第119話
ヘイズが眉元を顰めてくる。
「俺の名前は魔王ユウマ! 全ての魔道を極めし最強の魔法師なり! 俺に剣を向けると言う事は神に剣を向ける事と知れ!」
ふっ……きまったな。
なかなか、いいんじゃないか?魔王ユウマ!とかさ。
目の前の3人の兵士だけではなく後ろの美人まで呆気に取られているようだし、魔王としての序章としては完璧すぎるスタートと言っていいだろう。
「ふ、ふざけるな!」
「ふざけるなだと? 俺は至って普通に当たり前に常識的に貴様らに分かりやすいように説明したはずだが?」
俺の言葉に3人の兵士がシビレを切らして斬りかかってくるが俺は、【風刃】の魔法を発動させる。
発動した真空の刃は、男達の武器を斬り裂いた。
斬り裂かれた刀身が宙に舞う様子を男達は驚愕の眼差しで追っていた。
「で? お前らは魔王たる我に戦いをまだ挑もうというのか? 挑むなら今度は容赦しないが?」
まぁ、敵になるなら仕方ないな。
俺も流石に根首をかかれるのは趣味ではないし、魔王としても振舞わないといけない。攻撃を仕掛けてきたら殲滅して町は後ろの女に聞くとしよう。
「貴様……冒険者なのか? 我らに立てついてどうなるのか分かっているのか?」
「知らん。そもそもお前らが誰かすら知らん。で……だ。お前らは俺の敵なのか?10秒間だけ時間をやる。道を教えるならさっさと答えろ」
「ふ、ふざけるなよ! 我らを知らないなどそんな事が――」
男達の言葉が言い終わる直前に、空気内の含有物質の割合を魔法で変更し男達の意識を刈り取る。
まったく面倒くさいやつらだな。
仕方無い、道は女性に聞くしかないか。
終えは後ろを振り返ると――。
「すまないが、町か村までの行き方を教えてもらえないだろうか?」
と、振り返って語りかけた女性は素直に了承してくれた。俺は男達が追ってくると面倒かと思い、四肢の関節を外した上で男達が着ていた服で、男達の体を縛り上げると女性の案内でその場を後にした。
歩き出してかれこれ30分近く経過。
まったく村の影すら見えない。
森の中ならいいが、ここは平原だ。
30分と言ったら相当な距離のはずなんだが……。
「村までずいぶんと遠いんだな?」
「はい、彼らに追われてしまいかなりの距離逃げていましたので」
なるほど、つまり俺は彼女を助けにきた人間だと思われたわけか。
まあ、きちんと事情を説明したし、それでも攻撃してきたんだから四肢の関節を外されて
縛り上げられたあいつらも納得しているだろう。
むしろ、殺されないだけよかったまである。
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