第149話

 俺は、周囲に視線を向ける。

 すると、周囲には無数の兵士が転がっていた。

 全員が首を刈られて絶命しているのが分かる。


「私の名前は瞬殺の殺し屋ガムル! 自身ですら制御しきれない速さで相手を殺す力を持つ者です!」


 ふむ、なるほどな。

 俺は頭の中で魔法のイメージしながらガムルの動きを見る。


「防げるものなら防いでみなさい! このSランク冒険者最高最強の移動攻撃速度を持つ私の瞬殺剣を!」


 俺の視界から殺し屋ガムルの姿が消える。

 そして何かがブチ当たる大きな音が周囲に鳴り響いた後、辺り一面に血の雨が降り注ぐ。

 俺は一言だけ呟く。


「馬鹿だろお前、自身ですら制御できない速さで移動して攻撃したらだめだろ? 壁作られたらどうやって避けるんだよ」


 俺が瞬時に作り出した壁に、ガルムは突っ込んできて四散した。

 もちろんガムルの死体は残ってはいない

 そして、指揮官が殺されたからなのか誰もが凍りついたように動けずにいた。

 ふむ、丁度いいか。


「貴様らの指揮官である瞬殺の殺し屋ガムルは、この俺が倒した! まだ戦おうと言う者がいるのなら俺に殺される覚悟をしろ! 戦う覚悟が無い者は武器を捨てて投降しろ!」


 俺の言葉に逃げ出す奴が出始める。

 

「貴様!よくもガムル様を!」

「警告はしたからな?」


 それでも逃亡するわけではなく何十人も俺に向かってくる。

 それらを全て【風刃】の魔法で発動させた真空の刃で屠っていく。

 その様子を見ていた兵士達は恐慌状態になり走り去っていった。

 俺は、去って行く大軍をみながら溜息をつく。


「さて、ネレイド公爵だったか?俺に手を出したんだ。きちんとお礼はしにいかないといけないな」


 とりあえず、かなり魔力を使った事だし明日にでも行くとするか。

 それに、ネレイド公爵がどこに住んでいるか分からないからな。

 

 俺は、村に戻る為に壁に出口を作り村に向かっていると昨日、俺に絡んできた奴らが村の入り口で荷物を積み込んでいるのが見えた。

 フィンデイカの村に広場を通ると、そこには何百人ものフェンデイカの村人が集まっていた


「ユウマさん!」

 振り返るとイノンが走りながら俺に近づいてくる。


「すいません、ユウマさん。皆に伝えて回っていたんですけど……間に合いませんでした。それにあの壁が出来て皆不安になって集まってきてしまって……」


 たしかに、50メートル超えの壁は少しやり過ぎだったかもしれないな。

 だが、魔物がいたりするからな。

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