話しかけてきた。
そして、俺達は帆馬車に乗り、俺が馬を操り海の港町カレイドスコープに向かった。
海の港町カレイドスコープに到着すると入り口には義勇兵が居り、昨日は見たはずの解放軍の連中の姿がほとんど見られない。
俺が帆馬車を、町の入り口に止めなると門を守っていた義勇兵の連中が近づいてくる。
「ユウマさんじゃないですか? もう別の町に行ったのかと……」
「いや……」
そこで俺は言葉を止める。
余計な情報を与える必要はないな。
俺が冒険者ギルドに所属してる事は、この町の人間なら誰でもしってるからな。
余計な情報を与えて解放軍に情報が流れてたら面倒になりかねないし。
「今日は、解放軍の連中の姿が見当たらないな? どうかしたのか?」
「それが、ここ2週間ほど冒険者ギルドの関係者の人間が見当たらなかったらしいので、別の町に行ったのではと噂になっていて……他の町や村を調べるために兵を分散したらしいんですよ」
「ほほう……」
それは逆に朗報だな。
反乱軍がいないなら、今日は全員で行動しても何も言われる事はないだろうし。
俺は、情報提供の謝礼として金貨を1枚、義勇兵に渡す。
そして、いつものとおり帆馬車を積み荷が行われる帆馬車の停留所におくと、俺を筆頭にリネラス、セイレス、セレン、イノンの順で帆馬車を降りて町中に向かった。
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