第225話
「ユウマさん、本当にいいんですか?」
「ああ、誤解を与えたからな……」
まぁ金貨は、まだ数千枚あるし問題ないだろう。
俺はイノンに天然のサファイアが使われているブローチをプレゼントした。
「お兄ちゃん! 私はいらないよ!」
セレンにあげようとしたらアイテムボックスを貰ったからいらないと言われた。
そして、セイレンには意匠が凝らされた弓を購入してあげた。
「ユウマ! ユウマ!」
「なんだ?」
リネラスは、俺の腕を掴むと市場の通りを歩き始めた。
すると通り道に花屋がある。
「ユウマ、ここが花屋だよ!」
そういえば、宿屋でイノンから花壇を借りてたな。やっぱり何か植えないとせっかくの宝玉が誰かにバレたら事だな。
俺は畳20畳ほどの花屋に足を踏みいれる。
すると若い女性の店員さんが俺達に気がつく。
「いっらっしゃいませ」
若い女性の店員さんが俺を見た後にリネラスを見ると意味ありげに微笑んでくる。
どうやら、俺とリネラスが2人で花を購入しにきたことで勘ぐりをしているのだろう。
「実は、花壇で植えるような花が欲しいんですけど何か手頃に育てられる花とかありませんか?」
俺の言葉に女性店員はしばらく考え込んだ後に。
「そうですね。それではエターナルフィーリングと言う花は如何でしょうか?」
「エターナルフィーリングですか?」
俺は首を傾げる。
「はい、好きな異性に贈る花です。3日間、夜の間に水を上げることで花を咲かせるものです。しかも、互いの状況が分かる花なんですよ?可愛らしい彼女さんにはピッタリではないでしょうか?」
「そうですか」
チラッとリネラスの方へ視線を向けると目をキラキラさせている。
ふむ、なるほど。そういう迷信とか女性は好きだからな。
「分かりました。何株か売ってください」
俺はギルドカードを差し出すと女性店員は受け取ってから返してくれた。
ギルドカードは、冒険者ギルドと提携している花屋や店舗での支払いが出来る。
支払いが終わりエターナルフィーリングの株を7つ受け取った。
「さてと、買うモノも買ったし戻るとするか!」
俺の言葉に全員が頷いてきた。
どうやら、この2週間の間ずっと宿屋で缶詰になっていたセイレス、セレン、リネラスにとっていい気分転換になったようだ。
宿屋に戻り俺とリネラスは、エターナルフィーリングの株を植えるために中庭の花壇に向かった。
「イノンさん、お姉ちゃん。あれは……」
3人とも俺が購入してきた花を見てコソコソと話しながら、花壇にいる俺達の方へ視線を向けてきていた。
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