第155話
ユウマが作った巨大な神殿は地下室も作られており400人の村人が暮らすには十分な広さをもっていた。
地下室と言ってもユウマが考えたのは地下貯蔵庫であったが、それが生かされていた。
村で取れた多くの麦や冷暗室としての役目を果たしている部屋にはユウマが刈り続けた多くの動物の肉が貯蓄されていた。
村人が全て逃げ込んだすぐ後に、村の家々は飛翔してくる巨大はスケルトンワイバーンにより破壊されていく。防衛をメインのスライムに任されていたスライム達は1000匹ほどの数が置かれていたが万の数を相手にするには力不足であった。
その頃、ウカル司祭はハネルト大司教よりこの地を1週間死守するように言い付かっていた。
「無理です。ハネルト大司教様もご覧なられたでしょう?今、攻めてきている不死の魔物は以前よりも数を増しています。15年前でも万単位の兵と冒険者を投入して抑えきれなかったのに、一週間も持たせられる訳がありません!今だってユウマ君が作り出したスライム達が必死に魔物の進行を抑えてるのに、戦える者なんて今、この村ではおりません!」
「……分かっている。だが、もうすぐイルスーカ侯爵家の騎士団団長ブルームが戻る」
ハネルトの言葉にウカルは眉を潜める。
「たった300人の騎士団で万を超す魔物にどれだけ対抗できるか分かっていますか?ハネルト様は戦場をご理解しているのですか?これは計算ではないのです。人の命がかかっているのですよ?」
「分かっておるが、エメラダ様が率いるイルスーカ騎士団の本隊が到着するまで少なくとも3日はかかる。その後の王国軍と冒険者、神殿騎士団の編成をどんなに急いでも一週間はかかってしまう。それまでは既存の戦力でやりくりするしかあるまい」
ウカルは頭を抑える。
15年前と違って、この村に存在しているのはユウマ君が残した空飛ぶ魔物すら寄せ付けない結界が張られている教会。
ただ、その効力も5日持てばいいほうだろう。
それに……病も蔓延し始めている。
体力の無い者から次々と倒れていっている。
このままでは、数日で村は陥落する。
「ハネルト大司教様、ウカル様。イルスーカ侯爵家の騎士団団長からの命によりご報告を伝えにきました。」
「そうか!きたか!」
ハネルト大司教は立ち上がるって喜びの声を上げる。
だが。ウカルには、その血まみれの甲冑を着た様子の男からは嫌な予感しかしなかった。
「騎士団長ブルーム、正者の魔物ドラゴンゾンビにより右腕を失い戦線離脱。ブルームが率いておりました騎士団はデーモンゾンビなどに襲われ部隊は壊滅しました」
「……ば、ばかな……ドラゴンゾンビにデーモンゾンビだと?そ、そんな古の上位魔物がなぜ……」
ハネルトは力が抜けたように椅子の上に倒れこんだ。
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