第120話
「それより、追われていたと言うことは、何かしたのか?」
「私が? そんなことありません。あっ……! 申し訳ありません。助けて頂いたのに! まだ名前をお伝えてしていませんでした。私の名前はイノンと言います」
「そうかイノンか、俺の名前は……「ユウマさんですよね?」……まあ、そうだな、ところで、どうしてあいつらに追われていたんだ?」
俺の言葉にイノンが表情を曇らせる。
「はい、彼らは私達が税を納められなかったので、奴隷とするためにネイルド公爵家が派遣した軍なのです」
「奴隷ねえ」
そんな非経済的な物を作ろうなんて愚かの行為だと思うが、これは逆にチャンスかもしれないな。
そういう奴なら俺が戦うとすれば色々と宣伝とかしてくれそうだし。
ウラヌス十字軍の目もこちらに向きやすくなるかもしれない。
「はい!でも、もう大丈夫です」
イノンが俺を見上げながら目を輝かせている。
まぁ、きっと俺が救世主とか見えて無償で助けてもらえるとか勘違いしているのかも知れない。
「あー。なんだ?俺はお前たちを助けるつもりなんてないぞ? 自分たちの事は自分でなんとかしないと駄目だろ?」
俺は無償で助けるような真似はしないと事前に釘を刺しておく。
俺は、もうそう言うことはやめたんだからな。
「ですが……」
言葉に詰まってしまった彼女を見下ろしながら表情に出さずに内心ため息をつく。
「まあ、あれだな。うまい飯と風呂と宿を用意してくれるなら駆除を手伝ってやらんでもない」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、これはお前たちの為じゃないからな。俺のためだ、勘違いするなよ?」
「分かっています!ありがとうございます」
ちっ、おれの為だと言っているだろうに……。
「ただの等価交換だ、感謝される謂われはない。さっさとその村に案内しろ」
「分かりました!」
イノンが小走りで村がある方へ向かっていく。
その様子を見ながら俺は、【探索】の魔法を発動させた。
そして急速に近づいてくる存在に気がつく。
これは――ウラヌス十字軍と戦ったときに見たことがある!?
「イノン!そこで停まれ!」
俺はイノンの前に立つと飛来した矢を【風刃】で切り裂く。
すると前方から20人の鎧と槍で武装した兵士たちが姿を現した。
「そこの貴様! その女を引き渡してもらおうか?」
「イノン、あいつらがそうか?」
俺の言葉に、イノンは何度も頷くのを見て俺は交渉を開始する。
「悪いが、こいつは俺と契約を結んだんだ。だから渡すわけにはいかないな」
俺の言葉に彼らはざわつく。
「ゼノンさん、まずいですぜ! あの男、矢を切り裂いたといい魔法師ですぜ」
「分かっている!」
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