第118話
これではどちらに向かっていいのかすら、分からない。
まぁ仕方無い……それなら、方法はあるからな。
俺は朝日が見えるまで、今の場所で休む事にした。
朝になれば、人が通る街道でも簡単に見つける事ができるだろうし、人と出会う事が出来れば道を聞けばいいし、まだ慌てるような段階じゃない。
俺は、木を昇っていき枝の上で横になると【光球】の魔法を維持したまま目を閉じた。
「人と全然会わないけど、どうなっているんだよ!」
俺は一人突っ込みを入れながら獣道すら無い山の中をずっと歩き続けていた。
誰だよ!すぐに人とか人が通るような街道が見つかるとか言っていた奴は!
「まて! 落ち着け俺……クールになるんだ。俺は悪くない……そう、世界が悪いんだ」
そう、俺の考えは間違っていないはず。
ただ、世界が少しばかり俺に厳しかった。
それだけの事だ。
「しかし……【探索】の魔法を使っても何の反応があるのは小動物の反応ばかり……嫌、これは川の反応か?」
たしか古代では、川の畔に町や村を作るのは常識だったはず。
そう考えると川沿いに歩くのがいいかも知れないな。
「とりあえず川を下っていってみるか?」
徒歩で川沿いを下っていくこと数時間――。
目の前が突然開けて、草原地帯に俺は足を踏み入れた。
「ようやく森を出たか……しかし、疲れたな――んっ?」
今、視界の先で何かが見えたような……。
俺は【身体強化】の魔法を発動させる。
すると3人の鎧を着た男の兵士と女性一人の姿が見えた。
丁度いい、彼らに話を聞けば町か村までの道が分かるかもしれないな。
「すまない、少しいいか?」
俺は、男たちと女の間に割って入る。
「貴様! 何者だ? この女の仲間か?」
「仲間?」
俺は後ろをチラリと振り返る。
年齢は20歳後半か?金髪碧眼とヨーロッパ人の特徴をもつかなりの美人だが知り合いではないが、女性はかなり疲労しているようで肩で息をしている。
さて、どう答えたらいいものか。
「ヘイズ、女は生かしてこの目撃者は殺したほうがいい」
俺が、どう対処していいか考えていたところで兵士の一人がヘイズという男に俺を殺した方がいいと助言をしている。
しかしいきなり殺した方がいいとか、ユゼウ王国は荒れ過ぎだな。
さて、争いごとの最中だったのは分かったわけだ。
「この女とは俺は一切関係ないが! お前達は重大なミスを犯した」
「重大なミスだと?」
3人の兵士が一斉に腰から武器を抜いて俺へと向けてくる。
「そう、この俺を貴様らは殺すと言ってのけた! それこそが重大なミスであり失態だ!」
「なんだと?」
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