第212話
「……いつの間にか寝ていたのか」
俺は立ち上がりながら自分の体の状態を確認する。
両手、両足共に異常は見当たらない。
むしろ心なしかいつもより体が軽く感じられる。
【肉体再生】の魔法は、人間が筋肉トレーニングをした際に負荷がかけられた筋肉が回復する時、以前よりも強靭な筋力になり回復するように、以前より強靭な肉体になるようにイメージして発動させている魔法だ。
それに対して【肉体修復】の魔法は、細胞増殖を利用とした人間を治癒力を極限まで高めた細胞分裂を利用している回復魔法。もちろん人間の体の細胞分裂には限りがあるからテロメアを付与することで細胞分裂には限りが無いようにしている。
そして、現在発動させている魔法は【肉体再生】の魔法になる。
だからこそ、寝る前よりも少しだけ強靭な肉体になったのかもしれない……きっと……たぶん。
俺は、まず魔法で作っていた壁を崩し通路に出る。
すると昨日、瀕死の重傷を負わされた伊勢海老と同じ魔物に遭遇した所で丸くなって突撃してきた。
そんな攻撃を! この俺が! 何度も! 受けると思ったら! 大間違いだ!!
……と思ってた時期が俺にもありました。
俺はまた壁に叩きつけられ瀕死の重傷を負い、仕方なくまた【風刃】の魔法で伊勢海老を倒した。
そして小部屋に戻り体を回復させてからまた通路に戻る。
そんな事を繰り返して思った。
「どう考えても人間が避けられる速度じゃない気がする……」
……と。ただ、この速度を避けられないと先に進むのは危険な気がする。
俺は仕方なく、とりあえず100回くらい試してだめなら別の方法を考えようと結論づけた。
そして、壁に貼り付けられて魔法で倒して回復してから、また貼り付けられて魔法で倒して回復してをずっと繰り返す。
そして……。
「ウォォォォォ」
俺は叫びながらもギリギリ避ける事が出来た。
コツが掴めてきた。
見て避けたら間に合わないんだ。
見る前に相手の動作を読み取って回避行動を取らないといけない。
つまり考えるな! 感じろ! ってやつだ!
それからは、俺の回避能力は、神回避と呼ばれるレベルにまで成長した。
もはやイセエビ相手に被弾する方がおかしいレベルだ。
フハハハハハハ。この伊勢海老ごときがーと叫びながら伊勢海老の集団に突っ込んでも回避してするレベル。
伊勢海老の攻撃を回避するだけながら、そいつの姿を見た瞬間に俺の直感が理解する。
所謂、貴様の攻撃はすでに見切った! というやつだ。
俺は飛んできた伊勢海老を魔法で強化してない体で受け止めると手刀で伊勢海老の甲羅を砕いて中身を生で啜った。
とうとう俺は極地に達してしまっていた。
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